ライコネン、F1とNASCARでは「何もかもが違う!」COTAでの比較でその差を実感。予選では”F1仲間”バトンと僅差
キミ・ライコネンは、NASCARカップシリーズ2戦目となるCOTA戦予選を終え、F1との大きな違いを語った。
昨シーズンに続き今シーズンも、NASCARカップシリーズにスポット参戦を果たす2007年F1王者のキミ・ライコネンは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)戦予選で22番手を獲得。決勝レースに向けて、同じ舞台を走ったF1とNASCARの違いについて語った。
2021年限りでF1を引退したライコネンは、2022年8月のワトキンスグレン戦でトラックハウス・レーシングの”プロジェクト91”からNASCARカップデビューを果たした。27番手スタートから、ライコネンはピットストップのタイミングで一時8番手まで順位を上げたものの、バスストップシケインでのアクシデントに巻き込まれてクラッシュを喫し、レースを終えていた。
カップでの2レース目となる今回のCOTA戦でライコネンは、再びトラックハウス・レーシングの91号車シボレー『カマロZL1』Next Genカーを駆ることとなったが、この週末には同じくF1世界チャンピオンのジェンソン・バトンもスチュワート・ハース・レーシングのサポートを受けてリック・ウェア・レーシングのフォード『マスタング』を走らせる。NASCARのル・マン24時間参戦プロジェクトにもドライバーとして携わるバトンは、COTA戦を含めシーズン3戦に出場予定だ。
ライコネンとバトンの共演は、2017年のF1モナコGP以来である。今回の予選では、NASCARでは”1レース分”先輩のライコネンが22番手となり、24番手のバトンの前に立ったが、ラップタイム差はわずか0.033秒だった。
予選を終えて会見に出席したライコネンは、F1でのラストウィンを挙げたCOTAでのNASCARについて次のように語った。
「同じコースだけど、F1マシンとNASCARマシンではかなり違う感じだね」
「F1ではダウンフォースがあるから、多くのコーナーがストレートに近い。でもNASCARのマシンでは、もう少しトリッキーになるんだ」
Kimi Raikkonen, Trackhouse Racing, Onx Homes / iLOQ Chevrolet Camaro
Photo by: Nigel Kinrade / NKP / Motorsport Images
「戻ってこれて嬉しいし、ここテキサスは良いところだ。上手くいくことを期待しよう。金曜日と土曜日から改善して、レースでどうするか試してみるよ」
ライコネンは昨年に続き、ロス・チャスティンとダニエル・スアレスのふたりをチームメイトにレースへ挑むこととなるが、チャスティンは昨年のCOTAで劇的な初勝利を挙げている。
そしてライコネンは、セッション後のブリーフィングもF1時代に慣れ親しんだモノよりも、新たなチームメイトとの”NASCAR流”のリラックスした雰囲気を気に入っているようだ。
「違う雰囲気だね」とライコネンは言う。
「F1では、ミーティングやその他色々なことが沢山あるけど、ここはもう少しリラックスしている。ミーティングはあるけど、やり方が違うんだ」
「マシンや詳細について僕はまだ経験がない。金曜日にチーム全体でミーティングを行なったが、彼らがマシンについてどう考えているのか、マシンをどうすべきなのかを聞いて評価することは良いことだと思う。ここのマシンについては、みんなが同じような苦労を抱えているみたいだけど、チームメイトがいて、彼らの話を聞いて、アドバイスをもらえるのは良いことだ」
何もかもが違う?
NASCARはCOTA戦に向けて、ロードコース戦でのステージブレイクを廃止。チェッカーフラッグまでレースを続け、指定されたラップにてステージポイントが付与されることとなる。
これによってより自然なレース展開となるものの、ライコネンはNASCARとF1ではコース内外で「何もかもが違う」と語り、特にバトルの距離感を指摘している。
「もちろん、僕には(F1とは)違うマシンや違うカテゴリーでの経験もある。F1でやっていたこととは全く違うラリーもやったしね」とライコネンは言う。
「NASCARにもステアリングと4つのタイヤがあるから、どれも似たようなモノだと思いがちだが、変化は大きいんだ」
「F1はオープンホイールのため、誰かに接触するとマシンを壊すかホイールを失うのが普通だ。F1ではマシンから小さなパーツが失われただけで、マシンが突然1秒遅くなる。だから、そのようなリスクを冒すことはできないんだ」
「一方で、NASCARではもう少し接近したレースが可能だ。もちろん、ルールは違う。こっちはもっとオープンだ」
「僕が理解した限りでは、もし自分がある行動を取れば、相手も同じような行動を取るということだと思う。そのおかげで、レース終盤はみんなかなりアグレッシブになるんだ」
「何もかもが違う。プラクティスのやり方も予選のやり方も、全てが学習段階だ。このマシンも、僕がこれまで乗ってきたどのマシンとも明らかに異なるモノだ」
「でも僕はそれが好きなんだ。とてもリラックスできるし、温かみのある雰囲気だ。気分は良いよ」
「去年のレースでは良い経験ができた。でも、40台ものマシンがいると、上手くいかないこともあるよね」
Kimi Raikkonen, Trackhouse Racing, Onx Homes / iLOQ Chevrolet Camaro
Photo by: Ben Earp / NKP / Motorsport Images
なお、彼がNASCARを気に入った理由のひとつは、DRSのような”アシスト”なしでオーバーテイクができることのようだ。
「オーバーテイクできるポイントがあるし、特にF1では良いバトルができるサーキットはあまりない。実際に、みんなDRSがなくてもオーバーテイクできるし、昔ながらの普通のF1レースみたいな気分だよ」
「その点、(COTAの)F1用レイアウトはかなり優れている」
「コース最初の一部は全開で、ターン17とターン18はF1マシンにとっては簡単だろう。NASCARにとってはここが一番トリッキーなコーナーで、ダウンフォース的に不向きなんだ。それがこのサーキットで大きな違いを生むんだ」
「F1ではサーキットにある凸凹の多くを避ける必要があるけど、ここでもダウンフォースが働いてあまり影響は感じられない。だけどNASCARのマシンでは、この影響がかなり大きいんだ」
「ドライブするにしても、マシンを思い通りに動かすにしても、よりトリッキーなサーキットになる。色んな意味で、全く違うサーキットになる。同じサーキットだから馬鹿げて聞こえるかもしれないが、マシンの違いが大きいんだ」
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