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MotoGP Mandalika February Testing

2022年は強いホンダ復活か!? 大改革の新型マシンにライバル達から危険視する声

2022年MotoGPの開幕を前に従来のコンセプトから大きな変更を加えられたホンダの新型RC213V。すでにプレシーズンテストで話題となり、ライバル陣営からはその競争力に注目が集まった

Pol Espargaro, Repsol Honda Team

 2019年にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)と共に世界タイトルを獲得して以来、チャンピオンシップ争いからは遠ざかっているホンダ。2020年シーズンにマルケスが怪我で戦線を離脱した影響は大きく、彼が復帰後初めて勝利を収めた2021年第8戦ドイツGPまでの期間に他のホンダライダーは誰ひとりとして勝利することができなかった。このことから、2020年と2021年はホンダの弱点が浮き彫りとなったシーズンであることは明確である。

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 2013年にホンダからMotoGPの最高峰クラスにデビューを果たし、その年にチャンピオンを獲得して以降、マルケスの存在は年々重みを増している。それは、MotoGPクラスで最後にタイトルを獲得した2019年までの7年間でタイトルを防衛できなかったのは2015年のわずか1年だけという圧倒的な成績が証明している。

 マルケスとRC213Vの組み合わせによる圧倒的なパフォーマンスもあり、RC213Vが”マルケスのためのバイク”と言われてきたことも事実だ。ホンダ陣営では2018年にダニ・ペドロサが引退して以降、マルケスのチームメイトとなったライダーは毎年苦戦を強いられている状況が続いていることもそれに拍車をかけた。

Much changed Honda for 2022 was the result of two poor years following Marquez's arm injury sustained at Jerez in 2020

Much changed Honda for 2022 was the result of two poor years following Marquez's arm injury sustained at Jerez in 2020

Photo by: Dorna

 ”マルケス専用車”とまで言われるRC213V……ただ現チームメイトのポル・エスパルガロはこうした言説を否定している。

「僕はホンダがマルクのために最新のバイクを設計しているとは思わない」

「なぜかというと、彼は他の誰よりもそこにあるバイクに順応する能力に長けているからだ。だからホンダはマルクと共にこれまで勝ってこれたし、今のような改革をしようと思わなかったのも理解できる」

 ホンダのチームマネージャーであるアルベルト・プーチは、2022年シーズンに向け大改革を行なった新型マシンに関して、近年タイヤの構造が変化している中で、新しい時代に対応するための準備として行なったと語った。

「これまでのバイクの状況を見て、『ホンダには変化が必要だ』と考えた。リヤタイヤの構造が今後変化することまで見越している。そのためのデータを収集した結果、方向性を変えることは望ましいと判断し、コンセプトを変更した」

 タイヤについてはサプライヤーを務めるミシュランのトップマネージャーであるピエロ・タラマッソが、2024年に新たなフロントタイヤを導入することを示唆している。ミシュランは、motorsport.comの取材に対し、よりグリップ力を高め、温度変化の影響を受けにくいラバーになる予定だと語っており、環境問題にも注力しているとした。

 またプーチは怪我からの復帰後、初のフル参戦となるであろう2022年シーズンの開幕を前に、マルケスがふたたび活躍できるかについては以下のように言及した。

「優れたライダーは何に対しても対応でき、与えられたものに対して彼らのライディングを変えていける。そうでないライダーはそれよりも少し難しくなるか対応できない。マルクは間違いなく対応できるだろう」

Pol Espargaro topped pre-season testing, and the revised Honda appears to be a considerable improvement

Pol Espargaro topped pre-season testing, and the revised Honda appears to be a considerable improvement

Photo by: MotoGP

 これらの意見に合わせ、プレシーズンに行なわれたマレーシアとマンダリカでのテスト結果を踏まえた上でライバル達がホンダを競争相手として警戒する向きがある。

 ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)がマンダリカでの3日間の走行全てのラップタイム平均のトップに位置する中、エスパルガロとマルケスはそれに次ぐ、2番手と3番手になる。また、どちらもクアルタラロのタイムからコンマ1秒差につけている状況だ。

 マンダリカテストでのこのレプソルホンダ勢の結果から、来月にカタールで開幕するチャンピオンシップで優勝争いをするという予想の声が多く聞かれた。その声の中にはスズキのアレックス・リンスも含まれる。

「ホンダは僕を最も驚かせたバイクだ」と、リンスは言う。

「ポルもマルクもとても速かった。もしかしたら他のライダーよりも少し準備が整っているのかもしれない」

 ホンダはこの冬の間に最も大きくマシンに変更を加えたメーカーであり、これは必要に追られたとはいえ、大きな成果を上げたように見える。それが現実として現れてくるかどうかは、開幕戦カタールGPで見えてくるだろう。

 
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