”飛び級”の新人、才能は新王者クアルタラロ級？　RNFヤマハ「ビンダーは強いし頭もいい」

　MotoGP2022年シーズンにペトロナス・ヤマハSRTの後継として参戦するRNFヤマハ。彼らは今年、Moto3クラスからの飛び級昇格となるダリン・ビンダーを起用する。

　こうした飛び級は、最近では2015年のジャック・ミラー（ドゥカティ）以来のことだ。しかしビンダーのMotoGPクラス挑戦には、発表当初から懐疑的な声が上がっていた。

　ビンダーはMoto3クラスで優勝経験もあるが、それ以上に他者を巻き込むアグレッシブなライディングが多いことで名を知られていた。2021年は終盤戦で彼のライディングがタイトル争いを左右するになった結果もあり、Moto2を飛び越してのMotoGP昇格に疑問の声が上がったのは無理もないことだろう。

　しかしRNFヤマハでチームマネージャーを務めるウィルコ・ズィーレンベルグは、ビンダーの才能を疑っておらず、2021年に王者となったファビオ・クアルタラロ（ヤマハ）との類似点を見出している。

「忙しい冬だったが、今では全てがOKだ。セパンで最初の一歩を踏み出せたことを嬉しく思っている」

　新生RNFヤマハとしてセパン・インターナショナル・サーキットでのシェイクダウンテストに臨んだズィーレンベルグは、motorsport.comにそう語った。

「ダリンにとっては、時間をかけてMotoGPマシンに慣れること、馬鹿なミスをしないことが重要な点だ。我々は彼が開幕戦カタールで必要としているレベルに達することができるよう、努力している」

「我々がファビオを獲得した時、彼は若かった。しかしすでにその若さで多くの成功を収めていた」

「14歳の時、彼は他のどのライダーよりも優れていた。しかしその後、彼は難しい局面に陥り、チームを何度も移籍した。我々は彼を拾い上げたが、それは彼が特別なコトを成し遂げられる才能を持っていたからだ。そして、それはダリンも同様だ。彼は非常に強いし、頭も凄く良い。それはファビオと同様だと思う」

「そういったライダーを簡単に放り出せるわけない。だから我々は彼をMoto3からMotoGPへと連れてきたのだ。純粋な才能という点では多少の違いはあるだろうが、大きなものではない。我々は彼がMotoGPで競争力ある未来に進むため、適切に彼を手助けできると考えている。結論を出すのは時期尚早だが、彼をそこに至らせるのは大きな挑戦だ」

　またズィーレンベルグはこれまでのキャリアの経験から、現在の若手ライダー育成に携わりサポートしていくとに大きなやりがいを感じているという。その中で、彼は”楽しむこと”もこのスポーツにおける大切なことだと語った。

「ミスがあったとき互いに責めるのではなく、肩を叩いて、次にどうすべきかを話し合うんだ。それがチームに必要なことであり、その点ではチームメンバーに敬意を払っている。そしてそれ以外にも、楽しむというのは私にとって重要な柱でもある」

「私は、強いチームを作り上げて結果を出すことのみに集中しているわけではない。共に楽しみ、自分自身の限界に挑戦することも目指している。我々はそういった側面を忘れてはならないんだ。誰もがとても集中しているが、我々はこれが楽しいものだということを忘れがちだ。それもこのスポーツの重要な一部なんだ」