来季MotoGP新スチュワードにライダー達「もっと公平に」と期待大。ペナルティの一貫性向上なるか

MotoGPライダー達は、2025年から新たにスチュワードへ就任するサイモン・クラファーがより裁定プロセスを改善してくれることを期待している。

Simon Crafar, Jack Appleyard

Simon Crafar, Jack Appleyard

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGPスチュワードパネルの最高責任者が2025年以降、フレディ・スペンサーからサイモン・クラファーへと変更される。ライダー達はクラファーに対し、プロセスの改善を期待していると語った。

 スチュワードパネルは、規則にしたがってレース中のインシデントにペナルティを科すかどうか、その場合のペナルティをどうするかといった重要な判断を下している組織だ。ただ近年では、その裁定に一貫性が無いといった批判の声も大きくなっており、ライダーからも批判されていた。

 2度の500cc王者であるスペンサーからそのスチュワードにおける役割を引き継ぐことになったクラファー。彼も元GPライダーだが、ライダー達はこの人事によって不満の生じるようなペナルティが減ることを期待している。

 第10戦を終えてポイントリーダーにつけているホルヘ・マルティン(プラマック)は、MotoGPの中継レポーターなどでも冷静かつ注意深くコース上の出来事を評価してきたクラファーだからこそ期待していると語った。

「僕にとっては大きな変化だし、素晴らしい変化だ。サイモンのことはよく知っているし、彼は今もバイクに乗っていることも分かっている」とマルティンは言う。

「バイクの動きや、物事の変化について、彼はもう少し理解してくれるだろう」

「様々なシチュエーションの間で、彼ならより公平にやってくれるんじゃないかな。常にこのスポーツのことを理解しようとしているし、僕らからも学ぼうと、色々と質問を投げかけて来ているんだ。だから、新しい仕事でもとても上手くやってくれるだろう」

Jorge Martin, Pramac Racing

Jorge Martin, Pramac Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 今スチュワードを務めているスペンサーに対する批判要因のひとつには、ライダーやチームとのコミュニケーション不足が指摘されており、多くの人がスペンサーの決定の背景にある理由を完全に理解できていなかった人が多いという点もある。

 今季3連覇を目指しているフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)は、クラファーがコメンテーターという難しい役割を務めてきた経歴もあり、ふさわしい人選だと感じていると語った。

「(スチュワードは)パドックで最も難しい仕事のひとつだと思っているよ。ああいったことを選ぶのは、簡単じゃない」

 バニャイヤはそう語る。

「でもサイモンの良いところは、僕らが彼とちゃんと話せるということだ。毎週末彼とはよく話すし、彼が(スチュワードになっても)同じ方向を維持することができれば、とても良い仕事ぶりになると思う。でも、それだとしても簡単な仕事ではないのは間違いない」

 また現役で最多の6度王者であるマルク・マルケス(グレシーニ)も、クラファーのスチュワード就任を支持した。

「サイモンの幸運を祈っている。とても難しい役割だからね。サッカーにおける審判なようなモノだし、誰もを満足させることは不可能だ」とマルケスは語った。

「結局これは正しい決定だし、僕らは同じルール、もしくは新しいルールであっても、その限界がどこにあるのか適応する必要があるんだ。今年はそれが少し変わっていると思っているけど、僕は安心しているよ」

 マルコ・ベッツェッキ(VR46)もクラファーの手腕に期待を寄せている。

 なおクラファーは2002年まで現役のレーサーで、今はアマチュアではあるもののサーキットでのバイクの走行を続けていることも、ライダーからは好意的に受け取られている。

「彼はよりレースを理解していると思っている。それは彼がバイクに乗っていたからだ」とベッツェッキは語った。

「フレディもそうだけど、彼は全く違う時代だったんだ」

「(クラファーは)過去にバイクに乗っていて、それだけではなくMotoGPに長年関わり続けてきた。だから、彼が良い仕事をしてくれることを期待している。彼のことは大好きだし、とても期待しているんだ」

「ただこれが難しい仕事だというのも分かっている。彼が選ばれたのも、彼にはそれだけの理由があったということだ」

 

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