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バレンティーノ・ロッシ、ヤマハ・ファクトリーとの契約終了が意味するモノ

今季限りでヤマハ・ファクトリーチームとの契約が終了することになったバレンティーノ・ロッシ。突然の発表に驚きの声が上がったが……この決定が意味するモノとは?

Valentino Rossi, Yamaha Factory Racing

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGPの”生ける伝説”バレンティーノ・ロッシが、2020年シーズン限りで、ヤマハのファクトリー・チームを離れることになった。彼はこの先もMotoGPでのキャリアを続けるのか、それともここでピリオドを打つのか、2020年シーズンの中盤頃に決断を下すとしている。

 ロッシはこれまで、いくつもの浮き沈みを経験してきた。しかし他のほとんどのライダーとは異なり、何が起きても彼のシートは保証されている……そんな状況にあった。

 しかしそういった状況も、永遠に続くわけではない。いつかは、ロッシの名がグリッドから消えてしまう日もやってくる。

 ヤマハは、マーベリック・ビニャーレスとの契約を2年延長することを1月28日(火)に発表。その翌日には、2021年シーズンからファビオ・クアルタラロを起用することも明らかにした。2020年シーズンのテストが始まる前にもかかわらず、ヤマハは既に2021年のラインアップを確定させたのだ。

 ロッシにとって“その日”、つまりグリッドから離れる日が近づいているということが、かつてないほど現実味を帯び始めている。

 ただこの選択は、ヤマハにとっては避けられなかったこと……だったのかもしれない。

若い力の台頭

 ロッシのモータースポーツにおける伝説的な功績は、もはや疑うべくもない。彼の魅力なしに、MotoGPが今のような人気を博すことはなかったはずだ。そして、多くの顧客をヤマハのディーラーに呼び込む役割も果たした……その効果は、これまで同チームに在籍した他のどのライダーよりも大きかったはずだ。

 しかし、MotoGPでのヤマハの主な目標は、もちろん勝つことにある。ロッシは2017年のオランダGP以来勝利を手にできておらず、彼が最後にタイトルを獲得したのも2009年まで遡らなければならない。その間に、ホルヘ・ロレンソが3回のタイトルをヤマハにもたらし、ロッシが1勝する間にビニャーレスは6回もポディウムの中央に立っている。

 昨年、ヤマハ陣営には新たなスターが加わった。クアルタラロである。クアルタラロは最高峰クラス1年目、しかもサテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRT所属にも関わらず、7回もの表彰台を獲得。ビニャーレスと共に、毎週末”ヤマハのトップライダー”としてグランプリを盛り上げた。そして時折、現在MotoGPで最強を誇るマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)を止めることにも繋がった。

 一方でロッシは、表彰台獲得回数わずか2回。ランキングでも、ビニャーレス3位、クアルタラロ5位に遅れを取り、7位に終わった。もちろん、過去数年間のロッシの苦戦は、ヤマハのマシンの戦闘力不足に起因する部分もあるだろう。しかしそれでも、2015年にタイトルを争い、その獲得に失敗した後は、かつてのような輝きを発揮できていないのも事実である。

 以前の状況なら、ロッシが希望すれば、ヤマハのシートを確保できるのはほぼ確実だった。マルケスを獲得するのは、ヤマハにとっては現実的なモノではない。しかしビニャーレスがチームに加わると、その才能をいかんなく発揮。マシンの戦闘力不足により、タイトルを争うまでには至っていないが、時折好結果を残してきた。しかしその一方でヤマハはロッシに固執し、彼が持っているマーケティング上での利益を享受。もし彼がチャンピオンになれば、宝くじに当たったようなモノ……だった。

 ロッシは今年で41歳。これまでのように契約を2年延長するという形は、現実的なモノであるとは言い難い。また1年契約を結んだとしても、他のファクトリーチームのライダーと、契約期間が同期しないことになってしまう。ロッシはいくつかのレースが終わるまで、決断を遅らせたかったようだ。しかしヤマハは、その時間を待つことはできなかった。

ロッシは自身の“引き際”をどう考える?

