いよいよ発売が迫ってきた、「バレンティーノ・ロッシ ザ・ゲーム」。この発売に先駆けて、元ロードレース世界選手権GP500クラス(現在のMotoGPクラス)のライダーである青木拓磨が体験。そのインプレッションをお届けしよう。
青木拓磨が語る、バレンティーノ・ロッシ
ゲームを始める前に、青木にロッシに対する印象を聞いた。
「彼は、僕にとっては弟みたいな存在なんですよ」
そう語る青木。ロッシとは親交があり、お互いの実家を泊まり合ったり、一緒にポケバイに乗りに行ったりしたのだと言う。
「彼は人を見下さないんですよ。だから人気があるんでしょうね。今やスーパースターですから取り巻きの人たちが多いですけど、本人は昔のまんま。何回もチャンピオンを獲ってるのにこの精神でいられるっていうのは、彼の取り柄でしょうね」
「それから努力しているところを見せない。相当努力していると思いますよ。ライダーって、自身のライバルという存在がいるものなんですよ。だから、そのライバルが先に引退してしまうと、燃えることができず、速さを失ってしまう……なんていうことも少なくない。でもバレンティーノの場合は、どのクラスでもライバルがいて、最高峰クラスに上がっても、ビアッジだったり、他のライダーだったり、どんなライバルが相手でも燃えることができたんです。そのモチベーションはどこから来るのか、それは僕も聞いてみたいですね」
「とにかく、彼は走るのが大好きなんですよ。レースが好きなんです。スピードが好きで、限界ギリギリのところで戦うのも好き。そこは僕と同じです」
今季ここまで、ロッシは2勝を挙げ、ランキング2位につけている。しかし、先頭のマルケスとは、43ポイント差が開いている。これについて青木は、次のように語った。
「今年のバレンティーノは、昨年よりも強くなりましたよ。ただ、マルケスの運が良い。強運すぎますよ」
97年、表彰台獲得はF1ゲームのおかげ?
さて、ゲームのインプレッションに移ろう。青木はプライベートでもバイクやカーレースのゲームをプレイするという。しかも、ロードレース世界選手権に出場していた際は、そのゲームが非常に役に立ったと、青木は言う。
「僕がGPに出ていた際は、まだMotoGPのゲームがなかったんです。でもF1のゲームはありました。それをプレイして、コースを覚えたんです。ただ、イモラとニュルブルクリンクしか、僕が走るコースが収録されていなかったんですが……そこでは表彰台に乗ることができたんです」
1997年、ホンダNSR500Vに乗ってロードレース世界選手権GT500クラスにフル参戦した青木。この年は3回表彰台に載っているが、そのうち2戦はイモラとニュルブルクリンク……ゲームの効果てきめんである。
「週末に走ることができるセッションは限られています。なので、コーナーの右左が頭に入っているだけでも、全然違うんですよ。その効果は大きいですよ」
スライドコントロールを学ぶには、オフロードが最適?
