スーパーフォーミュラ 第9戦・第10戦富士
2台の成績格差は過去の話に! 5年ぶりSFチームタイトルも見えてきたトムス。躍進フェネストラズに何が起きているのか
サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)の担当エンジニアは、スーパーフォーミュラ後半戦に向けて彼のドライビングスタイルに合ったマシンに仕上がってきたことが好調の要因だと語った。
戎井健一郎
公開日時: 2025/10/13 3:44
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Sacha Fenestraz, VANTELIN TEAM TOM’S
写真:: Masahide Kamio
VANTELIN TEAM TOM’Sが、スーパーフォーミュラでの5年ぶりのチームタイトルを射程圏に捉えている。彼らはここ数年、2台のマシンのパフォーマンス格差が大きく、2023年(宮田莉朋)、2024年(坪井翔)と2年続けてドライバーズチャンピオンを輩出してきたもののチームタイトルには縁がなかった。しかし今年は様相が異なっている。
タイトル2連覇を狙う坪井のチームメイトは、3年ぶりのスーパーフォーミュラカムバックとなったサッシャ・フェネストラズ。彼は第4戦もてぎで4位に入ると、第8戦SUGOでは予選2番手から2位表彰台を獲得、さらに先日の第9戦富士ではポールポジションを奪い、決勝がセーフティカーランのみの短縮レースになったことでそのまま優勝をもぎ取ってみせた。
坪井とフェネストラズの活躍により、トムスは現在チームランキング2番手。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGとは15.5ポイント差であり、残りレースでの逆転が十分可能な位置につけている。
ここ数年はドライバーがジュリアーノ・アレジから笹原右京に変わったり、モノコックが新しくなったりと、様々な体制変更が合った中でも、トムス37号車(※2023年まではゼッケンナンバーが36だったマシン)の調子は上向いてこなかった。車体、セットアップ、ドライバーの運転スタイルなど様々な要素がある中で、ほんの少しのボタンのかけ違いで袋小路に入ってしまうハイレベルなスーパーフォーミュラの世界において、突破口を見出せずにいる状況だった。
その中で今季フェネストラズが尻上がりに調子を上げており、近年の37号車とは一線を画するパフォーマンスを見せている。ただその要因もひとつに断言するのは難しいようで、山田淳テクニカルディレクターも今回の富士ラウンドの前、「まだ分からないところがたくさんある。これ!と言えるものは正直ない」と話していた。
ただフェネストラズ本人や担当する大立健太エンジニアらのコメントから、躍進の一因として考えられるものはいくつか挙げられる。まず、フェネストラズが予選・決勝で上位に食い込み、躍進の兆候が見え始めた4月のもてぎ戦の際には、坪井とフェネストラズのドライビングスタイルやフィードバックが似ているという話が出ていた。そのため、実績のある坪井号のセットアップをフェネストラズ号に落とし込む上でも、円滑に作業が進みやすい面もあったようだ。
SUGOでの予選2番手を喜ぶフェネストラズと大立エンジニア
写真: Masahide Kamio
その一方で、シーズン前半の時点では37号車のパフォーマンスにもムラがあり、フェネストラズも一貫性が欠けていることが当面の課題だとしていた。しかし7月の第6戦・第7戦では、かつて自身がシリーズ2位を獲得したKONDO RACING時代のセットアップを一部取り入れた結果、安定感が増し、レースペースにも自信を持てるようになったという。
大立エンジニアも、7月の富士戦がキーポイントになったと考えている。
「(7月の)富士で試したことがすごくキーになっていて、その傾向・流れを引き継いだまま(8月の)SUGOに臨みましたが、そこでもしっかり機能してくれました。今回の富士でもそこがかなりうまくいっている感じで、ロングランでもペースが保てている感触がすごくあります」
「金曜日(フリー走行)でロングランをしましたが、全然問題ありませんでした。その時はテストアイテムを使ったり、タイヤもボロボロで満タンでの走行でしたが、フレッシュなタイヤで満タンロングランをしているであろうドライバーたちと比べても、タイヤのマイレージを考えれば遜色ないレベルでした。ドライでレースをやれば、結構いいところまでいけたんじゃないかと思います」
具体的には、何が良くなったのか? これについては大立エンジニアは「彼のドライビングスタイルにクルマが合ってきたというのが一番大きいですね」と語る。
先ほどは「坪井とフェネストラズはドライビングスタイルが似ている」と述べたが、フェネストラズ本人も「全く同じなわけではない」と話しており、大立エンジニアも「ドライビングとしては(ふたりは)結構違う。でもサッシャは頑張ってそこをマネージしようとしている」と述べていた。7月以降の37号車は、より“サッシャスペシャル”的な仕上がりになったということだろうか。
「サッシャはうちに来てまだ1年目なので、僕も『彼がこう言っている時、彼はどう感じているんだろう』ということを掴みきれていない部分がありました」
「その中でKONDO RACINGの時のエッセンスを入れたことによって、彼のドライビングスタイルに合ってきたと思っています」
写真: Masahide Kamio
今季に向けては、メカニックがマシンを文字通りバラバラにして組み直すなど、パフォーマンスアップのためにチーム一丸となって37号車を仕上げてきたという話も聞こえてきている。それが今回、セーフティカーランのみの短縮レースという形ではあるものの、優勝という形でひとつ結実したと言える。
「クルマとしては、メカニックに色々無理を言ってやってもらったところもあります。ようやくメカたちの頑張りに応えられるクルマになってきたかなと思います」
そう笑顔を見せた大立エンジニア。チームタイトルのかかる終盤戦に向けては、最終戦の舞台である鈴鹿サーキットはホンダ勢、DANDELION勢が強いサーキットであるため警戒しつつも、「予選で2台揃ってしっかり上位に入ってレースに臨むという今回のような運びをしていけば、そこまで離されることもないはず。2台とも前でレースを進めていきたいです」と意気込んだ。
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