ポールシッターには100万円! スーパーフォーミュラで久々に予選Q3が復活。その賞金の使い道は……?
スーパーフォーミュラ第3戦オートポリスでは、予選Q3が5年ぶりに復活する。横浜ゴムの協賛でポールポジションのドライバーには賞金100万円が用意されているが、その使い道は色々と分かれそうだ。
写真:: Masahide Kamio
4月25日、26日に大分県のオートポリスで行なわれるスーパーフォーミュラ第3戦。今大会最大のトピックと言えるのが、予選Q3の復活だ。
スーパーフォーミュラで最後にQ3が実施されたのは2021年。今季は週末1レースフォーマットのオートポリス大会とSUGO大会でのみQ3が実施され、同セッションは横浜ゴムの協賛によって『SUPER POLE QUALIFYING Supported by YOKOHAMA TIRE』と銘打たれ、ポールシッターには賞金100万円が贈られることになっている。
スーパーフォーミュラではF1と違って予選中にもセットアップ変更が可能なため、各陣営はQ1後にセットアップをアジャストしてQ2に臨む。そしてこのアジャストがうまくいくかどうかが明暗を分けることも少なくない。
最後にQ3が行なわれていた5年前からは車両もタイヤのスペックも変わっている。そのため、Q3にかけてどのような調整が必要かは未知数だとする声もある。
PONOS NAKAJIMA RACINGで佐藤蓮を担当する加藤祐樹エンジニアは、次のように解説する。
「当時はトラックエボリューション(コースコンディションの改善によるタイムの伸び)がすごく、Q2からQ3にかけてもグリップが上がっていました。それに対してリヤのスタビライザーなどを調整して、『これならQ3のグリップレベルでも我慢できる』といった状態するという手段がありました。ただ今回Q3は久しぶりでタイヤも変わっているので、その(グリップ向上の)程度がどのくらいなのかは分からないですね」
「ただ最近は、クルマをそこまで変えるほどの大きなトラックエボリューションを感じたことがなく、Q1からQ2にかけてセットアップを大きく振れなかったところはあります。ただQ1からQ3まであると、そういったこともやらなきゃいけないかなと思います」
また加藤エンジニアは、Q3で大胆なチャレンジをしてポールポジションを獲得した経験もあると語る。それが、チャンピオン争いをしていたアレックス・パロウがポールポジションを獲得した2019年の最終戦鈴鹿だ。
「Q1とQ2を通ったとはいえ、思ったよりもタイムが出ていませんでした。その時、ダンディライアンの2台(※Q1、Q2で好タイムをマーク)がうちより1周ウォームアップが少なかったんですが、ドライバーが『あいつらと一緒のやり方でいきたい』とQ3で言ってきました」
「それまでのレースウィークで1回もやっていなかったことでしたが、『俺がなんとかするから』と言ってくれて。急いで内圧を計算してアジャストしたらポールを獲れました。グリップレベルが上がるほどタイヤを温めるペースも変わりますし、そういったチャレンジも起きるかもしれません」
特に今回のQ3は、わずか5台で争うことになっている。Q3に進出したドライバーにとってはその時点で大きくグリッド順位を落とすリスクがないからこそ、ポール狙いで大胆なトライをする者も現れるかもしれない。
100万円、何に使う?
賞金100万円が誰の手に渡るかも注目だが、同じく気になるのが、その使い道。金曜日のパドックで数人のドライバーに話を聞くことができた。
100万円はなかなかの大金であるため、その使い道も限られそうではある。特段お金のかかる趣味を持たないドライバーにとっては、クルマ絡みの投資が現実的なところか。
佐藤に使い道を尋ねると、彼も最初は少し悩んでいた様子だったが、愛車シビックのダンパーとタイヤを新調したいと話した。ただお目当ての商品を検索したところ、ダンパーだけで80万円超であり、「あ、(100万円)全然超えるわ」とのこと。タイヤまで買うなら、多少自腹を切る必要がありそうだ。
昨年のオートポリス戦のポールシッターで、ポールポジション獲得数で歴代最多(※フォーミュラ・ニッポン/スーパーフォーミュラの合算)を誇る野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)は、基本的にはレースウィークのことに集中しており使い道までは考えていないとしつつも、次のように語った。
「この間のもてぎ戦ではスーパースローカメラが増えていて、雨の水飛沫などがよく見えたりと、これまでとは違った中継の見せ方があったと思います」
写真: Masahide Kamio
「ただ、微妙に距離が遠いようにも感じたので、“野尻智紀プレゼンツ”のスーパースローカメラをもっと近いところに置いても面白いんじゃないですかね(笑)」
野尻は昨年の『SFgoアワード』の『推しドライバー部門』で1位となり、賞金100万円を手にしているが、この賞金についても「自分で使いたいということはなくて、どういう形でみなさんやレース界にお返しできるか悩んでます。観戦の環境が良くなるようにとか……」と自身のYouTubeで話していた。
その話題を向けると、野尻も「お客さんのためにできることはあるんじゃないかと思います。物価も上がってますし、それだけ観にくるのも大変になってますからね……」としみじみ話していた。
また野尻のチームメイトである岩佐歩夢には話を聞くことが叶わなかったが、岩佐担当の小池智彦エンジニアはSNSで、“セットアップ手数料”として賞金の15%をもらうとしている。そうなれば岩佐の取り分は85万円ということになる。
そして今大会のポールポジション大本命、開幕2連勝中の太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を直撃すると、彼はチームのメンバーに全額賞金を渡すと宣言し、粋なところを見せた。
「エンジニアとメカとマネージャーに全額あげますよ。僕が6回勝てているのはこの人たちのおかげですからね」
そう語った太田は最後に「村岡潔(チーム代表)にはあげません!(笑)」とだけ言い残した。
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