「今日は勝負に負けた」牧野任祐、スーパーフォーミュラ2勝目は悔しさ勝る複雑な後味。ランキングでは2番手浮上し王者候補に

　スーパーフォーミュラ第5戦もてぎで勝利を飾ったのは、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの牧野任祐だった。しかしマシンを降りた牧野に笑顔なし。それは、チームメイトである太田格之進のトラブルによって転がり込んできた勝利だったからだ。

　レース終盤、最少周回数でピットインしてトップを走っていた太田と、ピットインを遅らせてフレッシュタイヤで猛追していた牧野とのチームメイトバトルが激化。牧野は残り3周でサイドバイサイドに持ち込んだものの攻略はならず、オーバーテイクシステム（OTS）もほぼ弾切れとなり、苦しい状況に追い込まれていた。

　しかし残り2周、太田がスロットルトラブルによりスピン。これによってトップに立った牧野はそのままチェッカーを受け、第2戦オートポリス以来のキャリア2勝目を飾った。

　涙の初勝利となったオートポリスとは裏腹に、今回の牧野には笑顔がなかった。それはレースに勝ちはしても、太田との“勝負”には敗れたと感じているからだ。

「今日は勝負に負けたかなと思っています」

　牧野は記者会見でそう語った。

「残り3周のところで仕掛けて90度コーナーまで並走していったんですけど、そこで決めきれませんでした。OTSもそこで使い切ったので、勝負には負けたと思っています」

　2勝目を挙げたことでポイントランキングでも野尻智紀（TEAM MUGEN）と5点差の2番手に浮上した牧野だが、展開が展開だっただけに、悔しさの方が勝るレースになったという。

「本当に（ダンディライアンの）ワンツーが目の前でした。僕としては（太田のトラブルがなければ）2位だったと思うので、今回は悔しいレースになったかなと……今も正直、負けたという感情の方が強いと思っています」

「ただチームとして総合的に見てもかなりレベルアップできたと思うし、2台でポイントを獲れなかったことは痛いですけど、残り2大会4レース、僕たちが主導権を握れるんじゃないかなという手応えはあったのかなと思います。次戦以降もしっかりチームで頑張っていきたいです」

「（太田とは）開幕戦の鈴鹿もバチバチやってましたけど、今回はそれをトップ争いで展開できました。今後もふたりで争っていくシーンをどんどん増やしていけたらと思いますし、次は僕が勝てるよう頑張ります」