MotoGPライダーのキャリア、今後は短くなる? 2024年はテストライダーのポル・エスパルガロ「メンタルも肉体も要求が厳しくなっている」

2024年はKTMでテストライダーを務めるポル・エスパルガロだが、これまでのMotoGPキャリアを振り返る中で、徐々にシリーズとしてライダーへの負荷が強くなっており、将来的にライダーのキャリアは短くなっていくと予想していると語った。

Pol Espargaro, Tech3 GASGAS Factory Racing

 2023年限りでひとまずMotoGPのレギュラー参戦を終了したポル・エスパルガロ。彼はこれまでのキャリアを振り返り、MotoGPのライダーへの負荷が高まっていることで、ライダーのキャリアが今後短くなると予想を語った。

 エスパルガロは2014年にテック3・ヤマハでMotoGPデビューを果たし、2023年まで10シーズンを戦った。2023年はKTM陣営となったテック3に復帰したが、開幕戦で大怪我を負ってしまい、シーズン中盤まで欠場を強いられると、KTMの育成ライダーであるペドロ・アコスタの最高峰クラス昇格のためにシートを譲る形でレギュラー参戦を終了。2024年はKTMのテストライダーを務めることになった。

 ヤマハ、KTM、ホンダと3メーカーのマシンを走らせてきたエスパルガロは、自身の経験から、MotoGPは次第にライダーに対する負荷が増えてきていると語る。

「(MotoGPクラスで)走り始めたときはヤマハ陣営で、グリッドの中でも一番肉体的に楽なバイクだったんだ」

「僕は週に2度はジムに行っていたんだ! 外出して余暇も楽しんでいて、本当に強度が強いわけではなかった」

「KTMに加わって、僕は真にプロフェッショナルとなりはじめた。より真剣になり、食事を変え、めちゃくちゃ厳しく取り組むようになったんだ。その事がパフォーマンスを良くする助けになったし、MotoGPでレースをする上で一貫性を保つ役に立ったよ」

 こうしたエスパルガロの変化は、サテライトチームからファクトリーチームへと移ったから、と単に判断するだけではなく、MotoGPが年月を重ねてどう変化してきたかを表すモノでもある。

「ヤマハのM1はフィジカルには楽なバイクだったけど、今はもっとフィジカルが必要なんだ。そしてこのカテゴリーはテクノロジー面でも、精神面でも肉体的にも要求が厳しくなっている。乗っているときにも(ライドハイト)デバイスを使ったりいろいろあるからね……」

「大変だよ。でもライダー間の差がとても小さいから0.5秒の差でQ2に行けるかどうかが決まる。電子制御を正確に使うことが大事なんだ。そして、このカテゴリーではそれがより重要になっている」

「今ではフィジカルの問題だけじゃなく、とてもストレスも多い。たくさんのシステムを走りながら切り替える必要があるから、そういったものがとてもストレスになるんだ」

「それに加えて、今はレースウィークに2度のレースがある。フィジカルだけではなく、精神的にもかなり”クる”んだ」

 そしてエスパルガロは今後、MotoGPライダーのキャリアは短くなっていくはずだとも予想している。

「MotoGPクラスにくるライダーはもう少し年を重ねてからくることになるだろう」

「何年か先まではとても若いライダーがMotoGPクラスにやってくるだろうけど、そういった年齢でここにたどり着くのは、彼らが最後の世代になるはずだ。次に加わってくるライダーはもう少し年をとって、MotoGPでのキャリアはより短くなると思う」

「このプログラムを何年も続けるのは難しいだろう……怪我を見れば分かる。21歳や22歳のときは、怪我からの回復も簡単だった。でも30歳にもなると、乗り越えるのも簡単じゃないと経験から僕は伝えられるよ!」

 

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