佐藤琢磨が振り返る24年前のマカオGP秘話。既にF1昇格決定もエディ・ジョーダンに粘りの交渉「出れないなら契約しないと……半分本気でしたよ」
佐藤琢磨が、マカオGPの今と昔について語った。曰く、自身が2001年に優勝を果たした時は、翌年から所属するジョーダンF1のエディ・ジョーダンに参戦を強く懇願したという。
写真:: Peter Spinney / Motorsport Images
若手ドライバーの登竜門として、形を変えながら今も開催されているマカオグランプリ。昨年からメインレースはF3ではなくフォーミュラ・リージョナルに変わったが、今年のレースには7人もの日本人ドライバーがエントリーして、欧州の猛者たちと激突した。
そんなマカオGPで、2001年に日本人初優勝を記録したのが、元F1ドライバーで2度のインディ500覇者である佐藤琢磨だ。彼は今年のマカオGPにも姿を見せ、ホンダの育成ドライバーである加藤大翔、そして同じくホンダの育成ドライバーであり、F4レースにエントリーした息子・凛太郎の走りを見届けた。
佐藤がマカオを制してから24年。その間にレース界を取り巻く環境にも色々と変化があったが、彼は当時のマカオGPが若手ドライバーにとって非常に特別なものであったと語ると共に、自身も並々ならぬ意気込みでマカオに参戦していたことを明かした。
「まず第一に、マカオGPが持つ意味合いについてお話ししないといけません」と佐藤は言う。
「僕たちはマカオでミカ・ハッキネンとミハエル・シューマッハーが素晴らしいバトルをしていたのを見て育ちましたし、その前だとアイルトン・セナが優勝したことも当然知っています。マカオがどれだけ特別なものかは若手ドライバーの誰もが知っていました」
「僕は当時イギリスF3に参戦していましたが、常に目指していたのはマカオGP制覇でした。それがずっと夢だったんです」
佐藤は2001年にイギリスF3でチャンピオンに輝き、翌2002年はジョーダンからF1デビューを果たすことが決まっていた。ただ彼は2000年のマカオGPで、スタート直後にトップに立つもリスボアでバリアの餌食になるという悔しい経験をしており、そのリベンジに燃えていた。ジョーダンのチームオーナーであるエディ・ジョーダンは佐藤のマカオ参戦には消極的だったものの、佐藤はそんなオーナーに食い下がった。
「僕は2001年の10月にエディ・ジョーダンと契約したので、11月のマカオに出る必要はなかったんです。もうF1ドライバーになることは決まっていて、何かを証明する必要もありませんでした。ただ僕は何としてもマカオに戻りたかったので、エディと交渉したんです」
「エディは『いやいや、君はF1ドライバーだ。F3のレースに出る必要はない』と言ったのですが、『エディ、僕にとっては大切なレースなんだ』と伝えました。『マカオに行かせてくれないなら、契約しない』とまで言いましたよ。もちろん半分冗談ですが、半分は本気でした」
2002年からのF1デビューが決まっていた佐藤(右端)
写真: Sutton Images
「彼はその心意気を気に入ってくれて、『OK、タク。マカオに出ていい。ただし絶対に勝ってこいよ』と言ってくれました。プレッシャーになりましたが、僕自身2000年に7秒間だけトップに立って、リスボアでレースを終えた経験があったので、今度こそという気持ちがありました」
「僕はF1でも表彰台に乗れたし、インディ500でも2回勝つことができましたが、マカオでの優勝もレースキャリア最高の瞬間のひとつになっています」
佐藤はさらにこう続ける。
「今はドライバーの若年化もあって、とにかく早く次へのステップを踏まないといけなくなっています。それで多くのドライバーがマカオを経験せずに上に行ってしまうのは残念ですね。つまりベスト・オブ・ベストのドライバーが必ずしもマカオを通らないわけですが、それは少し寂しいことです」
「マカオは言うまでもなく世界で最も難しいコースのひとつで、F4やフォーミュラ・リージョナルのドライバーにとっては良い経験になると思います」
また佐藤は自身にとって大切な思い出のあるマカオの地で、息子の凛太郎が走ることは感慨深いと語る。今回のF4レースで凛太郎は、父が2001年のマカオGPを制したカーリンのマシンを復刻させたようなカラーリングをまとい、見事3位表彰台を獲得した。
父のイギリスF3マシンをオマージュしたカラーリングで走った佐藤凛太郎
写真: Macau Grand Prix Organizing Committee
「あれから25年経った今、息子をこの地で走らせているなんて……(笑)。彼は僕のマシンをオマージュしたカラーリングで走りたいということで、スポンサーの皆さんの支援もあってそれが実現しました。二世代にわたってマカオでレースができると言うのは、本当に感慨深いです」
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