レースレポート
MotoGP マレーシアGP

バニャイヤ、今季7勝目挙げチャンピオンに王手。クアルタラロ気力尽くす走りで3位|MotoGPマレーシアGP決勝

MotoGP第19戦マレーシアGPの決勝レースが行なわれた。3年ぶりのセパンで勝利したのは、フランチェスコ・バニャイヤだった。

Francesco Bagnaia, Ducati Team

 セパン・インターナショナル・サーキットでMotoGP第19戦マレーシアGPの決勝レースが行なわれた。3年ぶりのセパンで勝利を手にしたのは、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤだった。

 MotoGPクラスはバニャイヤとファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)によるタイトル争いが繰り広げられており、マレーシアGPでは結果次第でバニャイヤのチャンピオンが確定する可能性がある状況となった。

 ただそのバニャイヤは、予選で9番手。エスパルガロが10番手、クアルタラロが12番手とランキング上位勢がまとめて中団に留まる結果となった。加えて、クアルタラロはFP4で転倒した際に左手中指を骨折。厳しい状態でレースに臨まなくてはならなくなった。

 なお決勝に向けては降雨も心配されたが、ひとまず天候は保たれドライコンディションで全20周のレーススタート時刻を迎えることができた。気温は31℃、路面温度は38℃だ。

 シグナルがブラックアウトした後の蹴り出しでは、ポールシッターのホルヘ・マルティン(プラマック)が順当にホールショットを確保。2番手には抜群のスタートを決めたバニャイヤが続き、3番手にエネア・バスティアニーニ(グレシーニ)という並びとなった。

 クアルタラロも好スタートでポジションを上げ、5番手に浮上。一方、エスパルガロは9番手とライバルに比べると少し出遅れてしまった。

 スタートを決めたマルティンは1周目から2番手以下を突き放さんとするハイペースな走りで、ギャップを拡大。5周を終える頃には、約1秒の差をつけていた。

 クアルタラロは5周目にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)を追い抜いて4番手に浮上。MotoGP連覇のチャンスをつなぐためには、ひたすら前を狙うしかない状況だ。ただすでに3番手のバスティアニーニとの間には3秒の差が横たわっていた。

 そして7周目、先頭を快走していたマルティンが、ターン5でまさかクラッシュ。これでバニャイヤは労せずしてトップに浮上した格好だ。

 トップ争いは、バニャイヤVSバスティアニーニの構図。これまで何度もバトルを繰り広げてきたふたりだが、レース中盤は付かず離れずの距離で、直接的なバトルは無いもののふたりの間で火花が散っているような状態のまま周回を重ねていった。

 10周目頃、いよいよバスティアニーニがバニャイヤを射程に収め、オーバーテイクを狙い始めた。そして11周目のターン4でバスティアニーニがオーバーテイク、両者のポジションが入れ替わった。

 バスティアニーニに先頭を譲ったあと、バニャイヤは大きく離されることはなく、その後ろをピタリと追走。ランデブー状態でラップを重ねて、レースは終盤に入った。

 バニャイヤは15周目のバックストレートでバスティアニーニをパスして再びトップに浮上。バスティアニーニもなんとか食らいついていくが、反撃のチャンスを伺っているか、もしくは余力がないのか……しばらくは動きのない状態が続いた。

 レース残り2周となるころには、バニャイヤを追うバスティアニーニが0.2秒以内に接近。ただこのラップでは仕掛けること無く、レースはラストラップに突入した。

 バスティアニーニはターン9で仕掛けていくが、ここでは抜ききれず。バニャイヤは最終コーナーを先頭で立ち上がり、バスティアニーニを抑えきってトップチェッカー。今シーズン7勝目を挙げた。

 3位にはクアルタラロが入った。中盤にはマルコ・ベッツェッキ(VR46)に迫られるも意地を見せて最後は逆にトップ2との差を縮めるペースを見せた。

 この結果、タイトル争いの行方は最終戦バレンシアGPへと持ち越されることになった。なおドゥカティはマレーシアGPの結果、2022年のチームタイトル獲得を決定。バニャイヤがチャンピオンとなれば、3冠を達成することになる。

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 バニャイヤとクアルタラロのポイント差は23点。クアルタラロ逆転王座の可能性は優勝が最低条件で、バニャイヤの大苦戦も必須と厳しい条件となっている。ただ、MotoGPでは”あり得ないということはあり得ない”という事もまた事実であり、どんでん返しの結果となる可能性も十分有り得る……2週間後のレースでどんな結末となるのか、必見となりそうだ。

 またエスパルガロが11位と苦戦した結果、ランキングではバスティアニーニがエスパルガロを追い抜いて3番手に浮上。彼ら2人はタイトル獲得の権利はないものの、ランキング3位を最終戦で争うことになる。

 LCRホンダの中上貴晶の代役として出場している長島哲太は、レース序盤に転倒。リタイアでマレーシアGPを終えた。

 
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