ロッシ、2020年マルケス復帰への許可に疑問……リスク防ぐ精神自ら形骸化と批判
ペトロナス・ヤマハSRTのバレンティーノ・ロッシは、2020年シーズンのヘレス連戦で、骨折した右腕の手術を終えたばかりだったマルク・マルケスに復帰許可を与えた理由が分からないと語った。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
ペトロナス・ヤマハSRTのバレンティーノ・ロッシは、2020年シーズンの開幕となったヘレス連戦で、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)が右腕を骨折し、その手術直後にもかかわらず復帰を許可されたことについて、何故そうした許可がでたのか理解できないと認めた。
マルケスは昨年、MotoGPクラスの開幕戦となった第2戦スペインGP決勝で大クラッシュ。右腕上腕骨を骨折する大怪我を負ってしまった。
しかし、彼はこの折れた右腕の手術を受けると、連戦となっていた第3戦アンダルシアGPでの復帰に挑戦。術後1週間も経過していない状態でのチャレンジには畏怖の声も上がった。
だが最終的にマルケスは予選セッション中にこれを断念。しかもこうした負荷のかかる行動が患部に埋め込まれたプレートの破損に繋がったようで、彼はその後2度の手術が必要となりシーズンを全休することを強いられた。
こうしたマルケスの復帰劇には、なぜ出走許可を与えられた? という点で疑問の声もある。最近Corriere della Seraのインタビューに答えたバレンティーノ・ロッシも、運営のドルナ・スポーツ自身が負傷後の早急な復帰を防ぐために設定したルールの精神を形骸化していると指摘している。
「このミスは手術が終わってすぐに復帰して走ろうとしていたことだ。ただ僕としては何故こうしたことを彼らが許可したのか分からないんだ」
そう語るロッシ。彼が念頭に置いているのは2013年のオランダGPだ。このグランプリではホルヘ・ロレンソが鎖骨骨折の手術からわずか2日後に復帰。そして5位でフィニッシュしてみせるという、驚愕のレースだった。
しかしこれをきっかけに術後48時間は出走に必要なメディカルチェックを受けることができないという規則が加わることになった。
「ドクター・コスタはこの分野のパイオニアで、治療に革命を起こし、固定する時間を減らした」
「だから2013年のアッセンで、ロレンソが(術後)素早く復帰してしまった後に、ドルナは過剰なリスクを犯さないようなルールを導入したんだ」
「なのにマルケスの一件で、彼らはもうそれを無視したんだ」
マルケスは昨年12月に3度目の手術を受け、現在はトレーニングを再開させている。しかし彼の復帰時期は未だ判明しておらず、開幕戦を欠場する可能性は高いと見られている。
そしてロッシはマルケスが復帰する際には“以前のような強さ”を伴って戻ってくるだろうと考えている。
ただ、マルケスとロッシとの遺恨は今も残っていることを伺わせた。2015年のマレーシアGPでは両者が接触した結果、マルケスが転倒。結果的にロッシに次戦での最後尾スタートというペナルティが科された。これはその年のタイトルを逃す要因となってしまったが、ロッシは今でもこの事件を許すことができないという。
「彼がマシンに乗れないのは残念だよ」と、ロッシ。
「彼が完治したなら……今のところは誰にもわからないけれど、以前と同じように強い彼が戻ってくるだろうと思っている」
「でも彼が僕にしたことは許せない。あの日々のことを考えると、6年経った今でも同じ感覚があるんだ」
「いつか変わる日が来る……それは難しいかもしれない」
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