【スーパーフォーミュラ】熱効率を上げた新エンジンHR-417Eとは?

今季のSFに投入される新しいホンダエンジンHR-417E。大幅に熱効率が高まったというこのエンジンについて、佐伯プロジェクトリーダーに訊いた

 2月13日に行われたホンダの『国内モータースポーツ活動計画』発表会。この席上でホンダのスーパーフォーミュラ・プロジェクトリーダーである佐伯昌浩は、今季使うエンジンについて「燃焼にまつわる部分を相当に変えてきました。社内呼称もHR-417Eに変え、今シーズンを戦っていきます」と語っていた。

 この新エンジンHR-417Eは、どんなエンジンなのか? 佐伯プロジェクトリーダー(PL)に、その詳細について訊いた。

色々な条件で燃焼を良くした

「具体的なことは言えません」と前置きした上で、HR-417Eについて佐伯PLは次のように説明してくれた。

「去年のエンジンと比較すると、今年の方が燃焼は明らかに良くなっています。広い範囲で燃焼がよくなっているんです」

「どこかの領域(回転域)の燃焼を良くしようとすると、別の所(回転域)が犠牲になっていることがあります。例えばパーシャル(アクセルをコントロールし、スピードを一定に保つこと)の部分が良くなかったりする。そういう部分を、気筒内の混合気の状態も含めて、改善できるようになっています」

「ホンダエンジンはピークパワーに特化しているというイメージがあるかもしれませんが、そのピークパワーは維持しつつ、色々な条件で、燃焼を良くしようとしたエンジンなのです」

 それがどのような形で実現されたのか、佐伯PLは明言を避けた。しかし、彼の言葉から想像するに、エンジンの中に噴射されるガソリンを無駄なく燃やすことができるようになり、ガソリンの燃え残りが少なくなったことで燃料の無駄が減り=燃費が良くなり、しかもエネルギーのロスが少なくなったということが考えられる。

あとはトヨタエンジンの出来次第

「あとは走ってみないと分かりませんが、テストベンチではかなりステップアップしたというデータが出ています」

 そう佐伯PLは自信を見せるものの、あとはライバルであるトヨタのエンジンの出来次第だと語る。

「期待はしているものの、トヨタさんも頑張ってくると思うので、(勢力図が)どうなるのかは分かりません」

 現在のスーパーフォーミュラのエンジンは、直4直噴ターボ2000ccと規定されている。このエンジンについては、まだまだ開発の余地はあるという。

「このレギュレーション下での開発には、終わりがありません。ものすごい勢いで、熱効率が上がっています。まだまだできるところはあると思う。後半戦仕様のエンジンには、前半には入りきらなかったもの、溢れてしまったモノを入れる予定です。そろそろ作らないといけないので大変なのですが、エンジニアにとってはとても面白いカテゴリーです」

スーパーGTとは骨格は同じでも別エンジン!?

 佐伯PLは、今季からスーパーGTも担当することになる。

 スーパーGTとスーパーフォーミュラのエンジンは、基本的には同じモノであるため、ひとりの人物が両方のプロジェクトを統括するのは理に適っているとも言える。しかし佐伯PLは、「全く別の特性になるかもしれない」と語る。

「昨年は(スーパーGTとスーパーフォーミュラで)ほぼ同じ特性のエンジンを使っていました。しかし、それが正解かは分かりません。骨格は同じでも、全く特性の違うエンジンにしていたこともあります」

「スーパーGTとスーパーフォーミュラで、要求が異なっている場合でも、1人でやれば、フォーミュラはこっち(の特性)、GTはこっち(の特性)と、それぞれ別の方向に振ることもできます」

道具とドライバーは揃った

 今年のホンダ陣営のトピックと言えば、やはり昨年のGP2チャンピオン、ピエール・ガスリーの加入だろう。これについて佐伯PLは、「ぜひホンダで走らせたい」と、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長に語っていたという。

「僕は新しモノ好きなんです。技術も、ドライバーも」

 そう佐伯PLは語る。

「GP2でチャンピオンになったドライバーがどこまで戦えるのか、それに日本のドライバーがどう立ち向かうのか、というのが大好きなんですよ」

「昨年、ストフェル(バンドーン)が来たのはラッキーでした。この流れが続いていけば、より世界から注目されるカテゴリーになる。そして、それに打ち勝った日本人が、世界に行けると思っています。ガスリーという名前が挙がった際、山本(モータースポーツ部長)さんに、『ぜひホンダでクルマを用意して走らせましょう!』という話をしました」

 では、今年ガスリーを倒すのは誰になるのか? 今年のホンダ陣営のドライバーについて佐伯PLは「みんな調子良い」と語る。

「昨年後半は塚越(広大)も、(中嶋)大祐も速かった。小暮(卓史)だって元々速い。伊沢(拓也)も昨年末のテストを見れば、DANDELIONに行って息を吹き返した感がある。ナレイン(カーティケヤン)だって間違いない。フォーミュラに関しては、毎年良いラインアップが組めていると思うので、誰が倒してもおかしくないと思います」

 そして、最後にこう語って締めくくった。

「道具とドライバーは揃いましたので、昨年以上の結果を残せるはずですし、残したいと思っています」

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シリーズ スーパーフォーミュラ
記事タイプ 速報ニュース