2006年ロッシまさか敗北を思い出す……ヤマハ、クアルタラロ逆転王者あきらめず「何が起こっても不思議ではない」
ヤマハMotoGPのリン・ジャービスは、ファビオ・クアルタラロの連覇のチャンスは”まだ”あると考えており、最終戦バレンシアGPでは何が起きてもおかしくないと語った。
MotoGP2022年シーズンのタイトル争いは最終戦までもつれ込んだ。状況は現王者のファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)に不利となっているが、チーム代表のリン・ジャービスは逆転の可能性を信じている。
第19戦マレーシアGPでドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤが優勝し、最終戦バレンシアGPには後続に”23ポイント差”と大きなアドバンテージを持って臨むことになった。
この点差はクアルタラロが優勝し、かつバニャイヤが15位以下に沈まなければ逆転は不可能という状況であり、バニャイヤはほぼタイトルを手中に収めていると言える。
しかしMotoGPでは、最後まで何が起こるか分からないということもまた事実だ。クアルタラロ自身、そしてヤマハのリン・ジャービス代表も逆転の可能性を諦めていないと語っている。
「我々は、簡単ではないが(バレンシアでの)レースを勝たなければならない。さらにライバルが何らかの不運に見舞われることも必要だ」
ジャービス代表はMotoGP.comにそう語った。そして彼は2006年シーズンを引き合いに出しつつ、チャンスは残されているという見方を示した。
2006年シーズンといえば、故ニッキー・ヘイデンが最終戦で逆転王者となった年であり、ヤマハにとっては”取りこぼした”シーズンでもある。
当時ヘイデンは、”ラス前”となる第16戦ポルトガルGPでチームメイトのダニ・ペドロサの転倒に巻き込まれる形でクラッシュ。ノーポイントでレースを終えることになり、ランキングでヤマハのバレンティーノ・ロッシに逆転を許してしまった。
迎えた最終戦でヘイデンが王者となるためには8ポイント差を覆す必要があったが、この大事な局面でロッシは転倒してしまったのだ。一方ヘイデンは表彰台を獲得し、逆転で王者を獲得……2022年現在のヤマハが想起するに、ふさわしいシーズンだろう。
Fabio Quartararo et Pecco Bagnaia sur le podium de Sepang
「理想的な勝ち方ではないだろう。しかし、このMotoGP世界選手権ではどんなことでも起こりうるんだ」
「2006年のバレンシアをよく覚えている。我々はキャメル・ヤマハとして黄色を纏っていた時だ。バレンティーノにとって、勝利はある意味硬いものだったが、思いもよらないことが起きてしまった」
「バレは転倒し、ニッキーがタイトルを勝ち取ったのだ。バレンシアはとても難しいコースだということは分かっている。だから、何が起こっても不思議ではない」
ただ、そうした”何が起こるか分からない”ことを考慮した上でも、クアルタラロの連覇は厳しいかもしれない。クアルタラロは2019年にバレンシアで2位表彰台を獲得しているが、それ以降は苦戦が続いているからだ。
一方でドゥカティ側は、昨年は表彰台独占……バレンシアでの走りには自信をにじませている。ドゥカティのスポーティングディレクターであるパオロ・チアバッティは、次のように語る。
「(状況は)かなり違っていると思う」
「今回、ファビオは勝つことが必須であり、そしてペッコ(バニャイヤの愛称)が15位となるか、それ以下でノーポイントになる必要がある。可能性はあるし、そこはリンに同意するが、どうだろうか」
「ニッキー・ヘイデンが2006年にチャンピオンになった時は、3位フィニッシュだった。今回ファビオは優勝しなければならないんだ」
「去年のレースでは、ドゥカティは予選と決勝で”ハットトリック”を達成している。我々も手放しでいるわけではないが、この状況で迎える最終戦には自信を持つことができている。支えてくれた全ての人たちと、(チャンピオンを)祝えればと思うよ」
クアルタラロは果たして逆転できるのか……ジャービス代表は不利であることは認めつつ、マレーシアGPで久しぶりに表彰台を獲得したこともあり良いレースができると期待しているようだった。
「彼もかなり満足していたようだ」と、ジャービス代表は言う。
「セパンは我々にとって楽なコースではないんだ。彼は左手中指を骨折した状態で12番手からスタートし、3位でフィニッシュという結果を出した」
「再び彼らしい、ソフトで正確なライディングをしている様子を見ることができた。これは彼に新たなモチベーションを与えてくれると思う。どうなるか様子を見てみよう。天からはわずかばかりの助けが必要だろう!」
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