アプリリアの秘密兵器、”半自動クラッチ”が使用中止に? ライバルからの苦情で強力な武器を失う
アプリリアは、オーストラリアGP前から使用していたセミオートマチック・クラッチシステムを、ライバルから苦情を受けたことで使用中止せざるを得なくなったようだ。
アプリリアは、半自動で作動するクラッチシステムによって、スタートダッシュで優れたパフォーマンスを発揮してきた。しかしライバルから苦情を受けたことで、この新兵器の使用を中止せざるを得なくなったようだ。
マーベリック・ビニャーレスはマレーシアGPの走行開始を控えた木曜日、最新のスタートシステムが使えなくなったことをmotorsport.comに嘆いた。
「それによって僕たちはダメージを受けている。でもそれ以上は言えないよ」
チームメイトのアレイシ・エスパルガロは、ビニャーレス以上に口が固い。motorsport.comの質問にエスパルガロは、「マーベリックがそんなことを言ったの? 僕たちはその話題について話せないよ」と答えるに留めた。
ライダーふたりだけでなく、話を聞いたアプリリアの関係者は「この件について話すことは禁じられている」と口を揃えた。
しかしmotorsport.comの調べによると、ライバルからのクレームにより、アプリリアはオーストラリアGPから、バイクに組み込まれた最新仕様のクラッチの使用を中止せざるを得なくなったようだ。
複数の情報筋によると、KTMはこのクラッチの作動が電子制御ユニットに依存しすぎており、技術規則に違反していると考えているようだ。
実際、このレギュレーションにはいくつかのグレーゾーンがあり、現在見直しが行なわれている。
一方で当初は、このコンポーネントが完全自動で作動するのではなくライダーの入力が必要であることが考慮されたため、使用が許可されていたようだ。
シーズン序盤、ビニャーレスとエスパルガロはスタートで苦戦していたが、このシステムによりスタート時のパフォーマンスが向上。鋭いスタートダッシュを見せた。
あるチームのトラックエンジニアは、「アプリリアの発進をビデオで見れば、これがF1で使われているような自動クラッチであることがわかる」と、motorsport.comに説明している。
この件に関して最も驚くべきことは、シーズン当初からKTMも新しいスタートシステムを開発し、鋭いスタートダッシュを可能としていることだ。
6月のイタリアGPでは、5番グリッドからのスタートだったジャック・ミラーがロケットスタートを見せ、ストレート半分ほどで首位に浮上している。チームメイトのブラッド・ビンダーも同じく好スタートを見せているレースがいくつかある。
アプリリアのあるベテランクルーは、「ビンダーが4列目からスタートし、第1コーナーでレースをリードするなんて信じられない。あれこそ本当に調査すべきものだ」とmotorsport.comに語った。
KTMは、アプリリアのクラッチに対する不満に加えて、アプリリアのクラッチとよく似た働きをする独自のクラッチのホモロゲーションを取得するために、現行のレギュレーションの変更を技術委員会に求めたという。
そしてKTMは前戦タイGPで自主的にこのシステムをマシンから外し、再び使用できるようになるまでレギュレーションの変更を待っている状態だという。
そのため現在は、3年前からこの分野に取り組んできたドゥカティが、グリッドで最高・最速のスタートデバイスを手にしていると言えそうだ。
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