半導体不足の影響はMotoGPにも……新型ECUがサテライトに届かない! 状況次第ではファクトリー有利に??
新型コロナウイルスの感染拡大は世界中の半導体不足を引き起こしてきたが、MotoGPの世界でもその影響はまだ残っている。MotoGPの開幕が迫っているが、現在のところMagneti Marelli社製の共通ECUの更新が間に合っておらず、現在はファクトリーチームのみがバージョンアップされた仕様のモノを使っているようだ。
新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、サプライチェーンの乱れから世界的な半導体不足が発生し、多くの産業が影響を受けてきた。そして、今も収まりきっていないその影響はMotoGPの世界にも及んでいる。
影響が出ているのは、マシンに搭載されているECUだ。MotoGPマシンのECUは現在統一されており、Magneti Marelliによる供給が行われている。
そのECUは当初、2023年のセパンテスト前の段階でアップデート仕様の製品を各チームに供給することを目指していた。
しかし、半導体の供給の問題によって十分な部品を確保することができず、そのプラン通りに進まなくなってしまった。現在のところ、新型ECUを配布されているのは参戦5メーカー(ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTM、アプリリア)のみだ。その他のサテライトチームは旧仕様のままとなっていて、新型をいつ受領できるかはまだ定かではない状況にある。
Magneti Marelli control box
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
あるドゥカティのサテライトチームのエンジニアは、motorsport.comスペイン版に対し次のように内情を語っている。
「サプライヤーはすべてのチームに供給するために十分な半導体を確保できておらず、現時点ではファクトリーチームのみが新しいECUを手に入れている」
「新しいECUは根本的な変化があるわけではないが、よりパワフルに進化している。重要なのはそれが開発されておらず、現在のところは旧型に対してアドバンテージはないところだ。メモリが増え、プロセッサが高速になり情報の読み込みが速くなっているだけだ」
またホンダのエンジニアは新型と旧型とで比較しても同じようなものだと語っている。
「どちらかというと、温度のセーフティアップデートのようなものなんだ。もし(機能的に)改善しているように見えたとしても、ソフトウェアは同じなんだ。我々は新旧の比較テストを行なったが、ライダーにとって変わりはなかった。彼らは違いに気がついていなかったよ」
さらにアプリリアのエンジニアからはハードウェア設計に対する不満の声も聞こえていた。
MotoGPでは現在、レギュレーションによってECUが統一されている。しかし前述のように新型がファクトリーチームにのみ配られている状況となってしまっているため、問題があるように見えるかもしれない。ただ実際には、この状況は合法の範囲内と見られている。
なおドゥカティのエンジニアによると、3月11日から始まるポルティマオテストでECUは改良されると考えられているという。その場合、ファクトリーチームはサテライトチームに新型が届く前のレースでは、彼らに対してわずかながらアドバンテージを得ることになる可能性も残っている。
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