MotoGP オーストリアGP

レジェンドのロッシが語る、現MotoGP“二大巨頭”。マルティンの成長を高評価も、愛弟子バニャイヤは「弱点がない。打ち負かすのは難しい」

バレンティーノ・ロッシは、MotoGPのタイトルを争うふたりのライダーについて批評。マルティンはあらゆる面で成長しているものの、バニャイヤは弱点がないため打ち崩すのは難しいと語った。

Jorge Martin, Pramac Racing, Francesco Bagnaia, Ducati Team

Jorge Martin, Pramac Racing, Francesco Bagnaia, Ducati Team

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 2024年のMotoGPは、昨年に続いてフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)とホルへ・マルティン(プラマック)が激しいタイトル争いを展開している。MotoGPのレジェンドライダーであるバレンティーノ・ロッシは、自身の愛弟子でもあるバニャイヤと、そのライバルであるマルティンとの争いについて言及した。

 現在は4輪レースに参戦しているロッシは、自身のレースとスケジュールが重なっていないオーストリアGPでパドックに姿を見せた。そして主に自身のオーナーチームであるVR46のピットで時間を過ごした。

 そんなロッシは自チームだけでなく、今回も他と一線を画したパフォーマンスを見せるバニャイヤとマルティンにも注目している。ふたりは予選でライバルに大差をつけ、土曜日のスプリントや日曜日の決勝でも勝利を争った。

 特にバニャイヤは、VR46のサポートを受けながら最高峰クラスまでたどり着いたライダーであるため、ロッシもよく知る存在だ。そのバニャイヤのライバルとして印象的な活躍を見せているマルティンもまた、ロッシの琴線に触れる存在となっている。

 ロッシは、最近のマルティンがあらゆる面でレベルアップし、技術を向上させていることを称賛しながらも、バニャイヤには“弱点”がないため、かなり手強い存在だと感じている。

「マルティンはいつももう少しのところまで来ている。彼はとても落ち着いていて、ライディングもうまく、信じられないほど速い」

 ロッシはSky Sportに対し、マルティンをそう評した。
 
「彼はあらゆる面で大きく進歩しているが、今のところバニャイヤには弱点がない」

「彼(バニャイヤ)には1周のスピードがあり、常にスタートを決めている。これは非常に重要なことだ。(マックス)フェルスタッペンが(F1で)やっているような感じだね。常にうまくスタートするのは簡単なことじゃないし、たまにミスをすることもあるけれど、彼は常にそこにいる。そしてとても速いんだ」

「最近はプレッシャーがかかる中でもベストを尽くしている。これこそバニャイヤの強みだと思っている。彼はアグレッシブだが、ダーティではない。そしてクリーンだけど脇が甘いわけでもない。邪悪さとアグレッシブさがうまくミックスされているんだ」

「彼はブレーキングでオーバーステアを出しているのに(タイヤの)マイレージも稼げるし、ミスもしない。今(バニャイヤを)打ち負かすのは難しいが、僕はマルティンのことも支持しているよ」

 バニャイヤとマルティンのタイトル争いは、序盤こそ拮抗していたが、バニャイヤがカタルニアから4連勝を記録して流れを引き寄せた。しかしマルティンも黙っておらず、サマーブレイク明けのイギリスGPでバニャイヤの前でフィニッシュし、ポイントリーダーの座を奪い返した。続くオーストリアGPのスプリントを終えた時点では両ライダーが同点。決勝ではバニャイヤが制し、5ポイント差でリードした。

 ロッシは、そんなふたりのタイトル争いが最終戦のバレンシアまでもつれる可能性が高いと見ている。

「多くのレースを終えて、ふたりはまだポイントで並んでいる。戦いが最後までもつれる良いチャンスだと思う」

「あとは流れにも大いに左右されるだろう。バニャイヤだって44点のビハインドがあったのに、そこから這い上がってきてここにいるんだからね」

「いずれにせよ、良い戦いになるだろう。マルティンはとても速いライダーで、ミスも少ないし、スタートも良い。だから彼らは最後まで争うことになるだろう」

 ロッソはさらにこう続ける。

「サマーブレイクの前、ペッコ(バニャイヤ)の方がコンディションが良かった。しかしマルティンは、来年ドゥカティに残らず移籍するにもかかわらず、休み明けには復活を遂げることができた」

「現時点では、ドローだね。外から見ていても彼らは少し抜きんでていて、コース上の最も重要なポイントでは(他のライバルに対して)コンマ数秒の差をつけていることが分かる」

 またオーストリアのスプリントでは、マルティンがバニャイヤと争う中でシケインをオーバーシュートし、そのことでロングラップペナルティを受けたことが話題となった。マルティンはバニャイヤを先行させたものの、コース復帰時に十分な減速がなかったことが罰則の原因とされた。

 ロッシは、トラックリミットの問題を解決する最善の方法は、ほとんどの場所に芝生のランオフエリアを設けることだと考えている。

「マルティンはブレーキングでミスをしてコースアウトした。そこには芝生があるべきだ」

「今はそこがコンクリートになっているけど、自分の考えでは、ミスを犯した者が代償を払うのは当然のことだ。コンクリートだからといって、シケインをカットして前のライダーに追いつくのは不公平だ」

「彼はもう少し待ってマルク・マルケス(グレシーニ)をパスさせてからレースに戻るべきだった。彼がミスをしたときはペッコに近い位置、0.15秒くらいの差で戻ってきた」

「コース外はコンクリートの方が安全だ。草地であれば転倒してしまう。安全が最重要なのは確かだ。でもレーサーはそこがアスファルトだとわかっていれば、最悪の場合はショートカット覚悟で(レイトブレーキングに)トライする」

「そういうものなんだ。でも、コースを外れたら、その代償を払うのは当然のことなんだ」

 

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