MotoGP、内燃エンジンはこの先も不滅か? KTMは合成燃料による環境対策の未来を確信
KTMのディレクターを務めるピット・ベイラーは、MotoGPにおける将来の競技環境について、カーボンニュートラル燃料の発達により、電動化へと進むことは無いだろうと考えている。
写真:: Ducati Corse
地球温暖化防止のためCO2排出量の削減が目指されている昨今だが、MotoGPはカーボンニュートラル燃料の使用によって内燃機関によるレースを継続できると、KTMのピット・ベイラーは自論を展開した。
MotoGPはバイクレースの世界最高峰として知られているが、2019年からは電動バイクによるレースシリーズのMotoEが併催されてきた。そして、このMotoEは2023年からFIM世界選手権の地位へと昇格し、マシンもドゥカティの新型へと変更されることになっている。
そしてドゥカティが投入する新型マシンによって、MotoEのパフォーマンスや外部からの注目がより高まることが期待されている。
実際、モータースポーツの世界でもCO2排出削減や環境対策の取り組みが非常に重要視されている。四輪レースの世界ではF1はすでにハイブリッドシステムを投入しており、フォーミュラEといった電動マシンによるレースもより拡大しており、二輪よりも先行していると言えるだろう。
MotoEの変化もその流れに乗るものと言える。ただ、だからといってMotoGPまでもが電動マシンで争われるようになることは無いと、KTMのモータースポーツディレクターを務めるピット・ベイラーは語っている。
KTMの母国オーストリアのServusTVに出演したベイラーは、e-fuel(イーフューエル:合成燃料)の発達が、将来的な解決策になると考えていると話した。
「現在、我々は小型ユニットでの電動マシンを目にしているが、本当に楽しいと言うのであれば、それは内燃機関であるべきだ」
「MotoGPの道は明らかだ。我々は鉱油業界とe-fuelにおいて連携して取り組んでいる。e-fuelはCO2ニュートラルで、環境に優しいモータースポーツとするための解決策になってくるだろう」
「もちろん、我々は周囲で何が起こっているのかは注視している。テクノロジーに対して開かれた姿勢をとり、開発を見守る必要があると思う。しかしバッテリーは大型車であっても、大型バイクにとっても、解決策にはならないだろう」
ベイラーはe-モビリティの代替案が「e-fuelによって開かれた」と語っている。
「開発は急速に進んでいる。MotoGPもここで先進的な役割を果たしているんだ」
「我々はサプライヤーを必要としているが、そうした製品を量産車など通常の車両で、社会的に受け入れられるようにするためには、我々のテストも重要になってくる」
「2024年からMotoGPは燃料に非化石由来のモノを4割使用することになる。そして2027年は100%へ引き上げられる。みんなの役に立つモノを作ることになるんだ。CO2排出がニュートラルの燃料を、世界の公道を走る全てのバイクやその他の車両が使うことができるんだ」
ベイラーは「巨大なバッテリーを製造するよりも、ずっと理にかなっていると思う」と続ける。
「例えば、MotoGPマシンは22リットルの燃料を使っている。しかしそれをバッテリーで置き換えるには、600kgものバッテリーを載せなくちゃならないんだ」
「そうなれば、レースは退屈なモノになるだろう。上手くいくわけがない。e-fuelはMotoGPの未来だよ」
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