「レース前にマシンとメカニックを見て泣いてしまった……」スズキ一筋リンス、花道飾るラストウィンに”二度泣き”
アレックス・リンスは、MotoGPから撤退するスズキのラストレースとなった最終戦バレンシアGPの決勝を前に「グリッド上で泣いていた」と明かした。
リカルド・トルモ・サーキットで行なわれた2022年シーズンのMotoGP最終戦バレンシアGP。スズキのアレックス・リンスは5番手から決勝レースを迎え、1周目のターン1で一気にトップに躍り出ると、27周のレースを終始リードし、今季2勝目を挙げた。
今季限りでのMotoGP撤退が決定しているスズキにとっては、バレンシアGPがラストレース。それをリンスが完勝して、別れに華を添えた。
リンスは2017年にスズキからMotoGPへ昇格すると、以降はスズキ一筋。6シーズンで5勝を含む17回の表彰台を獲得し、バレンシアGPが自身の最高峰クラス99戦目となった。チームに対して大きな思い入れがあるリンスとしては、スズキでのラストレースという事実に涙を禁じ得なかったようだ。
バレンシアGP優勝後、リンスはグリッド上でその気持ちに打ちのめされ、レースを走らなければと「自分に言い聞かせる」必要があったと明かした。
「このような形でシーズンを締めくくることができたのは、素晴らしいことだ」
そうリンスは言う。
「スズキはこのスポーツから去っていくが、僕はこれ以上ないほど良い形で大団円を迎えることができた。最初から最後まで上手くいったが、今回はマネージメントが難しいレースになった」
「まず、今週末の感情を切り離す必要があった。予選はとても重要で、5番手と良い結果を得られた」
「集中するのが大変だった。グリッドでマシンとメカニックを見たら、泣かないでいるのはムリだったんだ」
「感情が溢れ出したよ。だから僕は自分自身に『まだレースは残っているんだ』と言い聞かせる必要があったんだ」
Alex Rins, Team Suzuki MotoGP
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
「僕は素晴らしいスタートを切って、ターン1でトップに立った。ホルヘ(マルティン/プラマック)はとても速くて、ブラッド(ビンダー/KTM)は終盤速かった」
「どんなミスも許されないし、自分のラインを走ってタイヤをコントロールする必要があった」
「僕らスズキは勝てるということを証明できた。第4戦でチームが選手権から離れるという決断が下されたが、僕は全てを出し切り、今回はそれが上手くいったんだ」
リンスはまた、チームでのラストウィンの後「チームのみんながとても喜んでくれて、泣いている姿を見て特別な気持ちになった」と語った。
そしてリンスはバレンシアGPを制したマシンを贈ってくれるよう、チームに頼むつもりだという。
「間違いなく、チームには頼むつもりだ。佐原(伸一/スズキ・プロジェクトリーダー)さんにはもう言ってあるよ。特別なマシンだからね」
「レース後、リヤタイヤを見たら、チームメンバーの名前が手書きで書かれていたんだ」
「ファンからのメッセージもとても嬉しかった。僕らはこの勝利を心から望んでいたし、上手くいったね」
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