スーパーフォーミュラ 第6戦・第7戦・第3戦富士
「信じられない。受け入れられない」無線で激昂、3位表彰台も憮然の牧野任祐。レース中何が起こっていたのか
スーパーフォーミュラ第6戦のレース中、無線で激昂していた牧野任祐。戦略判断に関するコミュニケーションもうまくいかず、「勝てるレース」を失ったことにフラストレーションを感じている。
戎井健一郎
公開日時: 2026/07/18 12:21
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写真:: Masahide Kamio
牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、普段のクールな雰囲気とは裏腹に喜怒哀楽をハッキリと表現するドライバーでもある。2年前の初優勝時も、人目をはばからず大粒の涙を流した。しかし今回のスーパーフォーミュラ第6戦富士ほど、感情を爆発させたレースはないのではなかろうか。
8番グリッドからスタートした牧野は力強い走りで上位争いを展開し、最後には3位でチェッカーを受けた。復調を思わせる今季初表彰台となったが、パルクフェルメでのインタビューではしばらく言葉に詰まり、「明日頑張ります。すみません」と一言だけ絞り出した。
彼の感情の昂りは、無線でのやり取りから見て取れる。
レース中盤、3番手を走っていた牧野は、前を行く2番手の大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に追いつくも、すぐには攻略できずにいた。その背後にはチームメイトの太田格之進が迫る……牧野としては、自分がライバルに先んじてピットインすることで、フレッシュタイヤでプッシュしてアンダーカットを狙いたいと考えていた。しかし、結果的に先にピットに向かったのは後ろを走る太田の方だった。
「俺アンダーカットしたいってずっと言ってたじゃん!」
太田が先にピットインすることを杉崎公俊エンジニアから知らされた牧野は、声を荒げた。結果牧野はステイアウトの“引っ張り戦略”を取らざるを得なくなり、太田、ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)に次ぐ3位に終わった。
ただ『SFgo』で無線の履歴を確認する限り、牧野がアンダーカット戦略を再三要求していたという印象は受けない。そこで気になるのが、上記の直前のやり取り。杉崎エンジニアは牧野をサポートすべく、ライバルのオーバーテイクシステム(OTS)の使用状況を適宜伝えていたのだが、牧野から「杉さん無線が長いって!」と指摘される場面があった。
無線での発言時間が長いということは、それだけ双方の無線が被ってしまう可能性も高いということになる。杉崎エンジニアは無線が被って牧野の訴えが届いていなかった可能性があることを認識しているが、とにかく「どういう経緯でこうなったのか、しっかり確認しないといけない」とコメントした。彼としては牧野の要求を突っぱねようという意図もなく、状況に応じてピットインとステイアウトを判断する構えだったという。
「マジで信じられない……ありえない」
「もちろん6(6号車の太田)は素晴らしいけど、これは受け入れられない……」
チェッカー後も、涙声のような悲痛な声色でチームに訴えかけた牧野。決勝後の会見でも「勝てるレースを落とした」として、この気持ちは簡単には切り替えられないと話した。
さらに彼はこう語った。
「当時の状況としては、都史樹に追いついてから抜ききることができていませんでした」
「その前から僕は『入りたい』とずっと伝えていました。引っかかるくらいならアンダーカットを狙って、そうすることでトップを走るザック選手もアンダーカットできると思っていました。クリーンエアで走れば絶対にペースがあると思っていたので」
「だから僕はずっと『アンダーカットしたい』と言っていたんですけど……僕もまだ、終わってから(杉崎エンジニアと)会っていないので、どういう状況だったのか分かっていません。だから状況を把握してからじゃないと詳しいコメントはできないかなと思います」
開幕の不調から、トップ争いに戻って来れたこと自体には手応えを感じている牧野。今季3勝目を挙げ、ポイントリーダーをひた走る太田との差は50ポイント以上と非常に大きいが、日曜日の第3戦(代替レース)と第7戦で、後半戦の追撃に向けた足がかりを作れるか。そのためには、杉崎エンジニアとの“雪解け”も必要になるはずだ。
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