KTM、2021年は"スーパーエンジン”で更に有利に? 他メーカーが懸念
KTMは今季既に2勝を挙げ、2021年シーズンはコンセッションを失うことが決定済みだ。にもかかわらず彼らは来季に向けエンジン開発を許可されることになっており、他メーカーはKTMの大きなアドバンテージになるとして懸念を抱いている。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
新型コロナウイルスのパンデミックはMotoGPのシーズン中断など様々な影響を及ぼし、プロモーターのドルナ・スポーツや参戦メーカー、FIMなどはその対応に追われた。
パンデミックによる経済的な影響について、彼らは開発凍結による支出抑制を目指し、MSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会)の6メーカーは2021年末までエンジン開発を凍結することで合意に至った。なおコンセッション(優遇措置)を適用されているメーカー(KTM、アプリリア)に関しては、今季の開発は凍結されるものの、2021年の開幕戦以降はアップグレードが可能とされた。
ただ、KTMはシーズンが始まると大きく躍進。チェコGPとスティリアGPで勝利を収めたことで、2021年からはコンセッションを失うことが決まった。そのためKTMは来季からエンジン開発が凍結されることになり、使用可能なエンジン基数も他メーカーと同様の数に減少。さらに即時的に自由なテストも不可能となった。
これらはKTMの進化を遅くするはずだ。しかし現在の状況では、全く逆のことが起こる可能性がある。
8月のオーストリアGP開催前、MSMAは同地で開かれた会合において、KTMに2021年を見据え、今季は封印されているエンジンの開封許可を与えることで合意していたことが、motorsport.comの取材で明らかとなっていた。
しかしこの動きはいくつかのライバルメーカーを怒らせているようだ。
「我々はKTMが2021年に向け“スーパーエンジン”を準備していると考えている」と、MSMAの関係者はmotorsport.comに明かした。
「他メーカーと違い、彼らは何の制限もなくエンジンを開封し、手を入れる事ができる。実際、彼らが望めば何もかもが可能だ」
驚異的な改善を遂げているKTMに対し、なぜこうした譲歩が与えられるのか、不思議に思う向きもあるだろう。
調べによると当初の提案は、KTMが現在のエンジンの耐久性に懸念を示したことで、2021年はエンジン2基を追加で使用することを認める(2021年は20レースで通常7基のところ9基使用できる)というものだった。
しかし6メーカーの意見が一致しなかったことで、グランプリコミッションの執行部が介入し、土壇場になって8月末に適用されるレギュレーションの変更をMSMAに伝えたようだ。
『2020年にコンセッションを与えられ、2021年からはそれを喪失して挑むメーカーは、2021年の最初のイベントからエンジンに関するホモロゲーション規制を受け、その(2021年の)仕様をテクニカルディレクターへ提出しなければならない(FIMレギュレーション 2.4)』と、追記箇所には記されている。
つまりKTMは本来ならコンセッション喪失に伴って、来季からエンジン開発の自由を失い、耐久性に懸念のある2020年型エンジンで1シーズンを過ごす予定だったが、新たな2021年型のエンジンで新シーズンに挑むことができるという意味となる。
飛躍的な進歩を遂げているKTMだが、2021年に向けエンジンアップグレードを許可されたことで、さらに強さを増す可能性がありそうだ。
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