分析
MotoGP
グレシーニはなぜ結果を残してきたドゥカティ陣営からの離脱を検討したのか? その背景を探る
グレシーニ・レーシングは2026年限りでドゥカティ陣営の離脱も考えていた。近年は成功を収めてきたドゥカティとグレシーニだが、なぜそんな事態に陥ったのか?

Oriol Puigdemont
公開日時: 2026/04/07 3:23
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

MotoGPに参戦中のグレシーニ・レーシングは、2026年限りでドゥカティとの契約を終了させる可能性がウワサされた。両者はMotoGPで近年成功を収めてきたが、なぜそんな事態になっていたのだろうか?
そうした事態の裏は、VR46とグレシーニのドゥカティ陣営に属する2チームの競争があった。
多くの二人兄弟の家庭では、競争心や自尊心によって引き起こされる争いを仲裁するために、親が介入せざるを得ない場面がある。この構図はMotoGPパドックにも当てはまっており、ドゥカティはここ数年、VR46とグレシーニという2つのサテライトチームの間で、まさにその役割を担ってきたと言える。
この2チームはどちらのガレージで関係性について尋ねても、返ってくる答えは一貫している。「まったくうまくいっていない」だ。
ドゥカティ内部の関係者は、さらに踏み込んでこう語る。
「まさにその通りだ。常に喧嘩している二人の子どもの仲裁をしているようなものだ。本当に疲れる」とドゥカティ関係者はmotorsport.comに語った。ドゥカティは長年にわたり、バレンティーノ・ロッシのVR46と、ファウスト・グレシーニが創設し(彼はCOVIDにより逝去)、現在は妻のナディア・パドヴァーニが率いるグレシーニとの関係のバランスを取らなければならなかった。
両チーム間の緊張関係は、フェルミン・アルデゲルを2027年からVR46へ移籍させる決定を受けて、さらに激化した。グレシーニでアレックス・マルケスのチームメイトとして2025年にMotoGPデビューし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたこの若手ライダーは、ドゥカティの主導によってチームを移ることになるが、この動きはグレシーニ首脳陣にとって受け入れがたいものだった。
グレシーニ側の反応は非常に深刻で、今シーズン末で満了を迎えるドゥカティとの契約更新に一時的な疑念を生じさせるほどだった。なおアルデゲルは選択の余地があればチームに残留したいと一貫して語っていたが、彼の意向だけでは結果を変えることはできなかった。
Fermin Aldeguer, Gresini Racing
Photo by: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images
グレシーニにとって厳しかったのは、アレックス・マルケスも2027年にKTM移籍を決めたとされることだった。実力あるライダーふたりが一斉に抜けてしまえば、その穴を塞ぐことは容易ではない。だからこそグレシーニはアルデゲルの残留を望んでいたが、その目標は最終的に達成不可能であることが明らかになった。その理由のいくつかは、VR46の存在と直接的に結びついている。
重要な要因のひとつは、かつてはプラマックがそのポジションだった、”ファクトリーサポートを受ける”チームの地位を、VR46が引き継いだ点にある。
VR46はドゥカティと2025年から2026年までの2年契約を結び、さらに3年間(2027〜2029年)延長するオプションも有している。このオプションはすでに行使されているが、メーカー協会(MSMA)とMotoGPの商業権保有者(旧ドルナ)との交渉が続いているため、まだ正式発表はなされていない。
このファクトリーサポートの地位は、他のドゥカティのカスタマーチームに対して一定の優位性をもたらすが、過去2シーズンにおいては、それが結果や注目度に直結しているわけではない。
2024年には、多くの注目がグレシーニにいたマルク・マルケスに集まった。彼は弟アレックスとともに、ランキングでVR46のファビオ・ディ・ジャンアントニオとフランコ・モルビデリの両者を上回った。
2025年には、アレックス・マルケスが絶好調のシーズンを過ごし、3勝と12回の表彰台でランキング2位を獲得した。一方で、ジャンアントニオ(表彰台4回・総合6位)やモルビデリ(表彰台2回・総合7位)は比較的控えめな成績にとどまった。ルーキーのアルデゲルはふたりのすぐ後ろランキング8位に続いていて、インドネシアGPでの勝利や表彰台によって、たびたび話題の中心となった。
2025年にアレックス・マルケスが使用したデスモセディチGP24は、ジャンアントニオが使用したGP25よりもバランスが良かったのではないか、という見方もある。しかし事前にはほとんど予想されていなかった主張でもある。
一方でアルデゲルのVR46移籍を理解するには、彼の契約状況にも目を向ける必要がある。彼はグレシーニではなく、ドゥカティと直接契約を結んでいる。そして2027年にマルク・マルケスのチームメイトとしてファクトリーチームへ昇格する野望を抱いていたものの、最終的には契約で定められた道筋を受け入れた。
また報酬の増額も決定的な要因となり、彼はイタリア人ではないライダーとして初めてVR46に加わることになった。VR46はグレシーニよりも豊富な資金力を持つチームなのだ。
アルデゲルは2027年に、VR46でファクトリーチームと同等の最新仕様マシンを手にする予定だ。もっとも、2027年はレギュレーション変更があるため、ドゥカティ勢内部でマシンの年度差はなく、ファクトリーサポートとの差は主にシーズン中の開発度合いにかかってくるだろう。
Motorsportの取材によれば、アルデゲルの将来のチームメイトは標準仕様のパッケージを使用する見込みだ。現在の成績から見て、ジャンアントニオがシート維持に有利な立場にあるが、VR46はVR46アカデミー出身のニコロ・ブレガを起用する可能性も検討している。
Nicolo Bulega, Ducati Team
Foto de: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images
アルデゲルの離脱は、グレシーニにとって他メーカーとの契約を検討する契機となった。しかし選択肢は限られている。2021年にアプリリアがフルファクトリー体制へ移行した際に関係が解消された経緯から、両者の関係は緊張状態にあり、場合によってはVR46以上に悪化している可能性もある。
彼らはホンダとも協議を行なったが、かつてセテ・ジベルナウ(2004年)やマルコ・メランドリ(2005年)とともにランキング2位を獲得した関係を再構築する現実的な機会があったのか、それともドゥカティとの交渉を有利に進めるための戦術的な動きだったのかは不明だ。
いずれにせよホンダとの提携ルートは実現せず、現時点で競争力に欠けるヤマハの状況も踏まえると、ドゥカティとの関係継続が最も現実的な選択肢として浮上している。
ライダー面では、Moto2からダニエル・オルガドがグレシーニの将来のラインアップに加わることになる見込みだ。現在Moto2ランキング3位につけるオルガドはヤマハとも交渉していたが、ここ数日でグレシーニ行きの決断をヤマハに伝えたと言われている。
もうひとつのシートについては複数の候補が検討されている。最有力はエネア・バスティアニーニであり、彼は2022年にMotoGP初勝利を挙げたグレシーニへの復帰を望んでいる。しかし、バスティアニーニは依然としてKTMと契約関係にあり、3年目のオプション条項を保有している。この移籍を実現するためには、その条項が破棄される必要がある。
関連ニュース:
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 「僕らは何をしているんだ?」ヤマハのリンス、ついに不満の言葉漏らす。キャリアにも暗雲
次の記事 ブエノスアイレスに開催地移転のMotoGPアルゼンチンGP、サーキット工事は順調な進行。F1開催も視野

