復活目指すヤマハ、2024年はクラッチローがワイルドカードで引っ張りだこか!? 「彼が欧州テストのメイン。必要な分は理解してくれるはず」
ヤマハは2024年シーズンに、新しく作られたコンセッション制度の対象となり優遇措置を受ける。テストやワイルドカードをより活用できるようになるが、チームとしてはカル・クラッチローを “欧州テストのメイン担当”として頼りにする方向を考えていると分かった。
MotoGPは2024年から新しいコンセッション(優遇措置)の制度をスタート。ここ数年大苦戦しているヤマハは、このコンセッションの優遇を受けることになる。
この制度で最も下位グループに位置づけられたのは、ヤマハとホンダの日系2メーカーだ。与えられる恩恵はシーズン中のエンジン開発を自由に行なえること、テストで使えるタイヤの本数が増加し、自由にテストを行なえること、さらにフェアリングのアップデート許可回数増加、ワイルドカード参戦回数の増加などだ。
ヤマハは2023年シーズン、20年ぶりの年間未勝利という不甲斐ない結果で終えてしまっただけに、2024年はこうした制度を活用して追い上げることが、内外から渇望されている。
ヤマハのMotoGPプロジェクトリーダー(PL)である関和俊は、2024年シーズンに向けて、あくまでも2024年にチャンピオン獲得を想定して目標数値を掲げていると主張。それを達成する「見込みはある」とも語っていた。
「コンセッションはありがたい話だと思っています。ですがかなり最後の最後で決まったので、(ヤマハとしては)コンセッションが無い想定で来年(2024年)にチャンピオンを獲るための開発計画を立てていました。ですからそれ(コンセッション)を有効活用するために、計画を更に練っているところですね」
そう語った関プロジェクトリーダー。テスト機会の活用はその中でも気になるトピックのひとつだ。
ライバルではKTMがMotoGPレジェンドのダニ・ペドロサをテストライダーとして起用し、そのペドロサの開発への貢献は大きいという話はライダーやマネージャーからも聞こえてくる。
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
Dani Pedrosa, Red Bull KTM Factory Racing
ヤマハもテストライダーの重要性は認識しており、現在は2020年に現役を引退したカル・クラッチローを起用している。2024年以降の契約について正式な発表はまだないものの、関PLはヨーロッパのテストとワイルドカード参戦ではクラッチローに頼ることになるだろうと示唆した。
「(開発ライダーの中須賀克行が)ヨーロッパに行くっていうのもあり得るとは思うんですが、ヨーロッパのあまり走ったことのないコースだったりすると、適応するのに時間が必要になることや、全日本の自分のレースやテストもあるので、日程調整が結構難しいんですよね」
「ですので、ヨーロッパのテストはカルがメインになってくると思います」
ヤマハとホンダは、ワイルドカード参戦が年間6回まで許可される。テストライダーをワイルドカード枠で参加させ、実戦を通じてマシン開発を進めることはどのメーカーも行なっているが、この増えた枠をクラッチローとどう活用していくのか? 関PLはこの点について次のように語った。
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
Cal Crutchlow, Yamaha
「(ワイルドカードは)作戦もありますからね。(1戦あたり)マックスで3社までしか同時に出られないですし、後半戦でどうしても出たいグランプリがあれば前半は抑えなくていけなかったりすることもあります。開発中のパーツが”この辺で来そう”といった理由で組んだりもしますからね」
「ただ少なくとも、2023年のように1回だけ(※2023年は日本GPの1度のみ)ということはないです。それよりは増えますが、どのタイミングかは検討して決めていくことになります」
ただクラッチローは以前、年間でワイルドカード参戦をそう何度も行ないたくはないというコメントも発していた。
2024年は先述のとおり最大6回のワイルドカードが行なえるわけだが、クラッチローを説得できるのだろうか?
関PLは「必要ならやるしかないですよね。『うるさい、乗れ!』と(笑)」と冗談めかしつつ答えたが、クラッチローは理解してくれるだろうと付け加えた。
「(クラッチローは)必要だからお願いしますと頼めば、分かってくれると思います」
クラッチローはそのキャラクターから日本でのファンも多い。ヤマハが復活を目指す中で彼がレースに出場する機会が増えれば、そうしたファンにとっても喜ばしいこととなるはずだ。
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