レースを揺るがしたのは“小雨”。レインタイヤ交換の上位陣大失敗……ステイアウトのフェネストラズが大逆転勝利|スーパーフォーミュラ第4戦
スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースでは、14番手スタートのサッシャ・フェネストラズが優勝した。
写真:: Masahide Kamio
5月23日(土)、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ第4戦の決勝レース(31周)が行なわれた。大波乱のレースで優勝を飾ったのはサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)だった。
2026年シーズンのスーパーフォーミュラは、これが3大会目。ただ、もてぎでの第1戦は雨でほとんどがセーフティカーランとなり、第3戦オートポリスは荒天により決勝中止……フルディスタンスのレースがなかなかできていなかった。
迎えた土曜日の第4戦は、曇り空のドライコンディションでスタート。しかし、いつ雨が降ってもおかしくないような空模様であり、波乱を予感させた。
ポールポジションは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)。これで4戦で3回目のポールとなった。2番グリッドには野尻智紀が続いてMUGENがフロントロウ独占、3番グリッドにはルーキーの野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)が食い込んだ。一方、第1戦、第2戦を制してポイントリーダーにつける太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、Q2でのアタックをまとめることができず、トラックリミット違反もあり12番手に沈んだ。
気温20℃、路面温度24℃というコンディションでレースがスタート。岩佐と野尻はワンツーを維持して1コーナーへ飛び込んでいった一方、野村は集団に飲まれてしまい、代わって福住仁嶺(NTT docomo business ROOKIE)が3番手に上がった。また8番グリッドの小出峻(ThreeBond Racing)がストールして立ち往生したが、アクシデントには繋がらなかった。
岩佐が快調にレースをリードする中、8周目を迎えてピットウインドウがオープンに。ここで7番手まで追い上げていた太田を先頭に、中団〜下位の7台がピットイン。無線で「リヤがズルズル」と訴えていた福住も、9周目にピットへ駆け込んだ。また、トップ5を争う位置で走っていた佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)は、シケイン立ち上がりでギヤトラブルが発生したようで、そのままガレージインとなった。
ここを好機とばかりにプッシュするのは太田。1周後にピットインした福住をNIPPOコーナーでオーバーテイクすると、猛烈なペースで引き離していった。ステイアウトを続ける岩佐を、アンダーカットしたい狙いだ。
一方でポジションを落としていた野村もペースが良く、オーバーテイクを繰り返して2番手野尻のすぐ後ろまで迫ってきた。ただ自らとは対照的にオーバーテイクシステム(OTS)を潤沢に残している野尻のコース上での攻略は難しいとみたか、16周でピットに。しかしピット作業で手間取ってしまい、福住の10秒ほど後ろでの合流となってしまった。
TEAM MUGENの2台がどのタイミングでピットに入るのか注目される中、19周目に大クラッシュが発生。野中誠太(KCMG)が130Rへの進入で突如挙動を乱し、スピンしながらハイスピードでスポンジバリアに激突した。大きなインパクトだったが野中は無事で、歩いてマシンから離れることができた。
このアクシデントでセーフティカー出動。当然ながら、岩佐、野尻らステイアウトしていた車両はピットへと向かった。岩佐はなんとか太田の前でコースに復帰することに成功。一方でダブルピットとなった野尻はその割りを食う格好となり、上位のオーダーは岩佐、太田、福住、阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)と続き、野尻が7番手、野村が8番手だった。
リスタートの時が近付く中、コース上にほんのわずかながら霧雨が確認される。しかも、この霧雨は23周目にリスタートが切られるタイミングでわずかに強まった。これが波乱を呼ぶことになる。
リスタートではタイヤのウォームアップに苦しんだ岩佐の蹴り出しが悪く、太田、福住、オサリバンが次々と岩佐をオーバーテイクしていった。そしてその後ろにいたフラガが2コーナー立ち上がりでクラッシュ。さらには野尻もNIPPOコーナーでスピンアウトし、一気に2台が戦列から消えた。これで再びセーフティカーが出された。
ドライバーとしてはかなりコースが濡れている感覚があったようで、ここで太田、福住、オサリバン、岩佐らの上位陣はウエットタイヤに交換するべく、一気にピットへと傾れ込んだ。しかし中団以下に位置していたフェネストラズ、ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)ら7台がステイアウトを選択。スリックタイヤのまま走行を続けることを選んだ。
そして驚きは、上記7台の後ろ、太田の前8番手につけるロマン・スタネック(Buzz MK RACING)。スタネック陣営は天候の悪化を予想してセーフティカーリスタートの際にピットへ向かって先んじてウエットタイヤに交換していた。雨が強くなれば、この戦略は大成功と言えた。
しかし雨はほぼ止んでいき、28周(残り4周)でリスタートが切られた。先頭のフェネストラズが集団をリードしていく中、松下信治(DELiGHTWORKS RACING)と坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が大湯、ブラウニングを攻略して2番手、3番手に上がってきた。一方、ウエットタイヤへの交換は大失敗。ドライ勢と比べて1周20秒近く遅く、全く勝負権のない状態であった。
フェネストラズはそのままトップでチェッカーを受けた。14番手スタートから運も味方に、劇的な今季初優勝を挙げた。2位は松下で、DELiGHTWORKS RACINGにとって初表彰台、3位は坪井だった。
レインタイヤ交換組の最上位は7位の太田だったが、トップと50秒の大差がついた。小雨が降った際の戦略判断が、レースの大勢を決定付けたとも言える1戦だった。
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