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“勝率50%”のヤマハ、2020年の戦いで強さ示すもタイトル逃す悔しい結果に。鷲見崇宏PLインタビュー

2020年のMotoGPで、ヤマハは高い勝率を記録しつつもタイトル奪還という目標を果たすことはできなかった。コロナ禍によって翻弄された昨シーズンの戦いを、ヤマハのMotoGPプロジェクトリーダーである鷲見崇宏氏に話を伺った

2020 YZR-M1 Studio Shot

2020 YZR-M1 Studio Shot

Yamaha MotoGP

 2020年のMotoGPで、通算7勝を記録したヤマハ勢。そのMotoGPプロジェクトリーダーである鷲見崇宏氏が、シーズンを振り返る取材に応えた。鷲見プロジェクトリーダーは2020年を振り返ると、山と谷が大きなシーズンだったと語っている。

『シーズンの終わりにタイトルを勝ち取れば、来年そのサーキットに戻ってくるまでは、優勝を逃したレースのことは誰も覚えていない』

 6度のMotoGP王者マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)がかつてそう語ったように、2020年のMotoGPファンの記憶に残っているのはジョアン・ミルによるスズキにとって20年ぶりの最高峰クラス王座獲得だろう。

 しかし2020年のMotoGPでは、ヤマハがシーズン中に最も多くの勝利を手にし、その勝率は実に50%に達するという素晴らしい戦績を残したことを忘れるべきではない。

 2020年シーズンのヤマハ勢の戦績を見ると、非常に浮き沈みのある1年間だったと言える。7月にずれ込んだ開幕のヘレス連戦では、ペトロナス・ヤマハSRTのファビオ・クアルタラロが連勝。ファクトリーチームのマーベリック・ビニャーレスも連続表彰台と期待の高まるシーズンインだった。

 が、クアルタラロもビニャーレスも以降はリザルトが乱高下。第7戦エミリア・ロマーニャGPではビニャーレスが、第8戦カタルニアGPではクアルタラロがそれぞれ優勝を果たしているが、一貫した成績を残すことができず、年間ランキングではライバルの後塵を拝した。

 それと対象的にシーズン後半にかけて安定した成績を残したのが、前述のふたりと異なるAスペックのバイクを走らせたフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)だった。

 モルビデリの駆るAスペックのYZR-M1。これは2019年型をベースとしてアップデートパーツを投入し、性能を向上させたものだと説明されている。

 このAスペックを走らせたモルビデリは、第7戦サンマリノGPで初優勝を飾ると、第12戦テルエルGP、第14戦バレンシアGPでも勝利。ヤマハ勢最上位のランキング2位を勝ち取った。

「ポジティブとネガティブがキレイに交互に存在し、山と谷が大きいシーズンでした」

 そう語るのは、ヤマハのMS統括部MS開発部プロジェクトリーダー(PL)である鷲見崇宏氏。彼は2019年からチャンピオンを目指してマシンを開発してきた結果として速さと強さを発揮できる場面が増えたものの、他メーカーより安定性が足りなかったと語った。

Takahiro Sumi (鷲見崇宏) Yamaha Factory Racing

Takahiro Sumi (鷲見崇宏) Yamaha Factory Racing

「結果は全14戦を戦った中で7勝。勝率はヤマハとしては5割で、ポールポジションも9回獲っています。ヤマハという枠で見れば、速さ、そしてレースでの強さを発揮できる場面は、2019年に比べて増えていました」

「山と谷のある中でも特に、マーベリックとファビオが後半戦で低迷してしまいました。チャンピオン獲得を期待していたふたりが、そこに至ることができなかったというのが事実ですね」

「フランコは後半戦で良いパフォーマンスを示し、かつ安定性を高めて最後はランキング2位まで登り詰めました。しかしチャンピオンのミル選手には、シーズンを通して見ると安定性では敵いませんでした」

 鷲見PLは予選での好成績を結果に結び付けられなかったこと、安定性を高めることが来季に向けての課題になると指摘している。

「我々は予選でほとんどフロントロウやセカンドロウを占め、レースでも時には派手な活躍があったにもかかわらず、最も欲しかったモノが得られませんでした。チャンピオンを獲るためには“安定性が足りなかった”ということを如実に突きつけられました」

「目標はチャンピオンですから、ヤマハ全体として来年何をすべきかをクリアに見極め、準備をしているところです」

■2020年型マシン開発振り返り……最高速に未だ課題アリ

 ヤマハが2020年に走らせたYZR-M1は、ホンダやドゥカティといったライバルのマシンに比べ、最高速度で劣るとライダーらは指摘してきた。鷲見PLは2020年に向けて、パワーアップ及びマシンのハンドリング維持を両立しての開発を進めたと説明。しかしパワーアップは十分ではなかった。

「マシンの開発は、エンジンのパワーアップとヤマハの良さであるドライバビリティやハンドリングの良さを両立し、レースで戦いやすい”強み”を提供する……という形でやってきました」

「ですが当然ながら他社も改善をしてきていて、相対的には戦う環境を変えるには至りませんでした。そこは我々の力不足を感じています」

「最高速のギャップは依然として大きいですが、サーキットによっては縮まっているという実感を持てています。ですので方向性としては間違っていなかったと思っています」

 しかし2020年シーズンに向けた開発では、弱点であるパワーを伸ばすという面と強みとなっていた部分の維持が求められていたものの、その点で煮詰めが足りなかったと鷲見PLは語った。

「3人のライダーに(最新型の)マシンを託したわけですが、強みを維持しつつの開発というのは、言うのは簡単なのですが非常に難しいものです。成熟しきったマシンと比べると、操縦性や乗り味の完成度という部分で、まだ煮詰め切れたモノにはなっていなかったと思います」

「ライダーもそこへの合わせ込みがいくらか必要になったという部分では、ひとつ不安定になる要因にはなっていたと思いますから、改善に向けて取り組んでいます」

 2020年シーズン7月のスペインGPで、レプソル・ホンダのマルク・マルケスは怪我を負い、その影響で以後シーズン全体を欠場することとなった。ただ鷲見PLによると、マルケスが欠場したことによってヤマハとして戦い方が変わることはなかったという。しかし開発の面でターゲットが見えづらくなるという間接的な影響はあったようだ。

「マルケス選手の不在によって戦い方が変わったかと言うと、それほど変わっていません」

「ただ、決まった強烈な相手がいれば、どうやって攻略するかを考えることができます。しかし2020年は毎戦異なるライバルが現れたことで、少し難しくなりました。レースの展開が毎戦変わることで、自分たちの課題が何処にあるのかが見えにくかったのです。開発をする際、打ち負かすターゲットが見えなくなったということは、いくらか影響があったのかなと思います」

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