 シリーシーズン……つまりドライバー移籍市場は、年々活性化する時期が早まっている。その結果、たとえば2021年に向けた交渉は、この冬の間にほとんど行われるわけだ。

 昨年以降、ビニャーレスとクアルタラロは、グリッド上で最も注目される存在となった。おそらく他のメーカーからも、魅力的なオファーが舞い込んでいたはずだ。

 例えばビニャーレスには、ドゥカティ移籍の噂もあった。スズキも、ふたりの動向に大きな関心を持っていたと言われている。しかし事実はさておき、ヤマハとしてはマルケスに挑むことができるだけのラインアップを備える必要があった。

 ロッシのコメントによれば、ヤマハはロッシに対して、今年の初めまでに将来についての決断を下すよう求めていたという。しかしロッシは決断に時間をかけたいと主張……その結果、前述の通りシーズン半ばまでその決定が先送りされることになった。

 もちろん、ロッシが2021年もグリッドに残る可能性がある。その場合には、サテライトチームであるSRTに移籍することも辞さないと、ロッシは最近のインタビューで語っている。SRTは非常に優れたサポート体制を備えており、ヤマハもロッシに対して、現役を続けるならばファクトリー仕様のマシンとエンジニアリング体制を用意することを約束している。そうなった場合、マシンのカラーリングが自身のチームである”VR46”のモノになるということも、あながち無い話ではないだろう。

 ただ、ロッシの野望はタイトルを獲得することにある。SRTに移籍した場合、条件が完璧に整ったとしても、勝利以上の結果を生み出す可能性は低いと言わざるを得ないだろう。

 そういう意味では、ロッシが引退するタイミングとしては、正しい時期である……と言うこともできるかもしれない。彼はファクトリーチームのシートを失うことにはなったものの、SRT入りの可能性はまだ十分に残されている。そんな状況で引退を決断すれば、”自分の意思”で身を引くということになるからだ。モータースポーツでは、素晴らしい結果を残したドライバー/ライダーであっても、なかなかできることではない。

ロッシの“セカンドキャリア”の舞台はどこに?

 ところで、MotoGPからは引退したとしても、ロッシのモータースポーツでのキャリアはまだまだ続くだろうとも思える。彼には情熱がある。そしてモンツァ・ラリー・ショーでは何度か勝っているし、2019年のガルフ12時間レースではクラス優勝も成し遂げている。また、F1のテストドライブも幾度となく経験している。

 ロッシが参戦する可能性が最も高いと思われるのが、ル・マン24時間レースだ。ル・マンは彼が注目し続けてきたレースで、それに挑戦するには、来年は絶好のタイミングだとも言える。

 耐久レースは、簡単に挑戦できるようなレースではない。WEC(世界耐久選手権)のレベルともなればなおさらだ。しかし2021年にはLMハイパーカークラスが導入されることになっている。ロッシが真剣に挑もうとするなら、素晴らしいファクトリー体制を手にできる可能性もある。

 しかし何が起きたとしても、ヤマハとの関係が切れることはないだろうし、ヤマハはそれを求めているはずだ。

 ヤマハは、ロッシの存在から多くのメリットを受けている。2003年には勝利を手にできなかったものの、2004年にロッシが加入するとその状況が劇的に変化。一気に強豪チームへと成長することになった。

 2011年と2012年にはドゥカティに移籍したロッシ。しかし思うような成績を残すことができず、2013年からは再びヤマハに復帰した。この”第二期”は成績的にはそれほどでもなかったものの、商業的な部分ではかなり多くの利益をヤマハは得ている。

 ロッシはヤマハのブランドにとって、非常に重要な存在であることには間違いない。でも、再びチャンピオンシップを支配したいと思うのであれば、いつかはロッシとファクトリーチームの契約を止め、新たな時代へと踏み出す必要があるのだ。

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