スーパーフォーミュラ

「ずっとSFの事を考えていた」パロウ、SF初優勝の裏にあった“不屈の想い”

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「ずっとSFの事を考えていた」パロウ、SF初優勝の裏にあった“不屈の想い”
執筆:
2019/07/27 4:10

2019スーパーフォーミュラ第4戦富士で初優勝を飾ったアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)。彼にとっては待ちに待った国内トップフォーミュラでの勝利だった。

 今シーズン、日本最高峰のフォーミュラカーカテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦を果たしたアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)。開幕前のテストからトップタイムを連発し注目を集めていたスペインの若手ドライバーが、参戦4レース目にして頂点の座を掴み取った。しかし、ここに至るまでには多くの苦労があった。

 1997年生まれで現在22歳のパロウ。彼が初めて日本にやってきたのは2017年のことだった。パロウはTHREEBOND RACINGから全日本F3選手権に参戦していたが、当時はTOM’SやB-Max Racingが頭ひとつ抜け出るパフォーマンスを見せていた頃。それでもパロウは毎回果敢に攻め、トップ争いの中に割って入る走りを見せた。その結果、シーズン3勝を挙げてランキング3位を獲得した。

 その年の12月に行われたスーパーフォーミュラのルーキーテストにTCS NAKAJIMA RACINGから参加し、総合4番手タイムを記録。2018シーズンのレギュラーシートを獲得しても不思議でない実力を示したのだが、同年のレギュラー参戦は叶わなかった。

 昨シーズンはヨーロピアンF3へ戦いの場を移したパロウ。それでも“スーパーフォーミュラに乗る”という目標は、彼の中で消えることはなかった。

「僕は2017年に全日本F3選手権に参戦して、そのシーズンの暮れにスーパーフォーミュラのテストに臨んだ。良いテストだったけど、レギュラーシートはどこもいっぱいの状態で、ナカジマレーシングもシートに空きがなく、入り込む余地がなかった。2018シーズンは別のカテゴリーに参戦したけど、その間ずっとスーパーフォーミュラのことを諦められなかったし、ずっとスーパーフォーミュラのことばかりを考えていた」

「(結果的に1年待つことになり)少しフラストレーションも感じたけど、これが人生だ。でも最終的に僕を信じてくれて今季シートを用意してくれたチームに感謝したい」

 2018年末に再びルーキーテストに参加したパロウは、ここでもベテラン勢を上回るタイムを記録する走りを見せ、ついにTCS NAKAJIMA RACINGのシートを掴むことに成功した。

 しかし、これは彼の中では通過点のひとつ。一番の目標は「スーパーフォーミュラで勝つこと」だったからだ。

 開幕前のテストから常に上位のタイムをマークしていたパロウだが、常に“トップにいたい”という気持ちが強かったようで、同じくプレシーズンテストで好調だった山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)をかなり警戒していた。

 さらに開幕戦の鈴鹿でも予選Q1、Q2とトップタイムを並べたが最終のQ3でチームメイトの牧野任祐に逆転された。記者会見などでは笑顔を見せていたものの、本音としては抑えきれない悔しさがあったという。

 鈴鹿での決勝レースは序盤からトラブルが続きリタイア。第2戦オートポリス、第3戦SUGOともに歯車が噛み合わないレースが続いた。

 それでもパロウは諦めることなく、第4戦富士では初日の専有走行から全開アタックを披露。雨となった公式予選で初のポールポジションを獲得すると、決勝でも何度かコースオフするほどアグレッシブな走りを見せつつ、2位以下に大差をつけての初勝利を飾った。

「初優勝できたことは本当に信じられない気分だ。今年ナカジマレーシングに入って僕自身も頑張ることができたし、特にチームが素晴らしい仕事をしてくれた。今年はSF19に代わった中で、早い段階から良いパフォーマンスを引き出してくれて、毎回力強く戦えるクルマのベースを作ってくれた。このチームは僕にとっても誇りに思うし、今度は次の目標に向けて引き続き頑張っていきたいと思っている」

アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)

アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)

Photo by: Masahide Kamio

 勝利に対して人一倍貪欲な姿勢をみせていたパロウ。レース後のパルクフェルメではマシンの上で力強くガッツポーズを繰り返した様子が印象的だった。それと同時に、待望の1勝目を獲得でき肩に乗っていた重荷を下ろすことができたという安堵の表情も感じられた。

 今年のスーパーフォーミュラには多くのルーキーが参戦し、その中には将来F1へのステップアップも視野に入れているドライバーも多い。その中でパロウは意外にもF1へのステップアップはあまり考えていないという。

 それよりも、スーパーフォーミュラでチャンピオンを獲得することが、彼にとっては次に達成するべき目標だと語った。

「今の目標はスーパーフォーミュラで2勝目を挙げること、そしてチャンピオンを獲得することだ」

「これから数年後のことを考えるよりも、今は目の前のこと……それこそ各セッションで最高のパフォーマンスを出すことに専念していきたいと思っている。この後はスーパーGT(第5戦富士)が待っているから、そこに集中する。それが終われば今度はSFのもてぎ大会のフリー走行、その次は予選、そして決勝……。とにかく目の前のことに全力を尽くしていきたい」

「スーパーフォーミュラは1勝挙げるだけでポイントランキングに大きく影響する。ここからの後半戦は、山本選手やキャシディ選手のように安定して好結果を出して、チャンピオン争いに絡めるようにしたい」

 今回の優勝で一気にドライバーズランキング3位に浮上したパロウ。ここで得た勢いを後半戦で活かすことができれば、ルーキーイヤーにも関わらずチャンピオンを争う可能性も高まってくるだろう。初勝利で勢いがついたパロウから、目が離せない。

アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)

アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)

Photo by: Masahide Kamio

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この記事について

シリーズ スーパーフォーミュラ
ドライバー アレックス パロウ
チーム ナカジマ・レーシング
執筆者 Tomohiro Yoshita