More from
Oriol Puigdemont

ホルヘ・マルティン、転倒で右腕骨折。オーストラリア決勝は欠場……タイトル争い終戦か?
MotoGP
MotoGP
オーストラリアGP
10 時間前
ホルヘ・マルティン、転倒で右腕骨折。オーストラリア決勝は欠場……タイトル争い終戦か?

マルケス「3年後に引退している可能性は70%」次期ドゥカティ契約が最後のMotoGPに?
MotoGP
MotoGP
オーストラリアGP
1 日前
マルケス「3年後に引退している可能性は70%」次期ドゥカティ契約が最後のMotoGPに?

「ここではいつも速かった」マルティン、アプリリアで走るフィリップアイランドは初も自信ある?
MotoGP
MotoGP
オーストラリアGP
2 日前
「ここではいつも速かった」マルティン、アプリリアで走るフィリップアイランドは初も自信ある?
![]()
More from
アレックス マルケス

「速さはあったけど、リスクがデカすぎた」アレックス・マルケス、兄マルクを抜かずに2位に甘んじたワケ
MotoGP
MotoGP
オーストラリアGP
8 時間前
「速さはあったけど、リスクがデカすぎた」アレックス・マルケス、兄マルクを抜かずに2位に甘んじたワケ

前年ランキング2位から急落……アレックス・マルケスはナゼ苦しんでいる?
MotoGP
MotoGP 3 日前
前年ランキング2位から急落……アレックス・マルケスはナゼ苦しんでいる?

マルク・マルケスは「うまい立ち回りが必要」タイトル争い接戦に弟アレックスが今後を予想
MotoGP
MotoGP
インドネシアGP
5 日前
マルク・マルケスは「うまい立ち回りが必要」タイトル争い接戦に弟アレックスが今後を予想

More from
グレシーニ・レーシング

右手骨折のアルデゲル、オーストラリアGP欠場。代役は今季WSBK総合2位のイケル・レクオナ
MotoGP
MotoGP
オーストラリアGP
4 日前
右手骨折のアルデゲル、オーストラリアGP欠場。代役は今季WSBK総合2位のイケル・レクオナ

日本GPは散々な週末に……アレックス・マルケス、ノーポイントでもてぎ去る「ライダーとして許されないミスだった」
MotoGP
MotoGP
日本GP
19 日前
日本GPは散々な週末に……アレックス・マルケス、ノーポイントでもてぎ去る「ライダーとして許されないミスだった」

アレックス・マルケス、日本GP決勝でダブルロングラップペナルティ。スプリント1周目の多重クラッシュ原因に
MotoGP
MotoGP
日本GP
21 日前
アレックス・マルケス、日本GP決勝でダブルロングラップペナルティ。スプリント1周目の多重クラッシュ原因に
最新ニュース

MotoGPオーストラリアGP決勝、フル参戦ライダーが6人欠場の悪夢。小椋が繰り上げで10番グリッドに
MotoGP
MGP MotoGP
オーストラリアGP
4 時間前
MotoGPオーストラリアGP決勝、フル参戦ライダーが6人欠場の悪夢。小椋が繰り上げで10番グリッドに

マクラーレン、今後前進するための”一歩”。マシンの新たな方向性を探るアップデートへの期待
F1
F1 F1
アメリカGP
4 時間前
マクラーレン、今後前進するための”一歩”。マシンの新たな方向性を探るアップデートへの期待

アロンソ、インディカーのスペイン開催決定を歓迎。しかしアメリカ国外開催の拡大に警鐘「コストが増加してしまう可能性がある」
IndyCar
Indy IndyCar 5 時間前
アロンソ、インディカーのスペイン開催決定を歓迎。しかしアメリカ国外開催の拡大に警鐘「コストが増加してしまう可能性がある」

小椋藍「展開は苦しかったが、ペースは悪くなかった」スプリントはタイヤ内圧ペナルティで13位に降着
MotoGP
MGP MotoGP
オーストラリアGP
5 時間前
小椋藍「展開は苦しかったが、ペースは悪くなかった」スプリントはタイヤ内圧ペナルティで13位に降着
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録