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コラム

【特集】"ポスト・ロッシ”後の世界、新時代に突入するMotoGPはどうなるのか?

モータースポーツ界きってのエンターテイナーであるバレンティーノ・ロッシが2021年シーズンをもって舞台から降りた。”ザ・ドクター”と呼ばれたレジェンドが去った今、新時代に突入するMotoGPはどのように繁栄していくのか読み解いてみよう。

Fans of Valentino Rossi, Petronas Yamaha SRT

写真:: Dorna

■バレンティーノ・ロッシの引退


 20211114日。この全ての数字を足すと4621+11+14)になる……バレンティーノ・ロッシ最後のダンスはこの日と始めから決まっていたのかもしれない。ロッシという男はそういう人物だ。

 MotoGP2021年シーズンの最終戦バレンシアGPでは、MotoGP歴史上最も偉大であり、全てのモータースポーツの中でも”最高の章”に幕が降ろされた。

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 これまで”ロッシ引退”の噂は数えきれないくらい取り上げられてきた。一方で、2021年シーズンを最後にMotoGPを引退すると、ロッシはシーズン途中の段階で発表をしていたため、バレンシアGPが彼のラストレースであることは誰しもが分かっていたことだ。しかし、それは同時に理解しがたい現実でもあった。

 ロッシは、1996年にロードレース世界選手権にデビュー。125ccの世界に飛び込んだ。以来、世界選手権に参戦し続け、そのキャリアは26年と長きに渡った。その長いキャリアから、多くの人にとってロッシは人生の大部分を占めている。またそれだけではなくMotoGPにとっても、ロッシは最も重要な存在である。

■各時代を牽引してきたレーサー達


 バイクレースのグランプリには人気のある時代があり、それを牽引する人物がいる。イギリスのある年代のファンは、1970年代のバリー・シーンの奔放的な時代を懐かしく思い、1980年代後半から1990年代前半の“黄金時代”では、アメリカ出身のスター達が誕生した。フレディ・スペンサー、エディ・ローソン、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツらがライバル関係を築いたことで、多くの人々がレースの虜になった。

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 しかし、1990年代に入るとMotoGPの状況は大きく変化する。ミック・ドゥーハンとホンダが長年に渡りチャンピオンシップを支配していたことで、最高峰クラスはかつてのような魅力を失っていった。

 そして、人々のレースに対する熱が冷めていた時に登場したのがロッシだ。1996年にグランプリシーンに登場するや否や多くの人の注目を集めた。ロッシは、GP参戦前のイタリア人として話題になったのだ。

 1997年と1999年には125cc250ccのクラスでタイトルを獲得。2000年には最高峰クラスにステップアップし、大きな成果を期待された。その後、ホンダとヤマハのマシンで7の最高峰クラスのタイトルを獲得。最高峰クラスだけで通算89。全参戦クラス通算は115勝にも上る。なにより、ロッシはレースで最も激しいライバル関係を築いた。

  またロッシの人気はその強さだけではなく、個性的なキャラクターも注目の的となった。彼の奇抜なデザインのヘルメットや優勝時のお祝いのパフォーマンスは、世界中の何百万人もの人々の心を掴んだ。ロッシは自身の人気を確立しながら、MotoGPが世界最高峰のモータースポーツシリーズのひとつとしての地位を確立するのに貢献した。

Rossi has been a valuable asset for Dorna Sports to attract fans

Rossi has been a valuable asset for Dorna Sports to attract fans

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

■ロッシが確立したモータースポーツの地位


 ロッシがモータースポーツで確立した地位は、これまで各時代を代表するスター達とは一線を画していると言えるだろう。

 それを明確に象徴しているのが、彼のキャリア終盤の数年間だ。例えレースで結果が出なくとも、新時代のライバル達に立ち向かえるよう自分自身を進化させ続け、その成果を享受してきた。

 そしてMotoGPを運営するドルナ・スポーツのマーケティング戦略はこの20年間、“ロッシを見に(サーキットに)来て、ショーのために残るというものだった。

  一方でそれは、MotoGPの”新時代”に向けての試練ともなっている。

 ロッシの引退は、MotoGPの終わりを告げる最初の不協和音だと考える人もいる。また、彼のサポーターの中には、ロッシがレースに出なくなった今、自分たちの興味は他に移ると主張する人もいるのも事実だ。しかし、ロッシが最後にレースで優勝をしたのが2017年で、2021年のポイントランキングが18位だったにもかかわらず、彼らがサーキットに惜しみなく留まっていることを考えると、彼らの方針も定まっていないのかもしれない。

 ドゥカティのスポーティングディレクターを務めるパオロ・チアバッティはロッシを“代えがたい存在”とするも、現代のMotoGPは面白いスポーツショーになっていると指摘する。

