MotoGPコラム:新シーズンは新予選方式! Moto3日本人ライダーの戦い
遂に開幕を迎えたMotoGP2019年シーズン。Moto3クラスには多数の日本人ライダーが参戦しており、今シーズンのレギュレーション変更を受け、どのようにレースの組み立て方が変わったのか彼らに話を聞いた。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGPの開幕戦は、毎年恒例のナイトイベント。今年もカタールの首都ドーハ郊外に位置するロサイルインターナショナルサーキットからシーズンがスタートした。
2019年は、テクニカルレギュレーションやスポーティングレギュレーションでいくつかの変更が加えられている。それらのなかでも最も大きなもののひとつが、Moto2/Moto3クラスに導入される新たな予選形式だ。
昨年までは金曜の午前と午後にFP1とFP2、土曜午前にFP3、と3回のフリープラクティスセッションを行い、午後の予選(Moto2/45分、Moto3/40分)で決勝に向けたグリッドを決定していたが、その予選が今年から各15分のQ1とQ2に分けられることになった。方式としては、MotoGPクラスと同じフォーマットだが、最高峰クラスと中小排気量クラスでは細かな部分で違いもある。
MotoGPの場合はFP3までの総合順位で上位10名がQ2へ進出し、残りの選手で競うQ1から上位タイム2名がQ2へ勝ち上がって、計12名のQ2で決勝の前方グリッド4列(一列3名)を争う、というやり方だ。一方、Moto2とMoto3の予選では、FP3までの総合上位タイム14名がQ2に進出し、残りの選手たちで争うQ1から上位4名がQ2へ進出。計18名で前方6列のグリッド順を争うことになる。
いずれにせよ、Moto2とMoto3でも、選手たちはFP3までにしっかりとタイムを出して上位の順位に入っていなければ、自動的に決勝のグリッドが後方になってしまう。予選で一発逆転の高グリッドを狙えた昨年までとは異なり、今年からは従来以上に戦略的なセッションの組み立てが求められるようになっている、というわけだ。
たとえば今回の開幕戦では、路面温度等の条件が厳しい日中よりも、温度の穏やかな日没後に行われるセッションのほうが、コンディション面で好タイムを記録しやすいと目されている。そのため、金曜の日没後に行うFP2でしっかりとタイムを出しておくことが重要になる。土曜の日中に行うFP3でFP2のタイムを上回ることはおそらく難しい、と予想されるからだ。
金曜のセッションを終えたMoto3クラスを見てみると、この段階で総合上位14番手以内に入った日本人選手は2名。真崎一輝(BOE Skull Rider Mugen Race)が9番手で、鳥羽海渡(ホンダ・チーム・アジア)は11番手につけている。
この新しい予選方式について、初日を終えた真崎はこんなふうに話している。
「どのセッションでも最後に新品タイヤを入れてアタックするのが絶対条件になってくるので、自分の気持ちとしても緊張するし、転倒すると予選がQ1になってしまうのでミスをできません。今回初めてやってみて、難しいと感じました。明日は風が強くて暑くなれば皆のタイムの更新が難しくなるだろうけど、それはあくまでもコンディション次第なので、まだまだ油断はできません」
また、開幕戦に先だって当地で行われた三日間のテストでも好調さを発揮していた鳥羽は
「フリープラクティスの組み立ても、タイムを出すポイントも、去年までとは変わってくるので、(去年までFPや予選で大勢の選手が行っていたような)誰かを待ってタイムアップを狙うような余裕はありません。たまたま誰かが前にいれば、そのスリップストリームを使おうと思うけど、誰もいなくても単独で走ってタイムを出せているし、コンスタントに走れているので、(予選と決勝に向けた)自信はあります」
一方で、鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)は、FP2の終盤に自己ベストを更新するペースで走行していたものの最終コーナーで転倒。Q2進出の射程圏をはずしてしまい、17番手。フル参戦デビューの小椋藍(ホンダ・チーム・アジア)は18番手。FP1で5番手と好スタートを決めた佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)は、FP2で苦戦を喫して初日総合19番手。また、急遽代役参戦でMoto3デビューを果たした山中琉聖(Estrella Galicia 0,0)は、28番手で金曜の走行を終えた。
現地時間土曜午後1時25分に始まるFP3で、彼らが金曜のタイムをさらに更新できるのかどうか。また、QP1に組み込まれたとしても、そこで上位4名の枠に入ってQ2へ進み、前方グリッドを争うことができるのかどうか。
新しい予選フォーマットの導入により、中小排気量クラスの金曜と土曜のセッションは明らかに昨年よりも緊張感を増している。レースファンにとっては、観戦の醍醐味がまたひとつ増えたことはまちがいなさそうだ。
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