分析

スーパーフォーミュラ

2連続ポールの秘訣は“グランツーリスモ走り”だった? イゴール・オオムラ・フラガに聞く、SF富士で見せた他とは違うシフトチェンジ

スーパーフォーミュラ第10戦富士で2戦連続のポールポジションを獲得したイゴール・オオムラ・フラガ。この時、前日の予選とは違ったシフトチェンジを行なっていたが、その狙いを聞いた。

戎井健一郎

編集: 2026/10/27 10:16

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Igor Fraga, PONOS NAKAJIMA RACING

写真:: Masahide Kamio

 富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラ第9戦・第10戦では、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)のパフォーマンスが際立っていた。予選では2戦連続ポールポジションを獲得すると、第9戦は完勝。第10戦はアクシデントで入賞を逃したものの、今季の主役のひとりであることを誇示するには十分すぎる週末であった。

 そんなフラガがこの週末の予選で見せたドライビングには気になる点があった。特に日曜の第10戦予選では、いつも以上にシフトチェンジを多用する走り方をしていたのだ。

 ここではアプリ『SFgo』のテレメトリーデータを参考に、いわゆるBコーナーと呼ばれるシケイン状のダンロップコーナーから、13コーナー、GR GTコーナー、そして最終コーナー(パナソニックオートモーティブコーナー)までのギヤ選択を見ていく。

表:イゴール・オオムラ・フラガ、SF富士予選でのシフトチェンジ(雨絡みの第6戦除く)

  ダンロップ 13コーナー GR GTコーナー 最終コーナー R7 Q1

6→2→3

3→4 4→3 3 R7 Q2 6→2→3 3→4 4→3→4

4→3

R9 Q1 6→2→3 3→4 4→3→4 4→3→2→3 R9 Q2 6→2→3 3→4 4→3→4 4→3→2→3 R10 Q1 6→2→3 3→4→3→4 4→3→4 4→3→2→3 R10 Q2 6→1→2→3 3→4→3→4 4→3→2→3→4 4→3→2→3

表:SF第9戦・第10戦:予選2番手、3番手のシフトチェンジ

  ダンロップ 13コーナー GR GTコーナー 最終コーナー R9太田(P2) 6→2→3 3 3→4 4→3 R9野村(P3) 6→2→3 3 3 3 R10岩佐(P2) 6→2→3 3→4→3→4

4→3→4

4→3 R10オサリバン(P3) 6→2→3 3 3→4 4→3

 まず長い全開区間を経て高速でフルブレーキングするダンロップは、6速から一気に2速へと落とし、シケインを立ち上がるところで3速へとシフトアップするのがオーソドックスな形。ただフラガは立ち上がりではなく、シケインの途中で3速へと上げるのが特徴だ。そしてフラガは第10戦Q2だけ、珍しく1速までギヤを落としている。

関連動画:

 そこから上りの右カーブである13コーナーへの進入を前に、フラガは4速にシフトアップする。そのまま4速で旋回するのが第9戦までの走らせ方だったが、第10戦では一旦3速まで落とした後、コーナーのエイペックス(頂点)で4速に再び上げる忙しないシフト操作をしている。このコーナーは3速固定で走るドライバーもいる中、非常に対照的な動きだ。

 その先の左に回り込むGR GTコーナーでは、4速から3速に落として進入、立ち上がりで4速という流れが基本だった。しかし第10戦のQ2は4速からふたつギヤを落とし、旋回中に3速、立ち上がりで4速へと戻している。

 そして最終コーナーへのアプローチは第9戦・第10戦を通して共通。4速から2速まで落として旋回し、トラクションをかけ始める直前で3速に上げていた。

 フラガはこのセクター3で他を圧倒するタイムを出していたというわけではないが、他の上位陣よりも明らかに多いシフトチェンジ回数でタイムをまとめてきたという事実は興味深い。このような走らせ方をしていた理由について、本人に尋ねた。

写真: Masahide Kamio

「あの時はセクター3のグリップ感が掴みづらかった」と振り返るフラガ。ダンロップで1速まで落とした第10戦のQ2に関しては「若干行き過ぎたので1速で止めた」と明かす。通常より1段ギヤを下げることで、エンジンブレーキの助けを借りたということだろう。

 では、その先の13コーナー以降はどうだろう? これについても、シフトダウンを活用して車両の挙動やライン取りをうまくコントロールしていたようだ。

「僕の中でも、予選になるとあの辺(GR GTコーナー〜最終コーナー)で行きすぎちゃうというか、若干クリップにつけなかったりすることがあります。あの時も、普段よりもしっかり止まらないとリヤがブレイク(破綻)しちゃいそうな感じがあって……そういう意味でも、リズムに乗ってちゃんとしたラインを走れるように、ギヤを変えたりして工夫したという形です」

 頻繁にシフトダウンとシフトアップを繰り返しながら車両の動きをコントロールする様は、レースゲーム『グランツーリスモ』のような走り方という印象も受ける。これについては、グランツーリスモの世界王者であるフラガも同意する。

「結構グランツーリスモ寄り(な走らせ方)かと思います」

「グランツーリスモだとアップシフトの時に若干ロスが生じるみたいなので、それをなくすために(加速前に)出口で一旦重いギヤに入れるというやり方があります。今回の僕はそうではなく、進入の方でもう少し止めたいというイメージでしたが、やっていること自体はグランツーリスモでも結構やっていることですね」

 早めに上のギヤへと上げることは、回転数が下がってパワーバンドから外れてしまい、ターボラグへの対処が必要になる可能性もあるため、常に最適な解決策とは言えないとしたフラガ。「完全にこれ(が正解)というものはなくて、コンディションやシチュエーションに合わせて、というところだと思います」と述べた。

 

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