「象徴的なライダーだったという意味で、バレンティーノは代えがたい存在だと思う」

「バレンティーノが(レースで)何をするのか、彼がいつ勝つのかを観に(サーキットに)来ていたファンに、今までのような(レースに対する)魅力を抱き続けてくれるようにするのは簡単なことではない」

「しかしその一方で、コース上での戦いはとてもエキサイティングだ」

「若くてとても速いライダー達が多く揃い、彼らが繰り広げる戦いは面白い」

「これまでバレンティーノを観にMotoGPに来ていた人達が、そこには素晴らしいショーがあると気づいてくれることを願う」

Bagnaia, Quartararo, Bastianini and others pose an exciting future for MotoGP - and have all been inspired by Rossi

Bagnaia, Quartararo, Bastianini and others pose an exciting future for MotoGP - and have all been inspired by Rossi

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

■新時代に突入するMotoGP

 実際のところMotoGPは今、最高の時代を迎えている。ロッシが主人公の役割を果たしてきた中、同時に脇を固める若手ライダー達はロッシの役割を分散して担ってきた。

 近年の絶対王者として君臨してきたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)は若手と言える時期は過ぎつつあるが、28歳ということもあり、彼の今後のキャリアはまだ長い。

 またマルケスを追い、追い越そうとしているのが、ジョアン・ミル(スズキ)とファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)の新時代を象徴する新たな世界王者達である。また、ロッシの弟子であるフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)やフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)、その他にもホルヘ・マルティン(プラマック)、ブラッド・ビンダー(KTM)、ミゲル・オリベイラ(KTM)、ジャック・ミラー(ドゥカティ)、エネア・バスティアーニ(エスポンソラマ)など、いずれもタイトル争いの素質を持つライダー達が揃っている。

 2020年シーズンは8名、2021年シーズンは9名が優勝している。惜しくもその中にロッシの名前はないが、彼の優勝に期待し胸を膨らませて(サーキットに)来たファン達が、レースの妨げになることはなかった。

There are plenty of exciting talents for Rossi's legions of fans to switch their allegiance to next year

There are plenty of exciting talents for Rossi's legions of fans to switch their allegiance to next year

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

■世代交代を繰り返し、スポーツは繁栄し続ける


 ヤマハのマネージング・ディレクターのリン・ジャービスは、ロッシを日本ブランドの“大切なアイコン”と呼ぶ。また、現在F1で起っている主役の交代劇との類似性を指摘し、MotoGPF1がそれぞれの時代を経て繁栄し続けていることを述べた。

「ひとつのスポーツとして、彼(ロッシ)が長年に渡り獲得した人気から我々全員が恩恵を受けている」

 “ポスト・ロッシ”の時代以降MotoGPがどのように舵を切っていくのかを尋ねると、ジャービスは以下のように答えた。

「全てのスポーツは前進するものだ。スキー、テニス、F1など、どのスポーツにおいても同じことが起こってきた」

「(アイルトン)セナの時代があり、彼の死から悲しみに包まれるもF1は続いた。そして(ミハエル)シューマッハーがその後登場した。このように、レジェンドがいても結局のところスポーツは常に前進し、常に若い人達がやってくる」

「今のF1を見てみると、既存のアイコン達がいるのと同時に、次世代のドライバー達が出てきている。彼らは素晴らしい若手ドライバー達であり、F1もまた新時代に突入している」

「セナの時代から、シューマッハーの時代、そしてルイス・ハミルトンの時代になるなど、F1も時代を経てきた」

「そして今、F1には若く、面白い、速いドライバー達が登場している。そしてクレイジーなオレンジ色の(マックス)フェルスタッペンのムーブメントが巻き起こっている」

「彼らがF1を前進させてくれるだろう。そして、私はMotoGPも同じように前進していくと思っている」

 イギリスGPの開催地であるシルバーストン・サーキットのマネージング・ディレクターであるスチュアート・プリングルは今年の初め、motorsport.comの取材に対し、ロッシの引退が与える今後のチケット販売への影響を心配していることを認めていた。

 だが、ロッシが去ったとはいえ、MotoGPかロッシの存在が消えるわけではない。2021年のスターライダー達は、ロッシから影響を受けてきた。また、バニャイヤのようなライダーはそのキャリアがロッシのおかげであると言っても過言ではない。

  これらのライダーはソーシャルメディアにも精通しており、Amazonの新ドキュメンタリー番組がMotoGPF1のような“Drive to Survive”効果をもたらすことも期待される。

  ここ数年ではロッシの運営するVR46チームがMotoGPに参戦し始め、VR46アカデミーのライダー達(2022年は4名がトップクラスに参戦予定)がグリッドを埋めることで、現在グランドスタンドを埋め尽くしている黄色い集団は継続してスタンドに留まるだろう。はたまた新しい色がスタンドに登場するのかは分からないが、いずれにせよロッシのファンは今後もグランプリシーンを彩ってくれるはずだ。

 
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