【MotoGP】ふたりのライダーが語るスズキへの愛着。エスパルガロ「飼い犬の名前も”スズキ”」
MotoGP復帰2年目のシーズンを終えたスズキ。今季限りでチームを離れるふたりのライダーに、その想いを訊いた
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGPの2016年最終戦を終えたバレンシアサーキットで、 来季に向けた公式テストが始まった。
2017年シーズンは、いくつもの大型移籍が関心と注目を集めている。たとえばヤマハファクトリーのホルヘ・ロレンソはドゥカティのファクトリーチームへ、ドゥカティファクトリーのアンドレア・イアンノーネは、スズキのファクトリーへと移る。そのスズキのファクトリーチームで2年間を戦ってきたマーベリック・ビニャーレスはヤマハファクトリーへ移籍して、バレンティーノ・ロッシのチームメイトとなる。一方、アレイシ・エスパルガロはスズキからアプリリアファクトリーチームを運営するグレシーニ・レーシングで新たなシーズンを迎える。
スズキは2011年いっぱいで一旦MotoGPの参戦活動を停止させた後、2015年から復帰を果たした。復帰を遂げた際にファクトリーライダーとして起用されたのが、エスパルガロとビニャーレスの両選手だ。エスパルガロは豊富な参戦経験を評価され、一方当時Moto2クラス1年目だったビニャーレスは、将来性を嘱望された大抜擢だった。
MotoGPへの復帰を模索し、実現させるまでの日本人エンジニアたちの苦労を目の当たりにしてきただけに、活動再開後の彼らがどのようなパフォーマンスを発揮し、戦闘力を向上させてゆくのか、というところに私事ながら強い興味を抱いていた。なので、エスパルガロとビニャーレスの両選手には、復帰直前のテストからずっと取材を続けてきた。彼らがスズキを離れるに至った経緯はそれぞれ事情が異なるものの、最終戦のバレンシアGPはエスパルガロ、ビニャーレス共に感慨深いレースになったようだ。
レースを終えた彼らに、スズキで過ごした2年間の思いを訊ねてみた。
ビニャーレスは「ライダーとして大きく成長できた期間だった」と振り返った。
「1年目はとても苦労した。11位や12位の結果で終わってばかりだったけど、『僕のいる場所はこんなところじゃない』といつも思っていたんだ。でも、今年は良い走りをできたし、バイクのレベルが向上して自分自身もライダーとして成長できた。今シーズンは、年間ランキング4位で終われたのでとても良かった。素晴らしい2年間を過ごせたと思う」
エスパルガロは決勝前日にも「明日でこのチームと仕事をするのは最後になるので、全力を賭けて最大限がんばりたい」と話していたが、レースを走り終えた彼は、リスクを取って転倒してしまうよりも、チームへの感謝として最高の形で走りきってチェッカーフラグを受ける方を選んだ、と話した。
「今から振り返ると、復帰当初はレベルがかなり厳しかったけど、良いところまで改良を進め、2年目はバイクがだいぶよくなってきた。今年はシーズン序盤に何度もミスをしてしまって、バイクのレベルに合った結果を残せなかったのが残念だ。でも、僕はいつも全力で走ってきたし、それはチームの皆が一番良く分かってくれている。スズキ史上でも最高のバイクを作り上げる一助にはなれたと思う。家族同然のチームで、とても良い思い出ばかりだ。スズキの一員として戦うことができて良かった。この2年間のことはずっと忘れないよ。だって、僕は飼ってる犬の一頭に〈スズキ〉と名付けているんだからね」
取材・文/西村章
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