首位攻防でOTSを起動しなかった野尻、初勝利も涙を流さなかった松下……その理由を語る【SF第3戦鈴鹿:決勝会見】
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦の決勝レース。会見で語られたドライバー、監督のコメントを紹介。
写真:: Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿では、松下信治(B-Max Racing Team)が初優勝を飾った。以下は決勝後の記者会見での、優勝監督、トップ3ドライバーのコメントだ。
本山哲監督(B-Max Racing Team)
「松下選手としても、そしてチームとしても優勝経験がないことで、優勝という目標が目の前にありながらもクリアできないという状況がありました。今年は頑張ろうという気持ちが空回りしていた部分もあり、オフのテストと開幕戦はリズムが悪かったです。今季に向けては優勝を狙うというよりは、安定したシーズンを送って常にトップ6に入ろうと言っていました」
「今日のレースに関しては、(水が流れる)イン側ではなくアウト側のグリッドだったのはラッキーでした。ただ、水が少ない時のフロントのレインタイヤはうまく扱っていかないといけないので、逆にそこをうまくケアすればライバルのペースが落ちて僕たちにチャンスがあると思っていました。レース中の松下選手はタイヤをセーブしながら、大きくラインを外して水のあるところを走ったり、珍しく自分を抑えた我慢した走りをしてくれました。そういった地道な努力が結果に結び付いたと思います。みんなに感謝したいです」
優勝:松下信治(B-Max Racing Team)
「予選9位だったので、できれば雨になってほしいと思っていました。決勝はスタートが命だと思っていましたが何台か抜くことができ、ペースも思ったよりも良く、トップ3に迫りました。ただそこから差が詰まらず、『これは長期戦だ』と思いました。しかしトップの野尻選手も牧野選手もタイヤがきつそうだという話だったので、諦めてはいけないと思いました。今回は野尻選手に勝たせてもらいましたが、予選で彼の前にいかないとシリーズ的にも厳しいと思うので、浮かれずに頑張りたいです」
「嬉しいですが、涙は出ませんでした。大口を叩いているつもりはありませんが、目標を高く持っているので、1勝くらいで涙が出ることはないと思っています。チャンピオンになりたいので、チャンピオンになったら涙を流したいですね」
「(ポイントリーダーの野尻について)金曜日の走り出しの段階で、野尻選手と差があり過ぎるのが現状です。彼に勝ったことについては自信に繋がった部分はありますが、冷静に考えるとまだまだビハインドを背負っています。その状況を打破するための流れつくりはできたと思います。本当に強いので、何とかしないといけません、ねえ、任祐(笑)」
2位:野尻智紀(TEAM MUGEN)
「悔しいの一言です。とはいえ、チャンピオンシップのことを考えれば2位というのは悲観する内容ではないと思います。レースでは序盤からタイヤのグレイニング、ヒートアップに苦しんでいました。途中から牧野選手と松下選手がジリジリと来ているのも知っていましたし、自分のペースを維持するのは大変でしたが、工夫をしながら最後までやれることはやったと思います。悔しいですがやり切った気持ちです」
「(松下接近時、オーバーテイクシステムを使わなかった理由について)必要性を感じなかったからです。彼のペースに対して、オーバーテイクシステムを使ったところで結果は変わらないと思いましたし、ストレートスピードが上がることでブレーキングミスに繋がる可能性もありましたし、総合的に考えて使わないという選択をしました」
3位:牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「これまでの3位とは全く内容の違う、非常に悔しいレースになってしまいました。スタートは良く、3番手にポジションを上げられましたが、タイヤがキツくなることは分かっていたので序盤はプッシュしていませんでした。その後、野尻選手とのギャップがかなり詰まったタイミングで、松下選手も後ろから迫っていたので難しいシチュエーションになりました。ただ、守りに行くことはなく、勝つためにペース上げたので後悔はありません。1位、2位のおふたりよりは、僕の方がペースを上げるタイミングが早かったのかもしれないと、冷静になった今思います。3位という結果は悪くないですし、次勝てるように準備したいです」
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