MotoGP オランダGP

バニャイヤが直面する新たな課題……マルケス加入後のチームの手綱を握れるか? 「和を乱すな」と今からアピール

ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは2025年から新たにマルク・マルケスをチームメイトに迎える。MotoGPチャンピオン同士がチーム内で争うことになるが、バニャイヤはチームの手綱を握るという新たな挑戦に直面している。

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Francesco Bagnaia, Ducati Team

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGPに参戦するドゥカティは、2025年のライダーとしてマルク・マルケスを起用することを決めた。これで来年はフランチェスコ・バニャイヤとマルケスの王者コンビとなるが、バニャイヤはチームの主導権を握るという、新たな課題に直面することになった。

 ドゥカティは今季の第7戦イタリアGP後、グレシーニのマルケスと2025年からの2年契約を結んだことを発表。当初はプラマックからホルヘ・マルティンを昇格させると見られていたが、マルケスの“パワープレイ”がドゥカティ陣営内の状況をひっくり返してしまった。

 マルケスはプラマックへ移籍してファクトリーマシンを使うというプランを明確に拒否し、ファクトリーチーム昇格か他メーカーへの移籍かという選択を迫っていた。これは2019年の怪我以降苦戦していたものの、8度の世界チャンピオンがMotoGP内で依然として持っている大きな影響力を示すものだった。

 マルケスのドゥカティファクトリー加入は、既にチーム内に波乱や不安定化をもたらすのではないかという懸念を引き起こしている。特に、バニャイヤを育ててきたのはマルケスのライバル、バレンティーノ・ロッシであるため、それも当然だろう。

 そして第8戦オランダGPでこの件についての見解を訊かれたバニャイヤは、こう答えた。

「僕の立場からは、その決定(マルケス加入)には関わっていない。僕がそう求めていたんだ。僕はコース上でのことに集中したかった」

「ホルヘとマルクは、どっちも凄く速いから多かれ少なかれ状況は同じだった。そして現時点では、ホルヘがこのバイクのフィーリングをより掴んでいて、経験が豊富なこともあって速かった」

「でもいずれにしても、チームメイトのスピードという面では、(このふたりは)似たようなものだった」

「だから僕にとっては、新しいチームメイトを負かすという、新しい挑戦になる。これもまた楽しみだ。マルクはとても賢い奴だし、僕らはチームに適応する方法を完璧に理解して、状況を改善するために取り組んでいく方法をしっかりと分かっていると思う」

 また、バニャイヤはDAZNに対して次のように語っていた。

Jorge Martin, Pramac Racing, Francesco Bagnaia, Ducati Team, Marc Marquez, Gresini Racing

Jorge Martin, Pramac Racing, Francesco Bagnaia, Ducati Team, Marc Marquez, Gresini Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

「僕らは現時点で最強のチームだ。そして、これを継続していきたければ、バイクを改善して成長させ続けていく必要がある。マルクは賢いライダーだし、それは分かってくれるだろう」

 こうしたバニャイヤのコメントは、マルケスに対して明確なメッセージを送っている。その意味は『チームのバランスを崩すな』だ。

 ホンダでは陣営のエースとして主導する立場にあったマルケス。今季からドゥカティ陣営のサテライトチームであるグレシーニへ移っても、マルケスは火種となり続けている。

 ポルトガルGPでのバニャイヤとの接触が最初の事例だったが、その後スペインGPで彼らは直接対決も演じ、この戦いはマルケスがファクトリーチーム昇格候補であることをハッキリさせるバトルにもなった。

 そしてドゥカティ昇格が決まったことで、今週末のオランダGPからバニャイヤにとっては1戦1戦が負けられない戦いとなってきている。なぜならマルケスに負ければ、チームメイトとなった時に精神的に不利になるからだ。一方でマルケスは型落ちマシンでバニャイヤを下せば、それはドゥカティの選択が正しかったと証拠することができる。

ドゥカティのマルケス起用による影響

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 ドゥカティがマルケスをファクトリーチームに入れる決断を下したことの影響は既に広くあらわれている。

 まず競争に敗れたマルティンはアプリリアへ移籍。さらにプラマック自体もヤマハのサテライトチームとなる見込みだ。

 またファクトリーチームのシートを失ったエネア・バスティアニーニはテック3・KTMへ移籍し、VR46のマルコ・ベッツェッキもアプリリアへと移ることになった。現在最も強いとされるドゥカティの情報がある程度ライバルにもたらされることにある。

 この状況に、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)からはドゥカティがチャンピオンシップのバランスを取ろうとしているようだというコメントも聞こえた。

「ドゥカティは、彼らの採っている戦略にしたがって、他のメーカーをかなり助けているようだね」とエスパルガロは語った。

「KTMは非常に強力になるだろうし、アプリリアもモチベーションの高いライダー達によってとても強くなるだろう。彼らはバイクを2台失うようだし、チャンピオンシップのバランスを取ろうとしているみたいだ」

 ドゥカティの当初の戦略は、マルティンをファクトリーチームに昇格させ、プラマックでマルク・マルケスをファクトリーマシンで走らせることだった。こうすれば全てが丸くおさまるはずだったのだ。

 しかしその計画が頓挫し、今では前述のような懸念が生じている。これら全てが、2024年のタイトル争いの展開にも影響を与えてくることは間違いないだろう。

 

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