ペドロサ効果は“予想以上”。KTM、進む改善の影にサムライの姿
KTMのピット・ベイラーは、テストライダーとして起用したダニ・ペドロサの影響は予想以上のモノだと語り、その働きを称賛した。

2018年シーズンをもって、MotoGPを引退したダニ・ペドロサ。彼はMotoGPにデビュー以来13年と長きに渡ってレプソル・ホンダでキャリアを過ごしたが、引退後のキャリアには“KTMのテストライダー”という役割を選択。2019年からKTMのマシン開発に対する貢献が期待された。
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長年の現役生活で蓄積した負傷を癒やしたペドロサは、冬季テストこそ欠席したものの、以降はKTMでのテストライダーとしての任務を開始。既に2020年型マシンの開発に取り組んでいる。
ただ、レギュラーライダーのヨハン・ザルコが2年契約を早期に終了させることになったこともあり、ペドロサが2020年にそのシートを埋める形でレースに復帰するのではないかと見る向きもあった。しかしペドロサは、現役復帰には興味が無いときっぱりとその説を否定した。
KTMでモータースポーツディレクターを務めるピット・ベイラーは、ペドロサのこうした姿勢について、特に現在のポジションと、こなしている仕事を考えれば問題ないと明かしている。
「ダニが我々と契約した時、我々はワイルドカード参戦について“計画すべきかどうか”を彼に質問した。そして彼は明確に“ノー”と我々に答えた」
「彼は辞めるだけの理由があってレーサーであることを辞めたと、そして持てる力全てをテストに注ぐと語った」
「我々はそうした決定については全く問題にしていない。トラックで結果を残すことは本当に我々の助けになるが、彼の素晴らしいキャリアでも無理なものは無理で、(強引なレース復帰は)トラブルしかもたらさないだろう」
「そして我々には確かに彼が必要だ。現時点でテストライダーとして彼と共に行ってきた仕事は、私の想像や期待以上のモノだ。今後、我々のプロジェクトにおいて彼はキーパーソンとなるだろう。だから彼がレース復帰に“ノー”と言っても何の問題もないんだ」
ペドロサが実際にテストを開始すると、レギュラーライダーのポル・エスパルガロは、バイクへのコメントが似ていると語った。
「正直、ダニは僕の予想よりもこの状況を真剣に受けとっていた」と、エスパルガロは言う。
「ホンダから離れた時、彼はMotoGPの世界で燃え尽きていた。だから僕としては、他のメーカーの、それも必然的にホンダには劣るバイクで、彼が100%のパフォーマンスを発揮すると信じることは難しかった」
「彼がこのプロジェクトをどれほど真剣に捉えているかを信じられなかった。でも彼はバイクに飛び乗り、そしてファクトリーへ赴いて全てを直していった。彼は(KTMでのマシン開発に)多大な努力を注いでいる」
「何かが上手くいっていない時、彼はそれが何故なのか、そして何が間違っているのかを解明したがる。時には怒っていることもあるけど、それは彼が全てを完璧にしたいと思っているからだ。率直に言って彼はとても細かいところまで正確に見ていて、全てが上手くいっているよ」
またベイラーは、ペドロサがレースに出場しない方が、チームにとっては良いと考えていると明かした。
「正直、(レースに出るという)電話は来ないと良いと思っている」
「このプロジェクトを中期的に考えれば、彼から(レース出場)の連絡が無い方が健全だと思っている」
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Additional reporting by German Garcia Casanova

Dani Pedrosa, Red Bull KTM Factory Racing Test Rider, Stefan Pierer, CEO KTM Group
Photo by: Gold and Goose / LAT Images
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