ゲームから着想……チャスティン、”ミニ四駆走法”でプレーオフ決勝への切符掴む「リアルで上手くいくとはね!」
オーバルの壁にマシンを当てながら走る”ミニ四駆”走法で、NASCARカップ・シリーズのプレーオフ準決勝への切符を掴んだロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング)。彼はその走行スタイルのヒントをゲームから得ていたようだ。
マーティンズビル・スピードウェイで行なわれたNASCARカップ・シリーズ2022のRound of 8「Xfinity 500」では、新たな、いやこれまで誰もやろうとは思わなかった走行スタイルが編み出された。
その発見者はトラックハウス・レーシングのロス・チャスティン。日曜日の決勝レースの最終ラップに、オーバルのウォールにマシンを擦りつけながらスロットルを開け続け、5台抜きを演じてみせた。
その状況についてチャスティンは、幼少期にやったゲームからヒントを得たとして、「実際に上手くいくかどうかは分からなかった」と語っている。
11月にフェニックス・レースウェイで開催されるRound of 4「NASCAR Cup Series Championship」の4台の出場枠をかけて、これまでのプレーオフを生き残ってきたチャスティンだったが、マーティンズビルでの最終ラップが始まった時、彼は最後の一枠をランキングで争うデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング)に2ポイント差をつけられ、レースではハムリンが5番手、チャスティンは10番手とRound of 4進出には絶望的なポジションにいた。
しかしターン3に入ったチャスティンはシボレー『カマロZL1』のアクセルを踏み込み、右手のウォールへ一直線。レーストップのクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング)やブラッド・ケセロウスキー(ラウシュ・フェンウェイ・レーシング)、ハムリンらがターン4からチェッカーフラッグへ向かう中、チャスティンはウォールにマシン右側面を擦りつけながら猛スピードで最後のコーナーふたつを周り、一気にハムリンまで抜き去り5位でフィニッシュを果たした。
チャスティンのこの走法は大胆であると同時に、驚くほど成功。チャスティンが記録した最終ラップのタイムは18.8秒で、ポールポジションを獲得したカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ)のタイムをも上回っていた。
レース後、この走法をいつ思いつき、過去に試してみようと考えたことはあったかと訊かれたチャスティンは次のように答えた。
「(兄の)チャドと一緒に、ゲームキューブの『NASCAR 2005』でずっと遊んで育ったんだ」
「ああすれば逃げ切れたんだ。リアルで上手くいくかどうかは分からなかったけど、実際、8歳の時にやってみたことがあるよ!」
「最終ラップのターン2で5速に入れて走る必要があるか考えた結果、僕らには必要だった。誰が(レースを)リードしているのか、僕には分からなかったけど、僕は決心したんだ。シフトを5速に入れて、アクセル全開さ」
「ターン4のアクセスゲートに引っかかったり、おかしなことが起こったりしないよう祈りながら、基本的にはステアリングはウォール任せになっていた。でも、僕はやるしかなかったんだ」
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チャスティンは今季ラスベガスとホームステッドで2位表彰台を獲得してきたが、マーティンズビルでは、プレーオフに参加する他のドライバーのペースについていくことに苦戦。残り24周というところでレース最後のコーションが明けた際、チャスティンはハムリンよりひとつ前の11番手につけていたが、再開後にハムリンはチャスティンを素早く抜き去り、チャスティンが10番手で抜きあぐねている中で5番手まで順位を上げていた。
ファイナルラップに入った際も順位差は変わらなかったが、ウォールを使った怒涛の追い上げにより、チャスティンはギリギリで5位を掴み取った。
今季、トラックハウス・レーシングは、国際的なスーパースターをカップ・シリーズに招待することでNASCARの周知を図ろうとするプロジェクト「プロジェクト91」構想の一貫として、ワトキンスグレン戦に元F1ドライバーのキミ・ライコネンを呼び注目を集めたが、新興チームのトラックハウス・レーシングとしては、初のプレーオフ決勝進出。初のドライバーズチャンピオンシップ獲得に望みを繋いた。
「このトラックハウス・グループとして、僕らは全てをやり遂げた」
そうチャスティンは続ける。
「今年、ロブ(ローズ/チームスポンサーのワールドワイド・エクスプレス代表)を失ったが、僕らは彼と共に走る。頭上から見守る天使みたいにね。そういうことを僕は長い間考えていたよ」
「チャンピオンシップを争うチャンスがあるなんて、信じられないよ」
「僕らが求めるのはチャンスだけだ。僕らは今年、自分たちのことに集中してきた。フェニックスに向けても同じように準備していくよ」
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