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バニャイヤはドゥカティを離脱する? 2度の王者がチームを去りそうなのはナゼなのか??

ドゥカティで2度MotoGP王者に輝いたフランチェスコ・バニャイヤだが、彼は2026年シーズンを最後に、このチームを離れることになるかもしれない。

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Francesco Bagnaia, Ducati Team

写真:: Ducati Corse

 フランチェスコ・バニャイヤは、ドゥカティとの契約更新の可能性について落ち着いた姿勢を示してきた。しかし、ドゥカティ上層部から発せられているシグナルを見る限り、バニャイヤは残留よりも、チームを移籍する可能性のほうが高い状況に近づいているように見える。

 2026年はMotoGPクラスのライダーの大半が契約満了となる年だ。そしてレギュレーションが大幅変更となる2027年シーズンに向けて、ライダー市場の動きが活発になっている。

 そうした重要な局面では、チームとライダーという当事者たちの思惑どおり、情報が外部に伝わるまでに大きな時間差が生じるのが常だ。つまり、水面下ではかなり早い段階から話が進んでいるのだ。そんな「遅延」の最新例は、先日行なわれたドゥカティのローンチイベントで明らかになった。そこでは、バニャイヤが中心人物のひとりとなっていた。

 2027年以降に向けた契約延長について問われた際、バニャイヤが見せた落ち着いた態度と、ドゥカティ上層部の発言とが一致していないのだ。ドゥカティ側は2025年に王者となったマルク・マルケス最優先の姿勢を鮮明にしている。

「マルクの契約更新が我々の最優先事項だ」

 ドゥカティのクラウディオ・ドメニカリCEOは、そう語った。

「ペッコ(バニャイヤ)がチャンピオンになった時と同じだ。これは複雑な契約で、考慮すべきことは多い。しかし我々は彼に満足しているし、彼も我々に満足している。だから解決策は見つかるだろう。我々は良いポジションにあるからだ」

 そして、チームマネージャーのダビデ・タルドッツィは次のように語った。

「マルクが継続するかどうかが分かってから、ふたり目のライダーについて考える。はっきりしているのは、もしマルクが去ると決めたなら、我々の優先事項はペッコとの契約更新になるということだ」

 ドゥカティ上層部はそう語るものの、motorsport.comの調べでは、マルケスの契約延長は、ほぼ確定と見なしてよい状況にある。それと同様に、バニャイヤを取り巻くシグナルは、契約を延長するよりも、離脱の道を探す可能性の方が高いことを示している。これは、ドメニカリCEOやタルドッツィの曖昧な発言だけが理由ではない。

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Francesco Bagnaia, Ducati Team

Photo by: Steve Wobser / Getty Images

 ドゥカティがマルケスを最優先とするという強い姿勢は、感情的な側面だけではなく、バニャイヤにとって不利に働くさらなる意味合いがある。その中でも、とりわけ大きいのが金銭面だ。

 マルケスが2025年にファクトリーチームへ加入した際、彼の立場は現在よりはるかに弱く、ドゥカティから提示される条件や金額を、ほとんど交渉することなく受け入れざるを得なかった。しかし、昨季に圧倒的な強さを見せたことで、その立場は完全に逆転した。

 高めた交渉力を使うマルケスに対し、ドゥカティは日本メーカーほどの財務面の体力がない。その結果、影響を受けるのはチームメイトだ。2027年以降のチームメイトは、ドゥカティから提示された条件をそのまま受け入れざるを得ないだろう。そして王者として現行契約を結んだバニャイヤが、現在想定されているような条件悪化を受け入れる気がないであろうことは想像に難くない。たとえドゥカティが中期的には彼を戦力として考えているとしても、その点自体が極めて不透明だろう。

 そもそも、2025年シーズンのバニャイヤの苦戦の結果、ドゥカティ内部では隠し通せないほどの緊張が生み出されていた。2025年型マシンのフロントエンドのフィーリングに不満を持つバニャイヤは、エンジニアがその要因を十分に説明できないとして、エンジニアの能力に疑問も呈していた。

 未解決の摩擦は年末まで持ち越され、両者はオフシーズンに入って態勢を立て直すことになった。それはサーキット上だけでなく、近年で最も重要かつ動きの激しいライダーマーケットを前にした、オフィス内での戦いに備える意味合いもあった。

「契約更新については落ち着いている。まずはシーズンを良い形でスタートし、それに集中したい。契約が切れるライダーはたくさんいるし、チャンピオンシップに集中し続けることが重要だ」

 バニャイヤはドゥカティのローンチイベントで契約について尋ねられると、そう答えている。

 しかしバニャイヤがシーズン序盤のレースでドゥカティを説得しようとしていると考えるべきではない。motorsport.comが取材した複数のエージェントは、MotoGPがタイで開幕する3月初旬までに、ドゥカティを含むすべてのファクトリーチームが、2027年および2028年のラインアップをほぼ固めている可能性が極めて高いという点で一致しているのだ。

 そうした前提に立つ場合、ドメニカリCEOや、ジジ・ダッリーニャ(ゼネラルマネージャー)らが、すでに決断を下していると考えるのは難しいことではない。

 さらにこの観点を補強するのは、アプリリア・レーシングCEOのマッシモ・リボラの発言だ。リボラCEOは、マルケスのチームメイトが現KTMのペドロ・アコスタになることを確実視するかのような発言をしており、それはダッリーニャの不興を買った。

「私に伝わってきたのは、リボラがアプリリアよりもドゥカティについて多く語っていたということだ」とダッリーニャは語っている。

 ここまでの情報を総合すると、ドゥカティにとってのジレンマは、バニャイヤとの契約を更新するのか、それともドゥカティに乗るためならどんな条件でも受け入れる覚悟のあるアコスタを確保するのか、という点にあることは明らかだ。これはアコスタにとっては、数年前にマルケスが行なった賭けと性質を同じくする選択でもある。

 アコスタを獲得すれば、マルケスの後継者を確保できることになる。一方で、より問題なのは、すでにその決断を下しているのなら、ドゥカティ史上、成績という点で最も成功したライダーであるバニャイヤに対し、2025年シーズンが単なる例外に過ぎなかったことを証明する機会を与えないという点だろう。

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