鈴鹿テストに来季向け”新”ソフトタイヤ投入。今季より”柔らかく”
スーパーフォーミュラの鈴鹿合同テスト。横浜タイヤはこのテストに、来季導入予定の新しいソフトタイヤを持ち込んでいる。

鈴鹿サーキットで行われているスーパーフォーミュラの合同テスト・ルーキードライバーテスト。このテストには、横浜ゴムが来シーズンの投入を目指す新しいソフトタイヤが持ち込まれ、各チームに割り当てられている。
今回各マシンごとに、ミディアムタイヤ5セット、ソフトタイヤ2セットが追加で供給されている。それ以外に各チームは、シーズンから持ち越したタイヤも使うことができる。
この追加投入されたタイヤのうちミディアムは今季使われたモノと全く同じだが、ソフトタイヤはもてぎとオートポリスで使われたモノとは、異なる仕様であるという。
「今年の2戦の結果から、もう少し柔らかい方向、タイムが出る方向のコンパウンドに変えてきました」
そう横浜ゴムの渡辺晋プランニングジェネラルマネージャーは語る。
「オートポリスのメーカーテストですでに使われた中で、もうちょっとタイムが出て、もうちょっともちが悪いタイヤがあれば検討してほしいと言われました。そして今年のソフトタイヤを開発する上で、”これは柔らかすぎるよね”というモノがあったので、それをもう一回復活させてきました」
オートポリスでのテストでは、今年のソフトタイヤがミディアムよりも1周あたり1.4秒速かったのに対し、今回の”新”ソフトタイヤは2.2秒速かったという。ただその一方でタイムの落ちが激しすぎ、ロングランはできなかったという。
しかし、実際に使われたソフトタイヤも、テストではデグラデーション(タイヤの性能劣化)が非常に大きかった。にもかかわらずオートポリス戦では、数台のマシンが想定以上の距離をソフトタイヤを履いて走りきったのは、記憶に新しいところだ。
その原因は何だったのか? 渡辺氏は次のように説明する。
「路面ができる、できないというところが大きかったと思います。オートポリス自体が、路面変化が大きいコースです。しかもテストの時には2台しか走っていなかったので、路面にラバーが全然載らなかった。だからグレイニングが出たりしていました。しかしいざレースになると、ラバーが路面に載っていて、ゴムが減らなかった。逆に路面のゴムにペースが支配されたような形になっていました。だから2018年に向けて考えているタイヤでも、50周走れるかどうかは別として、2〜3周で終わってしまうことはないだろう、30周くらいは走れるだろうと見込んでいます」
テスト初日、この”新”ソフトタイヤを早くも10台のマシンが使ったという。しかし、ミディアムとのラップタイム差はコンマ数秒だった。前述の想定からすると小さい数字のように見えるが、渡辺氏はその理由について次のように説明した。
「ラバーの載りが少ないというのもあるし、寒いのでタイヤ自体が暖まらないんです。ソフトとは言えど、ハイグリップなタイヤであって、タイヤ自体が柔らかいわけではありません。実際触ってみると、ソフトの方が硬いんです。この低温だと。温度が上がって溶けるとグリップを発揮するのですが、今日はそこまでいかなかったという面もあると思います。まだデータがまとまってはいないので、ざっくりと言ったファーストインプレッションですが……」
「80度に暖めれば、ソフトの方が柔らかくなります。温度とグリップ力の関係が、ソフトをミディアムとは全く違います」
「ドライバーからは、低速でも高速でもグリップがあるというフィーリングを聞いています。ただ、アウトラップが全くグリップしないと言われています」
「それからこのソフトタイヤは、柔らかいのでゲージが厚いと拠れてしまう。そのためミディアムに比べたらゲージが薄くなっています。その分、暖まりにくいんです。ミディアムに比べると、約25%薄いんです」
結局この日は、各チームともアタックラップで”新”ソフトタイヤを試したのみ。おそらく2日目には、ロングランを行ってくることになるだろう。気温が低いため、性能のすべてを知ることは難しいかもしれないが、その一端は垣間見ることができるだろう。
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この記事について
シリーズ | スーパーフォーミュラ |
イベント | 合同テスト・ルーキードライバーテスト |
ロケーション | 鈴鹿サーキット |
執筆者 | 田中 健一 |