マルケス専用とも揶揄されるホンダ・RC213V、その“呪い”はエスパルガロの手で解ける?
レプソル・ホンダへ加入したポル・エスパルガロは、ホンダファクトリーに在籍するということは、最初から勝利を目指し、“言い訳無しで”良い結果を残すことが求められると、その覚悟を語った。
Pol Espargaro, Repsol Honda Team
Repsol Media
MotoGP2021年シーズンに、レプソル・ホンダへ移籍したポル・エスパルガロ。彼はそうそうたる実績を持つホンダファクトリーチームへの加入にあたって、言い訳はできないと覚悟を語った。
エスパルガロは2013年にMoto2で王者に輝くと、翌年にテック3・ヤマハからMotoGPへデビュー。2017年にはKTMファクトリーチームへ移籍し、2020年シーズンには5度表彰台を射止める活躍を見せた。
彼は今季、6度のMotoGP王者であるマルク・マルケスのチームメイトとしてホンダへ2年契約で加入。2月下旬に行なわれたチームローンチイベント後に行なわれた取材で、シーズン序盤から結果を出すことが必要であり、適応に時間を多くかけるわけにはいかないという認識を示した。
「できるだけ早く上へ行きたいと思っている」と、エスパルガロ。
「僕は賭けの対象には入っていない。過去にホンダのマシンを走らせてきたライダーも上手くいっていなかったからね。難しいバイクだし、恐らく僕の適応も大変だろう」
「いろんな意見を耳にした。でも自分の仕事に集中して、チームと粘り強く作業をしていかなくちゃいけない。乗り回す時間は多くは望めないだろうから、ハードにあたっていくことが必要だ。自分が賭けの対象になっていないことは良いことだよ。驚かすことができるようにしたいね」
そう語るエスパルガロ。今季は新型コロナウイルスの影響でセパンテストが中止となり、その代替としてカタールテストの日程を追加がされ、計5日間のテストとなったが、彼はこの期間でできる限りRC213Vへ適応する必要がある。
ホンダ・RC213Vはフロントエンドの特性の難しさなどで、適応が難しいバイクだと度々取り上げられてきた。2019年に鳴り物入りで加入した3度のMotoGP王者ホルヘ・ロレンソも適応に苦しんでいた。もちろん、LCRホンダで走らせていたカル・クラッチローなども数多くの苦言を呈してきた。
ただエスパルガロはマシンへの適応に多くの時間を費やすことは避けたいと考えており、マシンをより理解するためにテストから全力でプッシュしていくと語った。
「ホンダで結果を出せずに適応に1年も費やす余裕は無い。ホンダは僕がマシンを開発していくことは考えていなかったし、彼らはそれを引き受けるテストライダーもいる」
「ホンダは僕に勝利を、結果を望んでいる。だから僕は歯を食いしばって頑張るよ」
「RC213Vのフロントエンドが重要なことは確かだし、僕のライディングに求められている点でもある。そこを改善するために経験を活かすつもりだ。カタールテストの初日、その最初のコーナーから僕はバイクを知るためにも限界まで攻める。そこで限界を超えてクラッシュしてしまったとしても、必要なら何度でもクラッシュするよ」
「今僕が最も懸念しているのはマシンのフロントエンドの特性に適応するのにどれくらい時間がかかるかという点だ。ブレーキング自体は僕がこれまでにタイムを稼いできたところだし、コーナリングはあまり得意じゃないから、フロントエンドに自信を持つことが必要だ。だから自信を持つために必要ならリスクもいとわない。僕にとって必要なことなんだ」
エスパルガロは、RC213Vでマルケス以外に勝利を挙げた直近のライダーがダニ・ペドロサまで遡るという状況について、それを終わらせるときが来たと考えている。
「“呪い”を解く時が来ることを願っている。でもペドロサ以来マルケス以外の誰も(RC213Vで)勝ってこなかったという事実は、このバイクの難しさや複雑さ、レースで勝ちタイトルを勝ち取ってきたマルクの特殊なライディングを求めているということを示している」
「マルクのしていることを真似する必要があるし、それら全てを短期間でやる必要がある。シーズン中盤を待つことはできない。もしシーズン中盤に先頭集団で戦えていないようなら、乗り遅れてしまっているだろうね」
ホンダ移籍に伴うエスパルガロのこうした妥協を許さないアプローチ。彼はそれが自分にとって必要なものだと語る。
「そうだ。間違いなくそれは僕のためだ。レプソル・ホンダへ移籍することを考えたときから、“オール・オア・ナッシング”なんだというのはハッキリしていた」
「とても優秀なライダーがここで成功できなかった結果を僕も見てきた。このレプソル・ホンダの色が何を意味していて、責任を伴うものだということも理解している。マルクが序盤戦に居なくても、僕が最初から結果を出す必要があるんだ。僕にはそのための道具もあるし、このカラーリングにはそのレベルのリザルトが求められている」
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