今回発売の「バレンティーノ・ロッシ ザ・ゲーム」で青木が最初にプレイしたのは、ロッシのランチにあるオフロードコースである。最初はプレイ感覚に慣れなかった青木も、すぐに慣れてくる。さすがは経験者だ。
しかし、なぜオフロードバイクに乗るのか? 青木は言う。
「オフロードを走るのは、MotoGPのマシンを走るのに、非常に役に立ちます。スライドコントロールを学ぶことができますからね」
「それから、オフロードではリヤのブレーキを使うのが肝なんです。フロントはほとんど使わない。今のMotoGPマシンって、全部4ストロークなんです。つまりエンジンブレーキが非常に強くかかるため、常にリヤブレーキがかかっているような感覚です。この時姿勢をうまく整えてあげないと、バイクはしっかり曲がってくれない。その感覚を養うためにも、オフロードを走るのは極めて重要なんです」
このゲームを始めてプレイする際は、もしかしたらダートトラックから試してみるのもありかもしれない。そうすることで、MotoGPバイクのコントロールへの慣れが、早まる可能性もある。
アクセルコントロールの極意は”セナ足”
続いて青木は、ロッシのMotoGPマシンを選択し、ムジェロのコースを走行した。
「周囲の風景がホンモノみたい! すごい作りこみですね」
そう語る青木。そこでMotoGPマシンのコーナリングテクニックを訊いてみた。
「MotoGPマシンは現在はすべて電子制御が入っているんで、できるだけコーナーの奥まで突っ込みたいんです。でも、曲がりにくいですから、しっかりと減速し、ターンインして、コーナーをクリアしてまっすぐになってからアクセルを開ける、そういう感じで走ればいいと思うんです」
青木はそう言う。このゲームでもその点がしっかり再現されていた。なのでこの意見も参考にしてみるといいだろう。さらに、こんなテクニックも教えてくれた。
「昔、”セナ足”ってあったじゃないですか? それに似た感じのアクセルコントロールをすればいいと思います。アクセルを一気に開けてしまうと、マシンは全く曲がってくれない。でも、アクセルを開けて加速したい……その時、セナ足のように小刻みにアクセルを開いて、徐々に回転数を上げていくんです。そうすると、綺麗にコーナーを立ち上がっていくことができます」
確かに、青木もゲームで、小刻みにアクセルをコントロールしていた。これも、コーナリングの極意のひとつと言えるだろう。
最後に、青木には色々とマシンやライダーを変え、乗り比べてもらった。中には青木が「重い感触」「敏感な割には止まらない」という印象を語ったマシン/ライダーがあったのに対し、やはり元ホンダのワークスライダーなのか、ホンダの、特にマルク・マルケスのマシンが乗りやすかったという。メーカーに脈々と受け継がれる何かが反応したのだろうか? また、他には「ECUとエンジンが合っているのか、最高速が速く、パワーが路面に伝わっている感じがする」と、ドゥカティのマシンにも高評価を下していた。
moto2解説にも役立つ? VRTG
MotoGPのワークスマシンを乗り比べた後、青木はmoto2マシンに乗った。選んだライダーはもちろん、今季moto2で初優勝を果たした中上貴晶だ。
「これは楽しいですね。このクルマは市販車のエンジンを基にしてるんで、癖がないんです。だから乗りやすい。先ほどのオフロードから始めてもいいですが、moto3から乗り始め、moto2、そしてMotoGPとステップアップしていくのもありかもしれない。何が違うのかを感じながら、走っていただければと思います」
moto2のマシンに熱中し、周回を重ねる青木。そして、最後にこう言った。
「これは欲しいなぁ。僕、今moto2の解説をやってるんですよ。だから、事前にこのゲームでコースを体験できるじゃないですか。そして、『このコーナーはこうなってますよ』と解説できる。これは良いですね」
青木がテレビのmoto2レースの中継で、非常に細かいコース解説が多くなったら、この「バレンティーノ・ロッシ・ザ ゲーム」をやり込んだから……なのかもしれない。この点も、ぜひチェックしていただきたい。
青木拓磨(あおきたくま):1974年2月24日生まれ。兄の宣篤、弟の治親も2輪ライダーであり、”青木三兄弟”として知られる。数々の国内タイトルを獲得した後、1997年に世界ロードレース選手権500ccクラス(現在のMotoGP)にフル参戦。ランキング5位となる。しかし、翌年テスト中に転倒し、脊髄を損傷。ライダーを引退する。現在はアジアクロスカントリーラリーやアジアン・ル・マン・シリーズなどに参戦。
バレンティーノ・ロッシ・ザ・ゲーム
【プラットフォーム】PlayStation4
【発売予定日】2016年9月21日
【価格】パッケージ版7,980円+税/ダウンロード版7,980円(税込)
【ジャンル】モータースポーツレーシング
【CERO】A
http://game.intergrow.jp/rossi/
PS4「バレンティーノ・ロッシ ザ・ゲーム」ティザートレーラー
『バレンティーノ・ロッシ・ザ・ゲーム』最新スクリーンショット
Valentino Rossi The Game © 2016 Published and Developed by Milestone S.r.l. All rights reserved. Copyright © 2016 Dorna Sports S.L. - All rights reserved. Copyright © 2016 VR|46 - All rights reserved. Licensed and published in Japan by Intergrow Inc.
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