MotoGPはスペクタクルを失っているのか? ホンダ支えるレプソル、開発とバトルの関係に物申す
ホンダMotoGPのタイトルスポンサーを務めているレプソル。彼らはスポンサーサイトへの投稿で、MotoGPの技術開発の進歩がレースのスペクタクルに与える影響について提言を行なっている。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
世界最高峰のモーターサイクルレースであるMotoGP。最高峰のMotoGPクラスでは参戦メーカーのプロトタイプマシンによる激しい競争が日夜繰り広げられている。
ホンダファクトリーチームのタイトルスポンサーを務めるレプソルは、スポンサーサイトのBox Repsolの中で、ある記事を公開した。当該記事のタイトルは『技術の進歩はMotoGPのスペクタクルに影響を与えているのか』となっており、大スポンサーのレプソルのサイトで、競争と技術開発の進歩がレースのスペクタクルに影響を与えている可能性、レースが”魅力を失っている”可能性ついて論じたことで、話題となった。
当該記事はMotoGPの近年のレギュレーション変遷を振り返りながら、それらについては”できるだけバランスのとれたフェアな競争にするための対応”だと評価している。
そして現在のMotoGPについては「史上最もタイトなチャンピオンシップ」であると紹介しているが、その続きでは”建設的かつポジティブな視点”から技術とスペクタクルの間のバランスについてを論じている。
「エアロダイナミクス要素の多量な活用や、加速を効果的に得るための車高の調整システムなど、新テクノロジーの実装はオーバーテイクをますます困難にしている」と指摘しているが、オーバーテイクが難しくなっているという声は多くのライダーからも聞かれるモノだ。
記事では最近フロントのライドハイトデバイスが、スタート時を除いて使用禁止となる決定が下されたことについては、「車高を調節するデバイスとして、リヤに関しては考慮されていない」と警告している。
なお2010年代中頃から一般化したウイングについては、既にホンダが30年前にこの種の技術をテストしていたこともあり、当時の500ccマシンではタイム向上に対して、ライダーに掛かる負担が大きすぎたとする一方で、”現代の発明”ではないとしている。
ただ、現在のエアロダイナミクスに関しては依然として厳しい負荷はあるものの、かつてよりもバイクが扱いやすくなっているとも語っている。
この記事で特徴的なのは、年間のレース数拡大の悪影響についても論じていることだろう。
MotoGPは2022年に全20戦を予定しているなど、かつてよりもレース数が増えて、チャンピオンシップは長いものになってきている。
スポンサーとしては露出の機会が増える利点があるが、彼らはチャンピオンシップが”速さ”よりも”規則正しさ”のテストになってしまっており、それがレースでのバトルの積極性を減らしていると記している。
「レースでのライダーのバトルに対する積極性の低さを説明する要因として、チャンピオンシップが長くなっていることが挙げられるだろう。8ヵ月以上継続するシーズンとなっており、トップレベルの競技としては非常に長い」
「チャンピオンシップは一貫性のテストになってしまっている。優勝や2位、3位になることよりも、ミスをしないことゼロポイントや悪い結果を積み重ねないことがより重要となった」
「そのためライダーはやや保守的になっている。悪い結果に終わると取り返しの付かないこともあるし、MotoGPのポイントシステムではレース優勝のアドバンテージは少ないからだ」
なお記事の最後はレプソルのスポンサーサイトらしく、マルク・マルケスの最後まで勝利を追い求め挑戦する”型破り具合”が、こうした現状の中で際立っているのだと主張している。
しかし、こうした記事が大スポンサーのサイトに掲載されることは、ある種現在のMotoGPがスペクタクルを失いつつあるという考えが顕在化しつつあると見ることもできるだろう。運営のドルナ・スポーツや統括団体のFIMが今後のMotoGPでどんな舵取りをしていくか、ファンとしても注視すべきかもしれない。
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