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揺れるMotoGPライダー市場、震源マルティンの代理人アルバート・バレラとは何者? 一見不義理な動きも「ライダーのため」

アプリリアから早期離脱を目指している事が明らかとなったホルヘ・マルティン。この衝撃的なニュースの裏には、マネージャーのアルバート・バレラの姿がある。彼はどんな人物で、何を考えているのだろうか?

Jorge Martin, Aprilia Racing , Albert Valera, Jorge Martín's manager,

 2025年、アプリリアに加入したばかりのホルヘ・マルティンが、今季限りでチームを離脱する意向であることが明らかになってから、MotoGPパドックではマネージャーのアルバート・バレラの名前を多くの人が口にするようになった。

 大部分のライダーは契約の節目ではないため、今年は穏やかに終わると思われていたMotoGPのライダー移籍市場を大きく揺るがしているバレラとは、一体どんな人物なのか?

 スペイン・バルセロナ北部の海岸地域であるマレスメ出身で現在40歳のバレラ。彼はホルヘ・マルティンだけでなく、今後の去就が注目されるKTMの新星ペドロ・アコスタのマネジメントも担当している。なおアコスタの将来については、現在所属するKTMが抱える財政的な課題の解決次第というところもある。

 MotoGPで影響力を持つ存在となっているバレラだが、彼はそもそもエージェント業を目指していたわけではない。ライダーの代理人としてのキャリアは偶然始まったものであり、もともとはオーストラリアへの移住を計画していた矢先に、ホルヘ・ロレンソと出会ったことがすべてを変えた。

 両者をつないだのは、現在モンメロ近くのモトクロス施設を運営している共通の友人リッキー・カルドゥス。そしてバレラにとって転機となった2012年。当時ロレンソはそれまでの仕事仲間との関係を見直すタイミングにあった。

「アルバートとはリッキーを通じて良い関係を築いていた。彼は頭の切れる人物で、物事を非常にうまく伝えるのが印象的だった。自分の周囲を変えようと考えていた時、バルセロナのレストランに彼を招き、一緒に仕事をしないかと提案したんだ」とロレンソはMotorsport.comに語っている。

 バレラにとっては、それがまさにエージェントとしてのキャリアの始まりだった。

「それまではライダーの代理人なんて考えたこともなかった。当時私はジョンソン・エンド・ジョンソンに勤務しており、経営学の学位を取ったばかりで、海外でMBAを取得するつもりだった。だけどそこにホルヘが現れてすべてが変わった」

 バレラは当時のことをそう振り返っている。

アルバート・バレラとアプリリア・レーシングのマッシモ・リボラCEO

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写真: Mirco Lazzari GP - Getty Images

 ロレンソは、最初の契約でバレラの実力に感銘を受けたという。2012年にヤマハと新たに2年契約を結ぶ交渉を成功させたときのことだ。

「アルバートは非常に頭が良くて誠実な人物で、お金に動かされるタイプではない。最初の契約は双方にとって良いものだった。彼のコミッション(報酬率)は他のエージェントよりも低かったが、当時の僕はパドックで最も高額の契約を結ぶ立場だった」とロレンソは説明した。

「アッセン(オランダGP)で、リン・ジャービス(当時ヤマハのマネージャー)との緊張感あるミーティングに臨むことになった」

 バレラはその後、ロレンソのドゥカティ移籍に対する高額契約(2年間で約2500万ユーロ/1年16億円)も取りまとめた。この頃には、すでにアレイシ・エスパルガロ(2013年~)やマルティン(2014年~)といった他の依頼主も抱えるようになっていた。

 規模拡大に伴い、バレラは自身のエージェンシーであるPlaymakerを設立。法務や財務の専門家のみならず、広報・戦略担当としてアルトゥール・ビラルタ(現ドゥカティ広報ディレクター)や、現在の右腕でコミュニケーションの専門家であるマーク・バルセリスらも迎え入れた。

 バレラは今では「不可能を可能にする男」としても知られている。2020年にマルティンをKTMから離脱させるために契約書に仕込んでおいた特別条項を用いて、2021年のMotoGPクラスデビューに向けてドゥカティ陣営のプラマック入りを実現させたことは、そのいい事例だ。

Jorge Martin, Aprilia Racing Team

Jorge Martin, Aprilia Racing Team

Photo by: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images

 今回アプリリア-マルティン間でも、それと似た条項が問題を引き起こしている。

 2020年当時は新型コロナウイルスのパンデミックにより開幕が遅れたことで、マルティン側はその条項を行使し、2021年にプラマックからMotoGPデビューを果たすことができた。

 motorsport.comが先日報じたところによれば、アプリリアとの契約にも同様の条項(開幕6戦でランキング3位以上)が存在しているが、アプリリア側はマルティンがシーズン最初の6戦中5戦を欠場したため、条項は無効だと主張しており、法廷闘争も辞さない構えをとっている。

 なりふり構わない動きにも見えるが、バレラはこうした動きについて、ライダーにとって可能な限り最善のシナリオを作るためだと語った。

「もちろん、マルティンが去った時にKTMが受けたダメージは癒えるのに時間を要するものだったのは確かだ」とバレラは語る。

「だが、最終的にはどんな傷も癒える。私はできる限り、こうした事案は個人的な問題に発展しないように心がけている。KTMが当時怒っていたのも理解できるし、今アプリリアが不快感を覚えていることも理解している。だが私がしているのは、あくまでライダーにとって最良の状況を作ることだけなんだ」

 今後数週間のうちに、もしアコスタが契約途中でKTMを離れるという決断を下せば、バレラはさらに高難度の交渉を二本並行で進めることになる可能性がある。

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