MotoGP オーストリアGP

アコスタよ、MotoGPは「最速のライダーが常に勝つわけでは無い」と理解せよ。先輩エスパルガロの助言

ポル・エスパルガロは最近苦戦が続いているペドロ・アコスタに対して、MotoGPでは「最速のライダーが常に勝つ訳では無い」と先輩としてアドバイスを贈っている。

Pedro Acosta, Tech3 GASGAS Factory Racing

 2024年シーズンに大注目されて昇格してきた新人のペドロ・アコスタ(GASGAS)は中盤戦に入り、失速してしまっている。そんな現状のアコスタに、KTMテストライダーのポル・エスパルガロはMotoGPでの長い経験からアドバイスを贈った。

 アコスタのルーキーイヤーの戦いぶりは、開幕戦で6度のMotoGP王者マルク・マルケス(グレシーニ)と戦い、第2戦ポルトガル、第3戦アメリカズで連続表彰台を獲得するという、センセーショナルな形で始まった。しかしそこからアコスタは少しずつ苦しい状況に陥った。

 第4~第11戦までの8戦で、アコスタは2レースを完走できておらず、ワーストリザルトは13位。特に先日行なわれたKTMの母国戦オーストリアGPでは転倒などがあったわけでもない状況で、ワーストタイの13位を記録してしまった。

 アコスタも「大きな期待を持ってここに来ていたけど、胸のうちに大きな痛みを抱えて去ることになる」と語るなど、その結果を厳しく受け止めている。

 アコスタが今経験している出来事は、米バスケットボールリーグのNBAでは“ルーキーの壁”として経験的に知られている、典型的なパフォーマンスの落ち込みと同一視できるだろう。NBAではキャリアをスタートさせたルーキーが、2~3ヵ月後にパフォーマンスを低下させてしまうことが歴史的に繰り返されており、それはドラフト1位で選ばれたプレイヤーですら逃れられていない。

 あるMotoGPエンジニアは、苦戦するアコスタの現状について次のように語っている。

「アコスタの力を疑っている人は誰もいないだろう。彼は非常に強力に成長してきていて、だからこそ今の結果には大きなコントラストが見えている。個人的には、彼はKTM全体を背負っているように思えるが、若い彼には……たとえ彼がどれだけ優秀であろうとも、重荷となっているのではないかな」

 オーストリアGPを訪れたジャーナリストの中でも、最も経験豊富なある人物も、アコスタがKTM陣営で過剰な責任を負っていると指摘した。

Pedro Acosta no terminó nada contento el fin de semana austríaco

Pedro Acosta no terminó nada contento el fin de semana austríaco

Foto de: GasGas Factory Racing

「アコスタは驚異的なライダーであり、“選ばれし者”のひとりとしての力を持っている。彼はバイクの開発において、実際にKTMがそれを求めているのか分からないほどの責任を負っている」

 そんなアコスタに、KTMでの大先輩で新人の寄る辺のひとつとなっているポル・エスパルガロが、アドバイスとなる言葉を贈っている。

「MotoGPでは、最速のライダーが常に勝つわけでは無い」

 エスパルガロは、アコスタにどういったアドバイスをするかと尋ねられた際、そう語った。

Pol Espargaró, Red Bull KTM Factory Racing

Pol Espargaró, Red Bull KTM Factory Racing

Foto de: Gold and Goose / Motorsport Images

「良いか悪いかはともかくとして、残念だけどMotoGPでは最高のライダーや最速のライダーが常に勝つわけじゃない。アコスタはそのことを理解する必要がある」

「MotoGPはサッカーやテニスなんかのスポーツのように、もっと言えば陸上競技のように、最高の選手が勝つスポーツでは無い。ここでは、勝つために才能以外のモノも必要なんだ」

「残念ながら、僕らは彼を適切な場所に立たせてあげられていないし、彼も適切な位置に立っていない。でも彼は耐える必要がある。僕も彼の年齢やその才能、ハングリーさは知っているから、我慢が難しいのも分かるけどね」

「僕らはドゥカティ勢に追いつくためにできる限りハードに取り組みを進めている。来年はドゥカティの圧倒的な優位の終わりの始まりになると確信しているんだ。ただそうだとしても、僕らは努力しつづけなくてはいけない。それにペドロもこのプロジェクトを信じ続ける必要がある」

「僕もペドロと同じような気持ちだ。実際、今週末はもっと良くなるだろうと考えていたのも事実だからね。個人的には、テストでは今週末よりも速く走れていたんだ。そのようにならなかったから、分析を重ねる必要がある」

「良かったのは新型バイクを走らせたことと、その弱点や強みを理解してより良いバイクに近づけられていることだ」

 

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