富田鈴花なら、日向坂46のメンバーにスーパーフォーミュラをどうPRする? キーワードは“速さ”と“ドライバーの個性”
スーパーフォーミュラの魅力を発信する番組『GO ON! NEXT〜サーキットで会いましょう〜』でMCを務める富田鈴花。自らが所属する日向坂46のメンバーとも、スーパーフォーミュラの話をする機会があるという。
国内トップフォーミュラのシリーズ発足50年の節目に、『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトを立ち上げ、様々な改革に打って出ているスーパーフォーミュラ。テストを通して環境に優しい燃料やタイヤ、カウル、そしてバトル増加を目指した空力パッケージなどの開発が進められており、画期的なアプリ『SFgo』の開発も進んでいるが、こと観客動員数という点で見れば、まだコロナ禍以前の水準に戻すことができていない。
今シーズンは2度の富士大会でそれぞれ2万人を超える観客を動員。2度の鈴鹿大会は1万6000〜1万8000人程度、もてぎ、SUGO、オートポリスでのレースは7000人強〜9000人弱という観客を集めた(全て大会2日間の合計)。これらは前年と比べると概ね増加しているが、イベントによっては3〜6万人の観衆が訪れていた2019年までの数字と比べると、やはり寂しいものと言わざるを得ない。
スーパーフォーミュラというシリーズを一層盛り上げるためには、既存のモータースポーツファンをしっかりと取り込むことはもちろんのこと、これまでレースやクルマとの関わりが少なかった新たな層を取り込むことも重要になってくるだろう。
その上でのひとつのヒントとなりそうなのが、日向坂46の富田鈴花の存在だ。彼女は母親がレース好きで、鈴鹿サーキットにちなんで“鈴花”という名前を付けられたという縁もあり、今年からスーパーフォーミュラの魅力を発信する番組『GO ON! NEXT〜サーキットで会いましょう〜』のMCに就任した。当初はモータースポーツ初心者だった彼女も、今では他カテゴリーのレース中継までも視聴し、ハンドルコントローラーを購入して『グランツーリスモ』に没頭するというハマりっぷりだ。
レースの世界を少しずつ知っていくことに対して「めちゃめちゃ楽しいです!」と目を輝かせる富田。今のモータースポーツ業界は、関係者、メディア、ファン含めてこの業界に長年“どっぷりと”浸かってきた人間が多く、客観的かつ新鮮な視点・思考という点では、彼女のような人たちの方が優れているかもしれない。
筆者は今後に向けてのヒントに少しでもなればと思い、最終戦鈴鹿でのインタビューの際、富田に「もし日向坂46のメンバーにスーパーフォーミュラをPRするとしたら、どんなところをアピールしたいか」と尋ねた。すると彼女は悩みながらも、ふたつのポイントを挙げた。まずそのひとつ目が“速さ”だ。
Photo by: Masahide Kamio
「そもそもフォーミュラカーと普通の車の違いも知らないと分からなかったりしますし、速度に関してもテレビで見ていると分かりづらい部分があるかもしれません。でも、『これは〇〇km/h出てるんだよ』と言ったら、メンバーも『すごいね!』と言ってくれたりします」と話す富田。既にメンバーとスーパーフォーミュラの話をする機会があるようだ。
「後輩の子だと、先輩の話を聞いてくれるというか……(笑)」
「でも日向坂のメンバーは好奇心旺盛なメンバーが多いです。3期生の髙橋未来虹や、スポーツ(野球)好きな山口陽世はよく話を聞いてくれるメンバーです」
最近では、ワールドカップでの日本代表の躍進に沸いたサッカー界において、日向坂46の影山優佳がその豊富な知識量と分析力で注目されている。富田は「影山さんは戦術などとても熱心に勉強される方です。私もその姿を見て、モータースポーツのお仕事をいただく上で影山さんの良いところを吸収したいなと思います」と語るなど、先輩の活躍をリスペクトしているようだった。
本題に話を戻すと、富田が挙げたふたつ目のアピールポイントが“ドライバーの個性”だ。ドライバーの個性をアピールしたいという考え方は、ドライバーの活躍の場を増やして彼らの価値向上を目指すNEXT50プロジェクトのビジョン『ドライバーズファースト』とも共通項があるように感じる。
「スーパーフォーミュラがNEXT 50プロジェクトを掲げている中で色々な記事を読みますが、その中で『ドライバーが主役』という言葉がよく出てくる印象で、私もそれは強く思っています」
Photo by: JRP
「何かをきっかけに(スーパーフォーミュラの世界に)入るかとなると、もちろんクルマが好きで入る方もいると思いますが、選手を通して好きになる方も多いと思います」
そんなドライバーの個性をいち早く掴むために富田が取り組んだのが、“鈴花ノート”の作成。母と共に作り上げたこのノートには、ドライバーを覚えるための基本情報に加えて、取材を通して得た豆知識や彼らの人となりについても一口メモが添えられている。アイドルらしいカラフルなデコレーションも目をひく。
「母からも、モータースポーツを好きになる上で選手を覚えるのは必須だからと言われていました。母と一緒に印刷しに行って、切り貼りしたり……デコレーションは私がしました」
「TwitterなどのSNSが、そのチームやドライバーさんを推す人たちで盛り上がっていて、そういう気持ちを少しでも分かりたいという思いもありました。これを作ったからかは分かりませんが、ドライバーさんの顔もすぐに覚えられました」
「本当に皆さん個性が豊かじゃないですか。それが大きな魅力のひとつだなと思います」
どんなスポーツにおいても、それが盛り上がる上で重要なのは競技そのものの魅力はもちろんのこと、“推し”を作りやすい環境というのも鍵になるだろう。個性豊かなドライバーの魅力を広く発信していくにはどうしていくべきか? それはシリーズのプロモーターに限らず、チームやメーカー、そしてドライバー自身も考えていく必要があるだろう。
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