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MotoGPコラム:青山博一、引退発表のダニ・ペドロサへ送るエール

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MotoGPコラム:青山博一、引退発表のダニ・ペドロサへ送るエール
執筆:
2018/07/13 10:49

今季限りでMotoGP引退を発表したダニ・ペドロサ。そのペドロサが250ccクラスに挑んだ際、初めてチームメイトになったのが青山博一だった。その青山に、ペドロサの引退に対する想いを訊いた。

 第9戦ドイツGPのセッション開始を翌日に控えた木曜日(7月12日)、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が現地時間夕刻16時から引退会見を行った。

 ペドロサの来シーズン以降の去就に関しては、4週間前の第7戦カタルニアGPから大きな注目が集まっていた。一時期はヤマハ陣営の新設サテライトチームへ移籍するという見方が濃厚だったが、状況は流動的で、事前に「特別な記者会見」とのみ告知されていた今回の会見では、おそらく引退を発表するのではないか、という予測が支配的だった。

 定刻どおりに会場に登場したペドロサは、予想どおりに引退を発表。一時は目に涙を溜めながら、今年の最終戦で終止符を打つことになる現役活動を振り返った。多くの取材陣で満員状態になったその記者会見場の片隅には、しんみりとした面持ちでペドロサの言葉に耳を傾ける青山博一の姿があった。

 現在はMoto2クラスのIDEMITSU Honda Team AsiaとMoto3クラスのHonda Team Asiaで監督を務める青山だが、2004年に世界選手権250ccクラスにTelefonica Movistar Honda 250チーム(当時)からフル参戦デビューしたとき、初めてチームメイトとなったのがペドロサだった。

 このときのペドロサは前年に125ccクラスでチャンピオンを獲得し、大いに将来を嘱望されて中排気量クラスへステップアップしてきたばかりの18歳。青山は2003年に全日本ロードレースの250ccクラスで王座を獲得し、世界へ挑戦する架け橋としてホンダが開始したスカラシップ第一号としてグランプリへやってきたばかりの22歳。アルベルト・プーチが指導し監督を務めるチームで、ともに切磋琢磨しながら、ふたりは気の合う友人として意気投合する関係を育んでいった。

「どういう会見かわからなかったけど『もしからしたら……』と思ってここに来て、やはり引退会見だったので、悲しいという思いと、彼が次に向かって進む決断をしたことに対してよかったなと感じる思いと、半々ですね」

 青山は少し寂しそうな笑顔を見せながら、そう話した。

「ダニとはトレーニング環境が同じで、一緒に苦しい思いをしてきた仲間です。彼の場合はレプソルやモビスターという巨大なスポンサーがたくさんいて、僕よりもはるかに大きなプレッシャーを感じながら戦っていました。そのプレッシャーから解放されるのは、彼にとって、大きな荷が下りることでもあると思います。自分の好きなスポーツを辞める、という判断をするのはすごく大変なことで、それだけに大変な時間がかかったのも理解できます。そして、それを自分で決断したのは素晴らしいことだと思います」

 ペドロサは2006年に20歳でファクトリーライダーとしてMotoGPクラスにデビューして以降、毎年優勝戦線の一角を占め、何度もチャンピオンを争いながら、ケガや不運に泣かされることも多く、ついに一度も世界最高峰の王座を掴み取ることができなかった。2017年4月にHRCを引退した中本修平は、同社副社長としてMotoGPの現場を率いた時代を退社前に振り返った際、「ダニにチャンピオンを獲らせてあげられなかったことが心残り」と話していた。

「ダニはセットアップを90%まで合わせ込んであげることができれば、誰にも手をつけることのできない速さを発揮するんですよ。2010年は、チャンピオンを狙えそうな勢いで日本GPに乗り込みながら、フリープラクティスでメカニックのミスが原因で転倒して骨折し、王座を逃してしまった。2012年もシーズン最多の7勝(他はケーシー・ストーナー5勝、ホルヘ・ロレンソ6勝)を挙げながら、18ポイント差でチャンピオンを逃してしまった。あの1年も、本当に惜しい年でした」

 自分たちの力でなんとしてでも彼を支えてやりたい、ひとにそう思わせる何かが、ペドロサにはあるのだろう。

「こうやって、皆の前で引退会見をして辞めていくことのできるライダーはほとんどいません。プロフェッショナルライダーとして、素晴らしい判断と終わり方だと思います」

 ペドロサの決意にエールを送る青山の言葉からも、苦労を近くで見てきた友人としてのねぎらいが読み取れる。

「シーズンはまだ半分残っているので、悔いのないように最後まで戦って欲しいですね。来年は何をやるのかダニ自身もまだ分からない、ということですが、彼のことだからきっとレースに関わることをすると思うし、次のステップに向けて頑張ってほしい。あの小柄な体格であのモンスターマシンを扱うのは、皆が思っている以上に遙かに大変なことなんです。マルク(・マルケス)は確かにすごい選手だけど、ライダーとしてのセンスは、僕はダニのほうがマルクよりも上だと思っています」

 篤い友情を感じさせるひとことで、青山は言葉を締めくくった。

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この記事について

シリーズ MotoGP
イベント ドイツGP
ドライバー ダニ ペドロサ 発売中 , 青山 博一
執筆者 西村 章