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英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記:スーパーフォーミュラにはさらなる均衡化が必要?

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回はスーパーフォーミュラでより多くのドライバーが優勝のチャンスを得るために必要なものについて、自らの考えを綴った。

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Masahide Kamio

 こんにちは、ジェイミー・クラインです。今回もmotorsport.com日本版のコラムをお届けします。スーパーフォーミュラは先月の鈴鹿戦で終了し、スーパーGTも最終戦を残すのみ。束の間の休暇が待ち遠しいです。

 さて、今季のスーパーフォーミュラを見ていて気になった点がひとつありました。それは、ホンダ/M-TECエンジンユーザーと、トヨタ/TRDエンジンユーザーとの間でパフォーマンスに差がついているということです。

 選手権の順位だけを見れば、両者は拮抗しているように見えます。ドライバーズランキングトップ4の顔ぶれを見ると、野尻智紀(TEAM MUGEN)と福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のホンダ勢ふたりに、関口雄飛と平川亮(共にcarenex TEAM IMPUL)のトヨタ勢が続いていて、carenex TEAM IMPULはチームタイトルも獲得しています。

 しかし、もっと詳しく見ていくと、carenex TEAM IMPULのふたりがここまでポイントを積み重ねて来られたのは、純粋な速さ以上にその安定感が大きかったからと言えます。逆を返せば、ホンダ勢のドライバーはその速さを十分に活かせずポイントを失ったケースが多い印象です。

 例えば、福住はトップを走っていた第2戦鈴鹿でタイヤバーストに見舞われなければ、第3戦オートポリス予選や第5戦もてぎ決勝でのクラッシュがなければ、さらにポイントを上積みしていたでしょう。また、ランキング5位の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)も、ミスや不運による取りこぼしがなければIMPULのふたりをランキングで上回った可能性があります。それは最終戦でポールを獲得しながらもジャンプスタートで勝負権を失った松下信治(B-Max Racing Team)にも同じことが言えます。

 今季トヨタ勢のドライバーが優勝したのは、第3戦オートポリスの一度のみ。悪天候の中、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がポールポジションから逃げ切ったレースですが、グリーンフラッグの下で7周走行しただけで赤旗終了となっていますから、このレースの結果からパフォーマンスを推し量ることは難しいです。

 さらに、今季完全なドライコンディションで行なわれた5レースに限って言えば、トヨタ勢は関口と平川が2回ずつ表彰台を獲得したのみに留まっています。ドライレースでのトヨタ勢の勝利は、昨年の最終戦富士の坪井翔まで遡ります。

Sho Tsuboi, JMS P.MU/CERUMO・INGING

Sho Tsuboi, JMS P.MU/CERUMO・INGING

Photo by: Masahide Kamio

 これはポールポジションにおいても同じことが言えます。今季のトヨタ勢は、第3戦オートポリスでアレジが、第4戦SUGOで関口がポールを獲得していますが、いずれもウエットコンディション。ドライで行なわれた過去10回の予選でトヨタ勢が獲得したポールは、2020年第6戦鈴鹿(ニック・キャシディ)の1回のみです。

 こういった傾向は今に始まったことではありません。キャシディは山本尚貴とのタイトル争いに敗れた2018年から、トヨタはホンダに対して馬力の面で後れを取っていると訴えていました。しかし、2020年からコロナ禍の影響もあってレースフォーマットが縮小され、給油なし、ドライタイヤ1スペックのスプリントレースとなったため、今では戦略を駆使してその差を埋めることが難しくなっています。

 以前、とあるエンジニアがmotorsport.comに対し、現在のスーパーフォーミュラは「予選とスタートの選手権」だと話していました。言い換えれば、予選をしっかりとまとめてレースの1周目をクリーンに終えることができれば、レースに勝てる可能性が非常に高いということです。レースペースに自信があっても、予選の結果が悪くては勝利は難しいのです。

 上記の要素が組み合わさった結果、特にドライレースにおいては優勝候補が絞られるという状況が生まれています。つまり、チャンピオン候補が半減してしまうのです。これは選手権にとって悪影響だと私は考えます。現行のフォーマットが今後も続くのであれば、スーパーフォーミュラは拮抗した戦いを維持するため、こういった状況に何らかの対処をする必要があるのではないでしょうか。

 スーパーフォーミュラと同じく、ワンメイクシャシーでエンジンメーカーが2社参入しているカテゴリーにインディカーがありますが、そこでは絶妙な均衡が保たれています。今季はホンダユーザーのチップ・ガナッシに所属するアレックス・パロウがタイトルを獲得し、ホンダ勢が過半数のレースを制しましたが、それでもシボレー勢は16戦6勝を挙げ、ランキング2位(ジョセフ・ニューガーデン)とランキング3位(パトリシオ・オワード)にドライバーを送り込みました。

Josef Newgarden, Team Penske Chevrolet, Scott Dixon, Chip Ganassi Racing Honda, Simon Pagenaud, Team Penske Chevrolet, Helio Castroneves, Meyer Shank Racing Honda, start, green flag

Josef Newgarden, Team Penske Chevrolet, Scott Dixon, Chip Ganassi Racing Honda, Simon Pagenaud, Team Penske Chevrolet, Helio Castroneves, Meyer Shank Racing Honda, start, green flag

Photo by: Phillip Abbott / Motorsport Images

 もちろん、インディカーでも常に均衡が保たれていた訳ではありません。

 2012年に新たなエンジン規則が導入された時、ツインターボを採用するシボレーが11勝を挙げたのに対し、シングルターボのホンダは4勝に留まり、両者のパフォーマンスには大きな差がつきました。しかし厳格なエンジン開発制限の影響でホンダはターボの形式を変更することができず、名門チップ・ガナッシも2014年にホンダからシボレーへと乗り換える決断をしました。

 しかし、インディカーはより拮抗した戦いを演出するため、2014年からエンジンをツインターボに統一することを決定。ホンダのエンジン再設計が認められたことで再び均衡が保たれるようになり、最終的にはチップ・ガナッシもホンダ陣営に戻って今に至ります。

 スーパーフォーミュラは、新プロジェクト『SUPER FORMULA NEXT 50』の根幹として“ドライバーズファースト”を掲げています。それを実現するためには、まず全てのドライバーに勝つチャンスを与えることから始めるのが良いのではないでしょうか。

 
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