芝生横切ってピットインのマルク・マルケス、ペナルティが科されなかったのは何故なのか?
MotoGP第4戦スペインGPのスプリントレースにおけるマルク・マルケスの転倒後のピットインが物議を醸している。しかし結局ペナルティは科されていないが、それはどうしてなのか?
雨で大波乱のスプリントレースとなったMotoGP第4戦スペインGP。勝利したマルク・マルケス(ドゥカティ)に対してはレース中のマシン乗り換え時の行動に対し批判の声が挙がっているが、なぜペナルティが発生しなかったのだろうか?
雨によってフラッグトゥフラッグ(バイク乗り換えあり)となったスプリントレース。ポールシッターのマルク・マルケスは2番手を走行中、雨の影響が強まってきた8周目のターン13で転倒してしまった。この時マルケスはマシンを起こしてコースに戻ると、通常のルートではなく、ターン13と芝生を横切ってピットレーンに入ってマシンを交換した。
このマシン乗り換えが決定的な要因となり、マルケスはスプリントレースを勝利したが、転倒後のマシン乗り換え時の行動が物議を醸すこととなった。
ヨハン・ザルコ(LCR)だけでなく、例えばDAZNで解説を務めていたホルヘ・ロレンソやポル・エスパルガロといった元GPライダーがペナルティの可能性を指摘していた。そして多くのファンも、ピットレーンに入る際にコーナーをカットすることが異例であったことから、ペナルティが妥当と感じていた。
しかし規則を厳密に解釈すると、マルケスはルール違反を冒していない事がわかる。ただし、規則自体がより明確であるべきだという余地は残る。
この状況を理解するには水曜日に遡る必要がある。3日前、レースディレクションはすべてのグランプリで行なわれる通常の手順として、特定状況における手順を明確化する通達を発行していた。そして、その中の一つがピットレーンの出入りに関する規定だった。その通達は以下の通りだ。
「ピット出口および入口:ピットレーンからコースに再合流する際の規則を遵守することを再度周知する。ライダーは、ピット出口レーンを示す右側の実線白線の内側に留まり、ピット出口に描かれた破線白線を通過するまでその位置を維持しなければならない。これはすべての走行セッションおよびレース中のすべてのピットアウトに適用される。違反はペナルティの対象となる可能性がある」
「レース中(例:MotoGPのフラッグ・トゥ・フラッグレース):コーナーカットおよび危険な走行を避けるため、ピットレーン入口および出口の内側の実線白線を遵守しなければならない」
重要なポイントはこの2つ目、レース中のライダーの行動に関する部分だ。最も重要なのは「ピットレーン入口の内側の実線白線を守る必要がある」と明記されている点だ。しかしマルケスが越えたのはこの内側の線ではなく外側の線であり、彼の行動はこの文書では直接的に規定されていない。
さらに、マルケスはピット入口のトラックリミットを示すグリーンのペイント部分も通過しておらず、代わりに芝生の上を走行していた。また、ピットレーンの速度制限も守っていた。
したがって規則違反はなく、マルケスにペナルティは科されず、その判断は正しいものとされた。とりわけ重要なのは、ピットレーン入口で越えてはならないのは内側のラインのみであるということだ。
確かに、マルケスがコーナーをカットしたと解釈することは可能であり、それはレースディレクションが防ごうとしている行為でもある。しかし文言上の厳密な解釈が、7度のMotoGP王者を救う結果となった。また、危険な状況が生じ得た可能性もあったが、マルケスは全車が通過するのを待ってから安全にコースへ復帰しており、損傷したバイクで雨が強まる中を走り続けるよりも安全な選択をしていたとも言える。
「コース上でバイクを再始動してはいけないことと、復帰時に危険な状況を作ってはいけないことは知っていた。だから僕はその場で待ち、他のライダーを先に行かせてからレースに戻り、そのままピットに入ったんだ」
マルケスは後にそう語った。とはいえ、2025年アメリカズGPでのマルケスのマシン乗り換え事例のように、ルールの“グレーゾーン”を突いたケースでは後に規則が明確化されたように、今後はより明確な表現に改められる可能性は高い。
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