スズキ、ブリビオ後任は内部登用? 立役者離脱受け“チームの結束”強化する方針か
2020年のMotoGPタイトルをジョアン・ミルと共に勝ち取ったスズキ。しかし彼らはダビデ・ブリビオの離脱によって、外部から新たに人材を獲得するのか、それとも現在のチーム哲学を維持できる人間を内部で見つけるのかという、大きな難問を突きつけられている。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
2020年のMotoGPにおいて、ジョアン・ミルと共に20年ぶりの最高峰クラス王座を獲得したスズキ。2021年は連覇を狙うシーズンとなるが、彼らは新年早々に大きな課題に直面する事になった。
スズキがMotoGPを2011年に撤退し、再び復帰することを目指し体制を組み直した際、チームマネージャーとして加入し、以後2014年から7年間に渡ってチームをもり立ててきたダビデ・ブリビオが、職を辞することになったのだ。
まだ公式な発表はないものの、ブリビオは2021年にアルピーヌと名を変えるルノーF1チームへ加入すると見込まれており、彼自身も“新たなチャレンジ”のチャンスを選んだと語っている。
ブリビオの後任人事に関して大きな関心が寄せられているが、彼の辞任はチームとしても非常に大きな影響がありそうだ。
「ダビデの離脱だが、巨大な穴が空いてしまった……親に先立たれたようにも感じている」
スズキのある関係者は、motorsport.comに対しそう語った。
「1台目のトラックの購入からその後の全てを含めて、ゼロからこのプロジェクトを作り上げてきたのがブリビオだということを理解してもらうことが重要だ。これは特別な人の集まりなんだ。ダビデは我々ひとりひとりと、プロフェッショナルとしての経験だけではなく、個人の人格をもって契約を交わしていたんだ」
そのブリビオがチームを離脱……スズキは中長期的な将来を左右する重大な問題に取り組まなくてはならないのだ。そしてブリビオの後任人事に関してはチーム内部、または外部から招致に関わらず、プロジェクトリーダーの佐原伸一に懸かっている。
英語の古い諺に『壊れていないものを直すな(意:うまく機能しているものを変える必要はない)』というものがある。それはスズキにもあてはまるだろう……彼らがこれまでに築き、うまく機能してきた哲学を維持したいのならば。
スズキの近年の考え方は、若いライダーの起用や、マシン開発においてステップ・バイ・ステップのアプローチをとり、大きなリスクを負うこと無くコンスタントな進歩を狙い、失敗の可能性を小さく抑えることだった。
そしてブリビオの離脱に関するプレスリリースにおける佐原PLのコメントから考えると、彼らはチーム内部からの登用に傾いていると考えられる。
『今、私達は“ダビデの喪失”をカバーするためのベストな方法を見つけようとしています』
『幸運なことに、殆どのケースで私は彼の考え方とかなり似ているので、チーム・スズキ・エクスターとして進むべき方向を維持することはさほど難しいことではないと思っています』
また、スズキ内部では現在外部から人材が入ってくることに警戒感があるようだ。
「(チームの)人員は今、外部から誰かが入ってくるかどうかについて少し心配している」と、前出のスズキ関係者は語った。
「最も賢い行動は、私達の中でそれを解決し、これまで共にしてきた人々との信頼を維持することだと私は思っている」
ブリビオのような人物の離脱によって、バランスを崩すかもしれない難しい瞬間に直面しているスズキにとって、グループ内部での人事は信頼を強化する方向に働くものとなるだろう。
いずれにせよ、ブリビオの後任となる人物にはふたりのトップライダーの和、予算折衝、何度も先送りされてきたサテライトチームの設立など、多くの問題が待ち受けている。
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