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MotoGPコラム:2021年の“激戦”予感させる開幕戦。パワー・コーナー・バランス、三陣営の戦い

いよいよ始まった2021年のMotoGP。その緒戦カタールGPは2021年シーズンの戦いの激しさを示唆するかのような、見ごたえのあるレースとなった。優勝したマーベリック・ビニャーレス、2位と3位をもぎとったドゥカティ勢、さらには王者たる走りを見せたジョアン・ミル……彼らの戦いを追った。

Maverick Vinales, Yamaha Factory Racing

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 2021年開幕戦カタールGPは、トップ争いを繰り広げたヤマハ、ドゥカティ、スズキのライダーたちが、自分たちの操る各メーカーのマシン特性を存分に引き出し、己の武器を使ってライバルたちと真っ向勝負の攻防を繰り広げるという、じつに見応えのあるレース内容になった。

 優勝を飾ったのはヤマハファクトリー5年目のマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。ヤマハのバイクは滑らかなライン取りによる高い旋回性能と、取り回しの良い機敏さが持ち味だ。その反面、最高速などの動力性能でライバル陣営の後塵を拝することを積年の課題としている。

 今回のレースウィークで記録された各選手の最高速を比較してみると、最上位につけているのはヨハン・ザルコ(プラマック)。土曜のフリー走行4回目で、従来の最高速レコードを大幅に更新する時速362.4kmを記録した。これを筆頭に、最高速上位4台はいずれもドゥカティ勢で、時速358.8km、357.6km、355.2km、と図抜けたスピードを記録している。

 一方、レースで優勝したビニャーレスの最高速記録は時速348.3km。ザルコと比較すると、14kmも劣っている。『よーいどん』で、この2台がただ直線を走るだけならば勝負にならない差だ。しかし、レースで優勝したのはビニャーレスのほうで、決勝中のファステストラップもビニャーレスが記録(1分54秒624:4周目)している。

「決勝レースでは、このウィーク中にここまでなかった、というくらいの旋回速度を発揮できた」とビニャーレス自身もレース後に振り返っている。さらにもうひとつの要素として、コーナーを立ち上がる際にトラクションをしっかりと稼げていたことも勝因になった、と述べている。

「最終コーナーの出口でもトラクションが良好だった。3速、4速とギヤを上げていってもウイリーせずに前へ進んでいけた。5速から6速は(ドゥカティが)引き離していくけれども、自分たちも思っていたよりずっとうまく走れた」

 一方、レースを2位で終えたザルコは、レース中盤でビニャーレスにオーバーテイクされて以降、ふたたび差を詰めていくことができずにチェッカーフラッグを受けた。彼の視点によると、ビニャーレスとの彼我の差は以下のようになる。

「マーベリックは、2〜3速がかなり有利なように見えた。自分たちはそこから追い上げていくけれども、すでに遅きに失してしまうので、それがトップスピードにあまり差がなかった理由だと思う。ここは今後の改善ポイントで、これを埋め合わせることができるようになれば、トップスピードのアドバンテージをまた活かせるようになるだろう」

 3位で終えたフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)も、同様の指摘をしている。

「最終コーナーでは、ヤマハもスズキも僕たちより加速のグリップ、トラクションがあったようだ。この加速の最初の部分で、僕たちはちょっと損をしていた」

 さらにバニャイアは、決勝レースでトップスピードに大きな差が生まれなかった理由のひとつとして「メインストレートが向かい風だった」という自然要因があったことも指摘している。

 決勝レース前日の気象予報では、日曜はかなりの強風になるという情報もあった。実際に、日曜の日中は1コーナーから最終コーナー側へ強い風が吹き、パドック内に掲げられた各種の旗は終始強くはためき続けた。日没後はこの風はかなり収まって穏やかになったものの、それでも多少の風は残っていた。

■ドゥカティの“ドカッ”パワーと、勝負に“負けても”力を示した王者スズキ

 ドゥカティはエアロダイナミクスを有効活用したフェアリングをどこよりも先進的に採り入れていることでも有名だが、これは同時に、前面投影面積が大きくなって風の抵抗や影響を受けやすくなることも意味する。四輪車と違って静止状態で安定性を持たない二輪車は、空力という武器が条件次第で自らに向かう刃にもなりえる、という事実は面白くも皮肉な話ではある。とはいえ、どこよりも速いエンジンを持っていることがドゥカティの大きな強みではあることは間違いない。

 この動力性能の高さは、最終コーナー最終ラップの攻防で、ザルコとバニャイアがスズキのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)との勝負を制する有利な材料にもなった。

 後方から追い上げてラスト2周で3番手につけていたミルは、最終ラップの15コーナーで勝負を仕掛けて2番手に浮上した。しかし、最終コーナーでラインがややワイドになり、立ち上がりからゴールラインまでの直線でザルコとバニャイアに再びオーバーテイクされて、0.093秒の僅差で表彰台を逃すことになった。

 しかし、僅差の4位とはいっても、そこまでのプロセスは昨年のチャンピオンシップを制したスズキの卓越した安定性を存分に発揮したレース内容だった。

 4列目10番グリッドからスタートしたミルは、9周目にはこの段階でトップを走行していたバニャイアから3秒622の差を開かれていた。しかし、そこから着実に前との差を詰めてゆき、前の3台が1分56秒台へタイムを落とした終盤のラップでも、自身は55秒台中盤から後半のタイムを維持して前へ追いつき、ついには2位争いに食いこむに至った。

 この展開は、タイヤに優しいマシン特性でしたたかな勝負を身上とするスズキの、まさに面目躍如といっていい。昨シーズンに見せた高水準の安定性を、彼らが今年もまた発揮するであろうことは、今回の勝負に敗れたとはいえこのレース内容から充分に察することができる。

 2021年は、レースを観戦するファンにとっては最高の、しかし戦う当事者たちにとってはこのうえなく苛酷なシーズンになりそうである。

 

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