MotoGPオーストリア決勝:ビンダーが雨を“スリックで”制す! 降雨によるフラッグトゥフラッグで波乱展開
MotoGP第11戦オーストリアGPの決勝レースが行なわれた。優勝したのはKTMのブラッドビンダーだった。
MotoGP第11戦オーストリアGPの決勝レースが行なわれ、KTMのブラッド・ビンダーが雨の中、優勝を手にした。
先週末に開催された第10戦スティリアGPに続き、レッドブルリンクで2週連続開催となったオーストリアGP。全28周の決勝レースは、開始直前に小雨が降り始めるもドライレースが宣言され、気温30℃、路面温度36℃のコンディションで開始された。なお1周目からマシン乗り換え許可が出され、フラッグトゥフラッグによるレースとなった。
決勝グリッドは、前戦スティリアGPでMotoGPクラス初優勝を飾ったプラマックのホルヘ・マルティンが2戦連続のポールポジションを獲得。レースがスタートするとそのマルティンがホールショットを奪うも、その後ろにはドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤが続き、すぐさまマルティンを追い抜いていった。
1周目を終えホームストレートに戻ってくると、バニャイヤ、マルティン、ヨハン・ザルコ(プラマック)と続きドゥカティ勢がトップ3を占めた。
その中に割って入ったのがマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)だ。彼はスタートで4番手にポジションを上げると、2周目には早くも3番手に浮上。先頭のバニャイヤの後ろでマルティンとマルケスがバトルを繰り広げ、ザルコが追走する形となった。
またマルティンとマルケスが2番手を争ってバトルを展開している間に、スタートでポジションを落としてしまっていたファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)がペースを取り戻して接近。5周目にはザルコを追い抜いて3番手のマルケスへ迫った。
この間、一部マーシャルポストでは降雨を知らせるレッドクロス旗が振られる状況となり、先頭を走るバニャイヤのペースはなかなか上がらない状態が続いた。
そして8周目にはマルケスを追い抜いてトップを狙っていたクアルタラロが、バニャイヤを追い抜いて遂に先頭を奪取。しかし、バニャイヤはドゥカティの優れたパワーによるアドバンテージを活かして、次周のホームストレートで先頭へ再び躍り出た。
これ以降レース展開は一度落ち着きを見せ、先頭からバニャイヤ、クアルタラロ、マルケス、マルティン、ザルコまでの5名で縦長の先頭集団を形成した。
その後マルティンとザルコはペースが上がらず徐々に後退。表彰台争いはバニャイヤ、クアルタラロ、マルケスの先頭3台へと絞られていった。またザルコはレースも終盤に向かいつつあった19周目の9コーナーで転倒しリタイアを喫した。チャンピオンシップ2番手でランキング首位のクアルタラロを追っていた彼にとっては大きな痛手となってしまった。
24周目、ここでレースは大きな転機を迎える。レース開始前に降り始めた小雨が本降りへと変化してきたのだ。その天候の変化にいち早く対応したのがジャック・ミラー(ドゥカティ)とアレックス・リンス(スズキ)で、彼らはこのタイミングでレイン用のマシンへと乗り換えた。
そして1周遅れて25周目には先頭集団の5名もピットイン。マシンを乗り換えることを選んだ。
一方でバニャイヤたち先頭集団がピットインした後、トップに浮上したブラッド・ビンダーはマシンを乗り換えず、スリックタイヤのマシンでそのまま残り周回数を走ることを選んだ。
雨が路面を濡らしていくと、マーシャルポストでは滑りやすいコンディションであると示すオレンジ旗も掲示。スリックタイヤでの走行は厳しいコンディションとなっていることが伺えた。
ただ残り2周の時点で、ビンダーはひとり独走状態。ラストラップにはコーナーでふらつくなど、危ない場面も見せたが、そのまま後続との差を保ちトップでチェッカーを受け、今季初優勝を挙げた。なおビンダーにはトラックリミット違反によって3秒のタイム加算ペナルティが科されたが、リードを築いていたこともあり結果に変動はなかった。
2番手と3番手争いはラストラップまで白熱。当初はスリックタイヤで走るアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)、イケル・レクオナ(テック3)、バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)、ルカ・マリーニ(アビンティア)らがそのポジションを争っていた。
しかしラストラップ、マシンをウエット用に乗り換えていたバニャイヤとマルティンが猛追。濡れた路面を身長に走らざるを得ないライバルたちを一気に追い抜いていき、バニャイヤが2位、マルティンが3位を手にした。
4位はミル、5位にはマリーニ、6位はレクオナとなった。またクアルタラロは7位でレースを終了。ポイントランク首位の座をキープした。
終盤には一時表彰台獲得の可能性も見えたロッシだったが、最終的には8位でフィニッシュ。今シーズンベストリザルトだ。
LCRホンダの中上貴晶は序盤にポジションを落とした後、苦しいレースが続き最終的に13位でフィニッシュしている。またレース中盤まで表彰台と優勝を争ったマルケスは、終盤に転倒。何とかレースには復帰し、15位でポイントを獲得した。
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