優勝目前の不運……トラブルでスピンの太田格之進にダンディライアン村岡代表「特別な言葉をかけたりはしない。次に向けしっかりクルマを整備するだけ」

スーパーフォーミュラ第5戦もてぎで、優勝目前でトラブルに見舞われレースを終えた太田格之進。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔代表は、太田に何か特別な声かけをあえてする必要はないと考えており、チームとして気持ちを切り替えて次のレースに向かいたいとした。

Kakunoshin Ohta, DOCOMO TEAM DANDELION RACING

Kakunoshin Ohta, DOCOMO TEAM DANDELION RACING

写真:: Masahide Kamio

 モビリティリゾートもてぎで行なわれたスーパーフォーミュラ第5戦もてぎの決勝で主役となったのは、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのふたり。太田格之進と牧野任祐が終盤までワンツー態勢を築いていたが、ふたりのチームメイトバトルは首位を走る太田のトラブルという形で幕切れを迎え、チームにとっても悲喜こもごもなレースとなった。

 太田が2番グリッド、牧野が5番グリッドからレースをスタートしたDANDELION RACING勢は、太田が早めのピットストップで実質的なレースリーダーとなり、中盤にピットインした牧野がフレッシュタイヤでそれを追いかけるという展開に。2台の差はみるみる縮まり、最終盤は2台の息詰まる攻防が繰り広げられたが、残り2周の90度コーナーでトップの太田がスロットルトラブルの影響でスピン。代わってトップに立った牧野の優勝となったが、牧野は勝負に“負けた”悔しさから複雑な表情を浮かべていた。

 DANDELION RACINGとしては久々のワンツーが見えていただけに、村岡潔代表としても複雑な心境であろう。しかし記者会見に臨んだ村岡代表は「これは誰かがコントロールできるものじゃないですし、その結果お客さんにもあれだけ楽しんでもらったということで、それ以上の収穫は何もないです。監督冥利に尽きます」と語った。

 今回のレースは、優勝した牧野も「格之進のレースだった」と言うほどに太田が素晴らしいパフォーマンスを見せていた。そんな中でトラブルによって優勝を逃すという悲劇に見舞われた太田には、精神的にもかなりタフな1日になったはずだ。そんな太田に何か声をかけるつもりなのか、それとも……。村岡代表に尋ねると、彼は淡々とこう答えた。

「正確には分かっていませんがトラブルということですから。チームとしてきちんと整備をするから次に、というだけのことです」

「声をかけて何かモチベーション(を上げる)といったことはありません。それでダメになるようなドライバーはここまでは上がってこれないと思っていますから。それはもう自分で色々考えてやってもらえればいいし、もうプロのドライバーとして接していますので」

「何か特別な言葉をあえてかけることもないし、マイナスなこともプラスなことも言いません。しっかりミーティングをして、大事な富士でのレースを迎えたいです」

 今回のレースではチームメイト同士で接触スレスレのバトルが繰り広げられたが、今後のレースでまた同じようなシチュエーションとなった場合にどうするかという質問も飛んだが、村岡代表はチームメイト同士で優勝を争う状況自体が「贅沢な悩み」であり、今後もチームとしてのアプローチを変えるようなこともないとした。

「こんなことはもう滅多にないので……こんな経験をさせてもらって、ドライバーふたりにありがとうと言いたいですよ」

「また次に同じようなことがあっても、別に無線で譲り合うよう指示もすることもないし、今回と同じくクリーンファイトの結果どちらかが勝てばいいということです。また同じことをやってくれても、私は大喜びです」

 チームランキングでも、王者TEAM MUGENに肉薄するダンディライアン。計算上では、今回ワンツーフィニッシュを達成していればトップに立っていたことになる。非常に好調と言えるが、村岡代表は今後もその他ライバルチームの躍進も含めて全く気が抜けない状況だと語った。

「無限さん含め、他にも名門チームがいっぱいありますから。私のチームはプライベートチームでやっているんでね。ちょっとよそ見しているとすぐに前に行かれてしまうので、離されないようについていくことで精一杯なんです」

「人も少ないし、予算も少ないし、余力もありません。うちのチーム以外でも、今回ポールポジションを獲ったチーム、後ろから追い上げてきたチームもあります。全チームに意識を分散しながらも、自分たちだけが勝ちたい……そんな厚かましい思いをチーム創業時から持っています」

 

 

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