MotoGPコラム:気になる2020年の陣容……Moto2&Moto3日本人ライダーの去就は?
MotoGP2019年シーズンも折り返しを過ぎ、ライダーらの来季の去就も徐々に固まりつつある。今回はMoto2、Moto3に参戦している日本人ライダーに焦点を当ててみよう。
Tatsuki Suzuki, SIC58 Squadra Corse
Gold and Goose / Motorsport Images
2020年シーズンの移籍を巡る情報は、最高峰クラスのMotoGPで大半の選手が2年契約のさなかであるため、突然の解約など特殊な例を除けば大きな関心を集める状況には至っていない。
話題になるのはもっぱら、中排気量のMoto2や小排気量のMoto3クラスだ。MotoGPクラスと比較すればややマニアックな感もあるだけに、日本ではメデイアで大きく報道される機会は少ないようだ。だから、というわけではないが、もともと情報量が少ないこれらのクラスで戦う日本人選手の来季に関する情報を、この機会に少し整理してみるのも悪くないだろう。
Moto2クラスに参戦する長島哲太(ONE XOX TKKR SAG Team)は、夏休み明けのシーズン後半戦になって、いわゆる「乗れている」状態で好成績を維持している。第11戦オーストリアGPでは自身初のポールポジションを獲得し、決勝レースでも優勝争いが期待されたが、他車の転倒に巻き込まれてしまいリタイア。第12戦イギリスGPは、そのときほどの完璧な仕上がり具合ではなかったものの、その状況で最善を尽くし、自己ベストタイの5位。
レース内容的にはMoto2ベストリザルト、といってもいい。長島の来季の去就に関する正式な発表はまだ行われていないが、来季も現在のチームに残留する方向のようだ。気心の知れたチームスタッフとマシンパッケージで戦える体制になれば、現在の戦闘力を維持し、さらにそれを高めていくことも充分に期待できるだろう。
Moto3クラスでは、鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)がすでに現チームからの継続参戦を発表している。第4戦スペインGPで2位表彰台を獲得したものの、以後は高いポテンシャルを見せながら転倒などで結果に繋がらないレースも多かった。イギリスGPでは、後方から追い上げて5位フィニッシュ。第13戦サンマリノGPはチームの本拠地で、鈴木自身もサーキット近郊で暮らしているため、文字どおりのホームGPだ。安定したチーム環境で来季は4年目を迎えるだけに、表彰台常連になることは必須条件、といってもいいだろう。
佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)も、このチームに加わって今年が3年目。高い資質を評価され、好成績を期待されながら2019年はうまく噛み合わないレースが多く、フラストレーションのたまる結果が続いた。イギリスGPでは2列目4番グリッドスタートで序盤から積極的にトップ争いを繰り広げ、最後は6位でゴール。
来季もここに残留すれば、鈴木と同様に同一チーム4年目のシーズンになるが、イギリスGPのウィークに広がった各種情報を総合すると、どうやらチームを移る可能性もありそうだ。佐々木自身は「戦闘力の高いチームで戦うことが希望」と話すのみで多くを語らないが、KTMがMoto2クラスから撤退することに伴い、新たにMoto3クラスでチームを構える方向のエルベ・ポンシャラル率いるTech3に所属するのではないか、という観測が欧州ではもっぱらだ。早ければ次戦サンマリノGPあたりで、何らかの動きがあるかもしれない。
今季からMoto3に参戦している小椋藍(Honda Team Asia)は、フル参戦初年度ながら高いポテンシャルをすでに何度も見せており、イギリスGPでも終始先頭集団でバトルを続けた。10位という結果は本人には不本意なようだが、1年目でもそれだけの強い気持ちを持っているところは、小椋の長所といえるだろう。Honda Team Asiaは世界選手権を争いながら若い選手を育成するという側面も併せ持つチームで、小椋は2年目の2020年も引き続きここから継続参戦する方向だ。
チームメイトの鳥羽海渡は、Moto3クラス3年目の今年、開幕戦のカタールGPで優勝を飾ったものの、それ以降はなかなか結果につながらず、転倒やノーポイントレースが続いている。来季の帰趨がどうなるのかは不分明なようだが、それだけに、今後のレース結果が将来を左右する重要なカギになるだろう。
それは真崎一輝(BOE SKul Rider Mugen race)にとっても同様だ。2017年にレッドブル・ルーキーズカップのチャンピオンを獲得して2018年からMoto3にフル参戦を開始したものの、世界選手権の場ではまだ思うような成績を残せないでいる。来季のシート捜しでも、今のところなかなかの苦労を強いられているようだ。だが、周囲に強い印象を与える劇的な結果を残せば、一気に形勢が変わることも往々にしてある。様々なプレッシャーや不安材料などもあるだろうが、それをはねのけて好結果をたぐり寄せる強さを見せることは、来季のシートだけではなく、ライダーとしての成長にもつながるだろう。
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